雪だるまとバカ二人
目の前にネコがいる。
目が合う。
ネコの鳴き真似をしてみる。
ネコはなにやってんだこいつ?
みたいな顔であくびをする。
なにくそとネコを睨む
「なーにやってんだばか」
頭を叩かれる。
「いた!」
振り向いたらそこにいたのは超美少女の幼馴染!
ではなくむさ臭い友達の野崎だった。
コツン
また叩かれた
「2回もぶったな!オカンにだってぶたれたこと無いのに!」
「そこは親父じゃないのか?」
「そりゃあ親父にはしょっちゅうぶたれるし」
父親の鉄拳あれは痛いってもんじゃない
もう凶器だ
そもそも親父なんて呼ばずにおとんと呼んでるんだが
「まぁ確かになおまえの父ちゃんおっかねーし」
「それな」
そういえばこいつ何の用なんだ?
「ところで、野崎どうしたんだ?」
「いや、通りかかっただけだよ」
「通りかかっただけで俺を叩いたのかよ
おまえは通り魔か!」
「いやだって山田、おまえさっきのは酷いぞ
いくら友達いないとはいえネコと睨めっこは泣けてくる」
その言葉にすこし、いやかーなーり傷つく。
「え、俺たち友達じゃねーの?」
「うわっ、気持ち悪りぃ
そんな泣きそうな顔するなよ、ジョーダンだって」
お、そっかジョーダンかジョーダン、良かった。
そのまま野崎と二人路地を歩く。
昨日はこっちの方じゃ珍しく雪が降り
路地には薄く雪が積もっている。
「なぁ、野崎どこに向かってるんだ?」
そう尋ねると野崎は携帯端末をホレッと見せてきた。
そこに写っていたのは俺の友達第2号佐藤と雪だるまだった。
「あいつ楽しんでんなぁ」
「おう、一人でな
だからこれからお仕置きに行くんだ」
なんじゃそら
てかすごい笑顔だなおい邪悪なオーラがハンパない
俺の友達第2号佐藤家の隣は空き地になっている
きっとそこの雪をかき集めて作ったのだろう。
「一人で楽しむなど言語道断
成敗してやる」
そう息巻いている野崎の後ろを俺は歩く
ここで野崎の持っている荷物に納得がいった
バケツと人参
雪だるまの飾りだな
ただ一つわからないのは味付け海苔の存在だ
何に使うんだそれ
そうこうしているうちに佐藤家に着いた
隣の空き地の中心に雪だるまは佇んでいた。
ただ雪だるまといっても雪玉がふたつ重なっただけ
飾りなどは全くしていなかった
まぁ佐藤とはそうゆう奴なのだ。
「ふふ、やはりな」
「何がやはりなんだよ」
さっぱりわからん
「あいつは今きっと飾りについて悩んでいる
必死にそれはもう必死に悩んでいることだろう!」
「いや、絶対ないだろ、
もう飽きてこたつの中だと思うぞ」
「そこで私が完璧に飾りをする
これであいつの楽しみを奪う作戦だ!
行くぞ山田!!」
きいてねーし…
そこから野崎は意気揚々と雪だるまの飾り付を始めた。
そこで最後のアイテム味付け海苔の用途がわかった。
目だった。
野崎はここぞとばかりに変なこだわりを見せ
完璧に目の形に味付け海苔を切っていく
初めて見たよそんな奴…
所用時間は30分〜1時間
ほぼ野崎の手で雪だるまの飾り付は終わった。
その時だった。
「なにやってんのー?」
と気の抜けた声が聞こえた。
佐藤だ
佐藤家の2階に目を向けると
部屋の窓からこちらを見下ろしていた。
その目は恐ろしいほどに無関心の目眼差しだった
しかし野崎は気づかない
野崎とはそういう奴である。
「やい佐藤!
一人で楽しみやがって!仕返しに飾り付というメインディッシュを奪ってやったぞ!
どーだ悔しいか!ざまーみろ」
ふとなんでこいつの友達やってんだろと思ってしまった。
いや、ほんとちょっとだけ…
はしゃぐ野崎
それを見た佐藤は携帯を構えるとパシャっと一枚
そしてピシャッと窓を閉めた。
ヒューと冷たい風の効果音が聞こえた。
・・・
しばらくの間をおいて野崎が喋り出す
「ほらみろ山田!
あいつ悔しくて拗ねたぞ!
一人で楽しむからだ!これからはきっと俺たちも誘うはずだぞ」
なんだろ涙が出てくるよ野崎…
そんなハイテンション野崎を横目に
携帯の電源を入れる
「あっ…」
佐藤のブログが更新されていた。
「人の作った雪だるまを勝手に飾り付する変人二人
ワロスwww」
はぁ〜俺も入ってんのかよ…
なんか、やってらんねーなぁー
クスッとなったら負けですよシリーズ(今勝手につけた)
雪が積もるとよく見かけますよね雪だるま。
雪だるまの目と口の飾りってなんなんでしょう
僕知らないんですよね。
きっと野崎くんも知らなかったのです。
だから責めないであげてください
しなしなの味付け海苔…
もったいない・・・