04.依頼達成
魔法書を読んでみると色々書いてある。
ランクが3段階あり下級魔法、中級魔法、上級魔法となっている。下級は魔法の名称を言うことで発動できるものから簡単な詠唱を行うことで発動できるようだ。中級、上級に関しては長々とした文面と魔法陣のような図形が魔法書に記載されている。今の時点では使い方がわからないので初級魔法以外は無理そうだ。
今はオオネズミを探すのが優先なので時間がある時に魔法の練習してみようと思う。
昼ごはんとしてマンガ肉を食べお腹を満たして森の奥へ進んでみるとオオネズミを発見した。気配を感じたところでオオネズミが襲い掛かってきた。魔法書をアイテムボックス(便宜上命名)に収納して武器と防具を取り出し応戦する。前回その辺りに落ちていた棒で勝てたくらいなので完全装備したドワコの敵ではなかった。倒した後でナイフを使いしっぽを回収した。これもアイテムボックスへ入れておく。
このような感じで夕方までにはしっぽの回収作業を終えてギルドへ向かう。朝と同じでギルド内はおばちゃん一人である。
「おや、依頼の方は終わったのかい?」
「はい、オオネズミのしっぽを5つ集めてきました。」
「じゃあ確認するね。大丈夫、それじゃ依頼完了ね。ギルドカードを預かるね。」
ギルドカードをおばちゃんに渡すと手で持つタイプのバーコードリーダーのような物をあててから返却された。
「これは何をやっているんですか?」
とドワコが聞くとおばちゃんは答えた。
「依頼の達成をギルドカードに登録しているんだよ。達成したときに得られるポイントが一定量が蓄積されるとランクアップできるよ。もちろん失敗したらポイントは下がるよ・・・ってギルドカードを作る時に説明なかった?」
ごめん、チュートリアルで表示されていた気がするけど読み飛ばしてたかも(汗)
「それじゃ今回の報酬ね」
と銀貨3枚をもらった。・・・いまいちどれくらいの価値かわからない。アイテムボックスへ入れてみると所持金が3000増えた。これは計算がわかりやすいかも。
「それじゃまた来ます」
「はいよ。またおいで。」
と挨拶を交わし冒険者ギルドを後にした。
さて今日の寝床を確保しないと・・・村の中心部の端の方で見かけたベットの絵が描かれた建物に入ってみる。たぶん宿屋かな?
「らっやーい」
宿屋のおやじと思われる人が声をかけてきた。
「お嬢ちゃんかい?噂になってるドワーフの娘って言うのは。泊っていくのかい?それとも他の用かい?」
「一晩お願いしていいですか?」
「ありがとよ。それじゃ夕食、朝食付きで銀貨3枚だ。良心的な価格だろ?」
宿屋の相場がわからないが、なんとなく悪い感じのしないおやじだったので疑うこともせず銀貨3枚を払う。とりあえず今夜の寝床は確保。
「部屋は2階の一番奥だ。鍵はこれな。食事がしたくなったら俺に声をかけてくれ。」
と鍵を渡された。お礼を言って2階に上がり部屋に入ってみると広さは畳6畳程度の広さで一人用のベットと机と椅子が置いてある。体が小さくなったのもあってかベットが広く感じる。しばらくゴロゴロしているとお腹がすいてきた。下に降りて宿屋のおやじに声をかけると奥に入り、少ししてからトレイにのせられた食事を持ってきた。焼いた芋と野菜の入ったスープと良くわからない焼いた肉が並べられた。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
エリーの家でも焼いた芋と野菜の入ったスープが出たけど主食みたいなものなのかな?などと考えながら口に運んで行った。味の方は・・・まずくはないけど何か物足りない。元居たところが色々な食べものがあったためかもしれない。食事が終わったところで宿屋のおやじが話しかけてきた。
「ドワーフの嬢ちゃんいつまでこの村にいるんだい?」
この先全くの未定なんですけど・・・。
「特に行く予定もないので考え中です」
「そうかい。もしこの村に工房を作るならいつでも相談にのるぜ」
「工房って?」
と聞き返すとおやじが変な顔をした。
「ドワーフって村や町に工房と言う物を作りそこを拠点に生活するって聞いたけど違うのかい?この村にはドワーフなんて滅多に来ないし、滞在した事も無いから聞いた話だけどよ」
と答えた。そう言えばチュートリアルで説明があったような・・・借りた家や購入した家で『工房権利書』を使用すると『工房』と言う物を作ることができて、素材を集めると武器や防具が作れるみたいな感じだったかも。権利書は工房を閉鎖するとアイテムに戻る仕様だったと記憶している。しばらく滞在するなら工房を作ってみるのも良いかも。当面の生活費とか稼げそうだしね。
「工房ね・・・思い出した。ちょっと考えてみるね。」
「よろしく頼むぜ嬢ちゃん」
のような会話をして自分の部屋に戻り休むことにした。
この話より主人公の名前をドワコで統一します。