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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

空想科学世界

未来への架け橋

作者: 魔弾の射手

 いわゆるVRMMO系のものに挑戦してみたかっただけです。後悔はしていませんがプロットを練るのに時間がかかりました。そしてさらに最初から最後までアブオーウォー・ウスクェ・アド・マーラ駆け足というとてつもない地雷臭を振りまく作品です。

 pixivでも重複投稿しますので、同様のタイトルの小説があったらアンケートにご協力ください。

 以下がURLです

http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=6100329

 操縦桿を握る手に力がこもる。所詮はヴァーチャルだと言うのに、慣れてしまった仮想現実リアル現実世界リアルの境が曖昧になっている。


「どの道勝たなきゃ死ぬんだ」


 最初は云千と居た僚機も既に撃破され、残った二千名の命が電脳ヴァーチャルの中に掻き消えている。自分が生き残らなければ誰がその二千名の雄姿を語り継ぐのか。誰が彼らを記憶するのか。


『此の世界に囚われて幾数年、俺たちはついに死した英雄なかまに報いることができる!』


 すでに外界では日常よていちょうわに回帰し、ヴァーチャルに囚われた人間以外は普通に生活していると聞く。ここで戦う自分たちを忘れて。


『此の世界から飛び立ち、真に自由を得るために!ラストミッション【未来あすへの咆哮】開始!』


 ならば最後に生き残った人間が記憶するしかない。その雄姿を語り継ぐしかない。すでに賽は投げられ、落ちようとしているのだから。


 操縦桿を目一杯に引き込みダッシュペダルを踏みながら操縦桿を前に倒してボタンを押す。

 後ろに一瞬滑った機体が前に急加速しながら視界が回る。そして前から押しつけられる様な振動が掛る。

 変形が完了した。



 それは無骨な戦闘機だった。いや、ところどころ腕などの部位が見えることから元は人型だったのかもしれないが、ぱっと見でそれは機関銃や機関砲、大量のミサイルを備えたバ●キリーのような機体だった。

 通常のMdVSでは届かない高度まで達すると、そのままループしてバーニアのアフターバーナーを点火しながら最後の通常ミサイルとホーミングミサイルに、残り少ない機関銃の弾丸を撃っていく。

 刻一刻と言うよりも一瞬で迫りくる敵の機体を視界に入れながら、その引き金から指を離さない。


 ここで指を離せば、その瞬間に自分は死ぬ。仮想現実ここではそれが本当の事リアルなのだからこそ。

 故に、最後の最後まで、戦いぬいて、彼らの戦いが無駄ではなかったことを。

 己の戦いが、現実世界リアルへ回帰するための戦いが、無駄ではなかったことの証明のためにも。


 背後や地上からの援護など何もない、完全なドッグファイト。高高度という利点を潰すように行う急降下爆撃。それは確かに、相手の致命傷を与えるレベルの濃密な弾幕となって表れていた。


 仲間たちの最期の言葉がフラッシュバックするように、少年の頭に響いてくる。

 心の奥底から、生き残ってくれと、自分たちの雄姿を伝えてくれと、訴えかけてくるのだ。

『俺達の意思をォ!』


 引き金を握る手に力がこもる。少年は仲間である彼らが託した思いを胸に抱いて、そのそらを駆け巡った。


『必ず、勝ってくれぇ!』


 一体何年間続けただろうか。少なくとも二年は軽く超えている。

 あの絶死の際宴デスゲームと化したその日から、多くの仲間が息絶えて、思いを託して記録バンクから消えていく様を見てきた。


『私達の戦いが、無駄ではないと――お願い!』


 正気ではいられない。


『勝利をっ!』


 次は自分だ。その次は隣の人間かもしれない。

 敵はどんどん強くなるのに味方はバタバタと消去ころされていく。何れ自分たちも死ぬだろうと胸に抱き、散って行った英霊なかまのために剣を握り締め、勝てる確率など0でしかない無謀な戦いかけに出る愚か者。それが彼らだった。


『もしも生き残れたら、母さんたちに――』


 もう負けだ。

 そしてもう終わりだ。

 当事者プレイヤーは碌に抵抗することすら出来ずに蹂躙ぎゃくさつされ、尊厳すら凌辱さふみにじられ、褥を涙で濡らすことすら叶わずに死んで行った。――次は、自分の番だ。


「済まなかった。ライラ、リプトン、マルクス、アンゲルス、ゲッベルス、ブラウナー、マルコ、ヴァルター、吉田、山崎、柳崎、荒谷、皆川、龍童、柳生、山田。…………俺ももうダメみたいだ」


 カチンッという弾切れを表す効果音がコクピットに響くのと同時、少年は機体の変形を解いて人型に戻ると、既に過重デッドウェイトと化した装備類を放棄して身を軽くした。


「だが、ただでは死なない!」


 腕に装備された発信機から非実体剣、所謂エネルギーブレードと呼ばれる刀身が姿を表し、目の前の機体に向けられていた。


「残念だったねぇ!そんなに俺達を、甘く見ないでくれたまえ」

 格好良くうさんくさく言い切ったその瞳には、してやったりと言いたげな色良い光が灯り、死ぬかもしれない、いや死ぬだろうその未来に恐怖と高揚を覚えている。既に普通の精神状態ではないのは、少年をして理解していることだった。

 しかし、やらねばならない。死んで行った全ての英霊なかまのためにも、己のためにも、そして何より人間として。


 切っ先が相手の機体に迫る中、少年は心の中で、AIに話しかけるように、独白した。


「――――――――――――!」


 確かに俺達は理想を求めて現実から逃避していた。仮想現実コノセカイで理想の自分を演じていられればそれでよかった。


 だけどなぁ、違うんだよ。


 太陽の温もりが――、

 風の匂いが――、

 潮の香りが――、

 遠き過去に失くしてしまった、四季の気配が――、

 停滞した中に確かに存在する人間の輝きが――、

 確かに感じられる、人肌の温かさが、何よりも大切で、何よりも尊いものだって、気付けたんだ。気付かされたんだ。


 俺達は逃げていた。儘為ままならない現実から目をそむけていた。失くしてしまうと言う事実を知らない、餓鬼だったんだ。

 目の前にある平和も、平穏も、優しい空気も知っているくせして、空想でしかない格好良さに浸って、溺れて。喪った後は返らないという現実を突き付けられて、もう一度、もう一度って、失くした後だからこそ、強く、強く想うんだ。

 だからこそ取り戻したいって、世界にちじょうに帰りたいって、思ったんだ。戦ったんだ。もう二度と喪いたくないから、失わせたくないからこそ――


 その思いを、欺瞞だとは言わせない!

 ただ、誇りたいんだ。誇らせてくれ。


 あいつらは、最高の仲間たちばかやろうどもだったって。




 近付く両機。その手に握るのは碧く輝く一振りの剣。

 狩猟者は狩猟者として異物を払うために。

 脱出者プレイヤーは脱出者として迷宮を断ち切るために。


 今、その刃は交わった。






 敵の機体のコクピットから碧い剣が突き出て、少年の機体の腹部より下からも同様に、碧い剣が突き出ていた。

 一瞬の判断の差、技術と勘、きっとどの言葉でも言い表せないたった一瞬、されど一瞬の間に、全ての勝敗が決していた。

 青臭い少年の時代は終わった――。


「残念、だったねぇ。これが人間の、底力だ」


 有りもしない空想上の格好良さも、台本染みた台詞セリフもない、しかし大切な日常せつなだからこそ、乗り越えようと思ったのだ。戦おうと思ったのだ。散った全ての人間のためにも、今を生きる後代の子供たちのためにも、そして何より、自分たちが生きたという証を残すためにも、戦って、戦って、戦い続けたのだ。


 敵の黒い靄のような機体から光の剣が消え去り、少年の機体からもエネルギーが無くなり、敵の機体は爆散してデリートの表示がコクピットの割れた画面に表れ、ついに終わったことを示していた。

 それと同時、ラストミッション『未来あすへの咆哮』をクリアした報酬がプレゼントされ、サーバーが閉鎖されるタイムリミットがコクピットに表示される。


 自分が最後のプレイヤーか。

 生き残って家族に謝罪し精一杯親孝行すると言った者も、現実世界でまた腐らずに真面目に働きたいと言った者も、学校に通い直したいと言った者も、呆気なさすぎる最期だった。

 これが現実で、これが戦争だ。傍から見れば所詮ヴァーチャルであろうと、そこには確かに機械と人の命のやり取りがあったのだ。

 憤ってもしょうがない。失った命は戻らない。そう自分を誤魔化さなければすぐに死ぬ世界だったのだ。何も余計なことは考えてはいけない。ただ失った人間の分まで戦いぬくことだけを……。


 じんわりと視界がにじみ始めた時、コクピットの中で、それを見つけた。


 コクピットの割れた画面の奥に、小さく6月25日夜半の23時59分と表示されていた。今まで幾度となく表示されてきたそれを見て、久々に少年はそれを思い出していた。


「あぁ、そうか。誕生日、だっけか」


 それは誕生日当日になってそわそわして落ち着かない子供のような、それでいて一人ぼっちで誕生日やクリスマスを祝うどこかさびしい感慨が、胸を打った。

 仲間は皆、この砂漠に落ちた機体にいるが、もう誰も答えてはくれない。

 いつだって雰囲気を良くしてくれた者も、いつだって誰かを守るために身を呈した者も、いつだって……いつだって…………。


 少年は謡う。何処の家庭でも歌った事がある、大人になるにつれて忘れていく、あの歌を。


「ハッピバースディ トゥーユー……ハッピバースディ トゥーユー……ハッピバースディ ディア 神奈…………ハッピバースディ トゥーユー………………」


 血と涙で滲む視界で、時計がしっかりと6月の26日に至ったのを見ると、少年のこらえていた涙腺はついに決壊した。


 ヴァーチャルの中で日常への回帰のために戦い続け、摩耗し、傷ついて、こんなに終わり方があっさりしていていいのか。彼らの思いはどうなるのだ。


 泣き声を上げる中で、しゃくり上げながら少年は呟いていた。『ごめんなさい』と。

 彼らを返してあげてください、と。彼らに、もう一度チャンスを下さい、と。


 勝利を得た優越感よりも背徳感が勝り、既に擦り切れていた少年の心は、ようやっと外界にまでその螺旋錐ドリルを伸ばし、少年が封印していた感情の蓋を破壊して見せた。


 白く粒子状に消えゆく世界の中で、自慢の茶髪も栗色の目も周囲の白に侵食されながら、なお少年は泣いていて、そして少年は最後に、泣いたままの顔で笑った。

 涙が頬を伝い顎から落ちていく先から白い粒子に変換され、外界の約70パーセントは白に回帰している中、少年はそこに留まり、何も無くなってしまった仮想の外界に向けて、笑った。

 音の構成情報データが消えたか破損したか、少年が口にした言葉は誰の耳に残ることもなかった。しかし、きっと、死んで行った彼らは、それを理解している。


『またね』


 そんな幻のような言葉が白い空間に放たれると共に、世界は完全に0と1の羅列に戻り、それも段々と終端部に近付いて行った。これが電脳世界ヴァーチャルリアリティの終焉だ。







 久々に感じる日の光に、俺はなんだか懐かしさを覚えながら瞼を開いた。目の前に広がっているのは、慣れ親しんだ砂漠でも衛生班の医療テントでもない、清潔さを強調するような、白だけの壁紙で覆われた虚無の空間にいた。

 その空間にあるのはベッドと椅子と細かな計器類があるだけで、他には何もなく、辛うじて今が初夏なのと、何故か外が騒々しいと分かる程度の情報しか与えない狭苦しい窓があるだけだ。

 だが、それでもあの死と隣り合わせのコクピットの中ではないだけ何倍も、何百倍もマシで、それと同じ位に幸せなことなのだと意図せず溢れてきた涙を拭いながら思った。




 ああ、病院なのか。

 頭が落ち着いてくると、不思議とすとんっ、と空っぽなびんにゴムボールを落とすように理解出来た。

 上半身を起こすと、気だるさが身体を抑えつけようとしたが、構わずに上半身を上げ、全身で太陽の光を浴びた。

 あぁ、生きることって、こんなに素晴らしいことだったのかと、いつも感じていた筈の感覚に妙な感慨を覚えて泣き出しそうになった。


 嗚咽が収まるのを待ってから俺はそっと、自分の身体を確認した。生きている証明が、欲しかったのだ。

 軽く2~4年以上は寝ていたから、体はもう全身的に痩せぎすになって筋肉なんて削げ落ちているだろうと思っていたがそう言うこともなく、気だるさや動かしにくいと思う個所はあれど、動かせないことはなかった。人体の不思議という奴か。

 腕は痩せぎすでもなく、肥え過ぎているわけでもない程良い肉付きの、少しほっそりとしてしまったように感じる手と指がある。

 腹周りの筋肉も少しばかり削げた……というか完璧に削げて、つるっとしたような括れのある腰と腹が見えた。見事に削げてしまい、いっそ清々しいほどだった。


 この分では足周りも細くなっているだろうと嘆息していると、不意に腹周り、というよりも胸部が落ち着かない感触がした。

 もう一度病人服越しに身体を確認してみれば、少しばかり胸部が盛り上がっているような気がして、ボタンをゆっくり外して見てみれば、そこには本当に小さな双丘があった。

 首筋に手を這わしてみれば、見事にのど仏が消え去りつるりと何も無くなって、これではまるで女の身体になってしまったみたいだった。


 ガチャンッ!


 誰かがトレーを落とす音を聞くと、条件反射的にそこを向いてしまい、目があった。

 一人のナース服を着た茶髪の看護婦が、呆気にとられたような表情で俺を見つめると、トレーに載せられていた医療器具なんてお構いなしにベッドに近寄ってナースコールを押し、ナースセンターに伝言を送っていた。

 直後にがやがやと奔って来る複数人の気配と、長く感じられなかった家族の気配が近づいてくるのが分かった。


 家族。そう、家族だ。ゲーム内に落ちてしまって長い間顔を見ることすら叶わなかった家族と、再び会えるのだ。これ以上に喜ばしいことがあるだろうか、いやない。

 当たり前のことに涙する俺を、何処となく憐憫といった感情を窺わせる視線で見ながら、看護婦は医療器具をトレーに戻してから、本格的に泣き始めてしまった俺の背中をさすっていた。



 医者が最初に入ってくると、俺の腕や足に以上はないかと聞いて来て、聴診器をあてられたり、記憶に混濁が無いかを聞かれたりして余裕で二時間を無駄にした。まあ、記憶の混濁はあれだし、必要とあれば精神鑑定にかけなくちゃいけなくなるから仕方ないが。

 全ての必要事項のような物を聞き終えると、医者は一瞬躊躇うように口を開きかけて、口を閉じた。


「え~とだね、君にはとても残酷なお知らせがあるのだが、その……」

「先生、黙っていても直ぐに本人が気付くのですし、先生の口から詳しいことを説明された方が……」

「……そうだな。そうだな。その通りだ」


 俺の分からないところで話がトントンと転がっていく。今まで作戦説明と簡単な雑談しか交わさなかったから、どう言うことかを聞くことすらままならない。もしかしなくてもコミュ障になっている。

 そうやって馬鹿な事考えているうちにも、初老に差し掛かる白髪の見え隠れするオールバック頭の医師は考え込んでしまい、どうしようもない状態だった。

 これは自分から聞きに行かないとだめだ。そう思った俺は目の前の医師に初めて自分の声で、自分の意思で聞かせてくれと言おうとした。


「あの、俺なにかヤバいモノにでもかかっているんですか?」


 出てきた声は予想以上に高い声だった。何年も声帯を使っていないから多少なりとも声の強弱がおかしくなるかも知れないとは思っていたけれど、そういう基準レベルを超えている。明らかにおかしかった。

 医者は俺が自分から聞いてきたことか、それとも声の高さに驚いたのか、目をパチクリとさせながら、一度咳払いして俺の方に向き直った。


「今の声の高さとか体の状態からなんとなく察せていると思うけれど、あえて言わせてもらう」


 必要あるのかという位に長く溜めを作り、空気を肺に入りきらないのではと思うほど吸い込むと、その医者は口を開いた。


「君は女の子になった」


 衝撃が俺の身体を揺さぶったように感じられた。実際には何も当たっちゃいないのは分かっているが、かなり衝撃を受けた。

 そりゃあ、なんとなく体感とかおかしいとは思っていたけれど、まさか本当にそうだとは…………。なんて言うと思っていたのかね?残念だったね!俺はそこまで潔くはないのさ!


「どうやったら男の俺が女になるんですか。生態からして別でしょ?」

「あぁ~え~と、その、だね。君の身体は実を言うと眠っている間に病に冒されてしまってね。それもたちの悪い奴に。延命処置を試みたのだけど君がラストミッションを終えた時にはその寿命が尽きかけていたんだ」


 開いた口が塞がらない、とはこのことか。嘘っぽ過ぎてどうとも言えないが、姿見を出されながら説明されれば、信じざるを得なかった。

 完全に、俺達がゲームに囚われる以前の彼女の姿だった。


「君がラストミッションをクリアする時にはあと少しで心臓が止まるところだった。ご家族の要望から緊急手術を始めようとした時、死んだと思われていた荒谷 式さんが起きだして言った。

『どうせ自分は死に頭まで浸っている状態だ。だが身体だけは健康だから君に譲ってやってほしい』

 と。既に心臓が止まっているのにだよ?頼まれたんだ。そこでラストミッションが終わって脳味噌が自由になった瞬間に君の脳味噌と荒谷さんの脳味噌を入れ替えた」


 脳味噌の移植なんて不可能だとか言われていたのに、何時の間に出来るようになったんだ?それにそんな物普通は違法だろうに、どうして出来たんだ。それに脳移植の設備は?

 疑問が浮かんでは声に出すこと叶わず、また新たな疑問が浮かんで行った。


「何時の間に脳移植なんて、出来るように?それに違法なんじゃ?」

「身体が死にかけていてもゲーム内で生きていること、そして家族からの要望と入れ替え先の身体の家族からの了承、そして手術に立ち会う医師全員の誓約書と設備が十分に整っている等、満たす条件が山ほどあるが、まあ何とかなった。序に言うとうちが世界で初めて脳移植を行った病院ということでマスゴミ・・が押し掛けてきているよ」


 どうりで病院の外から奇声が絶え間なく聞こえるわけだ。しかもパトの音が聞こえるし。警官隊のシールド?みたいなのがごつごつ言う音が聞こえるわけだ。どんな攻防が行われているのか知りたくもない。


「……つまりはマスコミが引くまでは入院、ということなのか?」

「ですな」


 しばらく俺も医者も黙ってしまった。

 当然だ。荒谷がわざわざ俺に身体をくれたのに死んでいれば良かったなんて言えるわけがない。


「……まぁ、生きているだけ儲けもの、か」

「苦労はすると思いますが、入院中は出来る限りサポートしますので。主にリハビリテーションの方面ですが」

「……よろしくお願いします」



 なんだかいろいろと大変そうだが、今のおれの命は荒谷のおかげで成り立っている。それはつまり俺の命は荒谷の命でもあるのだ。

 前以上に蔑にしにくくなったが、もう蔑にしないと決めた。

 普通に生活して、普通に就職して、この世界で生きる歯車の一人として、そして何より英雄の生き残りとして、最後まで生き抜いていく。




 窓の外で懐かしい顔触れが微笑んだ気がしたが、窓の外は憎いほどに青く澄んでいて、初夏の雲を漂わせているのが、何となく気に食わなかった。








一応補足程度ですが、この作品のロボットの名称は決まっています。

 機甲化強化歩兵

 Maschinenマシーネン derデア Verstarkungウェアスタークング Soldatソルダート

 といい、これを省略してMdVSと書き、読む際に小文字のdは発音しません。DeNAみたいな感じです。良く知りませんがww

 主人公の名前は嵐山 神奈といい、男とも女ともとれる名前ですがれっきとした男です。最終的にナニが家出しますがww

 もともと連載で書こうと思っていたのですが、途中でエタる気配がムワムワしていたので、プロローグとして書いていたものを改稿したものを投稿させてもらいました。連載の場合はこの後主人公が女の体で生活することに慣れるのに2年かかって、学校に入学し直すところから始まり、ロボティクスノーツシリーズの開発陣が前回の【ロボティクスノーツ・サガ】において見つかったバグや不具合などを修正し、確実な安全が約束されたことで発表した【ロボティクスノーツ:ヘレ】に学校でできた友達(男女半々)とともにプレイする。といった感じで話が進みます。ただ、生き残りが主人公以外にいないので、命を軽く扱うような発言をするプレイヤーを叩きのめしたりなどと、落ちがつかなくなる可能性があったので急遽このような形で投稿させてもらいました。

追記

 こんな自分の作品でも楽しんでいただけたのなら、自分も神奈もうれしく思います。これからもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白かったです。 [一言] ことここに至れば、私は最早ファンであると言っても過言ではないでしょう。 ところで私はノクターンでTS恋愛万歳と名乗っているのですよ。 TSは良いですね。 しか…
2017/02/04 21:12 退会済み
管理
[良い点] 全体的にイメージしやすい機体形状、分かりやすい戦闘シーン良かったと思います。 [気になる点] すみません、性転換は趣味に無いですw(個人の感想です) [一言] ちょ、どこのSAOですか…
[一言] あらすじにログイン不可のデスゲームとあるが何が問題なのかわからない。 誰も出来ないゲームがデスゲームに変わってもな。 ログアウト不可では?
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