小話1
短いです。
「行っちゃったか…」
興昌を送り込んで、一人きりになった空間。神がその余韻に浸っていると、どこからともなく声が聞こえる。
「少し、宜しいでしょうか?」
そう言って現れたのは、これまた白い服に身を包んだ一人の青年。頭の上には輪っかがあり、顔立ちは整っている。地球のアイドルと比較してもいい勝負になるであろう。手足はしまっており、しっかり筋肉がついているのが見て取れる。細く見えるのは、比較対象が悪いのだろう。一人しかいないが。
「あら~、4大天使の一人、キーウス君じゃないの」
そう、この人物もまた、神の一人である。その証拠に、背中から白い翼が3対生えている。
「そのしゃべり方はやめてください。ここに来たのは、オカマの名もなき役人神ではなく、創造神ノヴァ様と話をするためです」
途端、女神(笑)から笑みが消え、隠していた4対の羽が現れる。それと同時に膨大な量の聖なるオーラが流れてくるのがわかる。その場にいるという威圧感だけでこの空間を支配してしまう力に、4大神のキーウスですら畏怖の念を隠し切れない。
「何の用だ、キーウス」
そう、このオカマこそ、すべての世界とそれを管理する神を創り出した創造神ノヴァその人であった。
「逃亡した一体の神について報告があります」
「続けろ」
「はい。大まかな逃亡先のめどが立ったため、部隊を編成して捜索を開始しました」
さらに話は続く。
「部隊は1対の神を中心に…」
「いや、2対の奴らで組め」
「しかし、逃亡した奴は羽無しでは?」
「奴は世界に供給するはずのエネルギーを自分の糧にしていた。おそらく力も上昇しているであろう。1対では太刀打ちできんかもしれん、2対で当たれ。指揮官は4大神以外の3対だ、いいな?」
そう聞くと、キーウスは恭しく頭を垂れる。
「仰せのままに…」
「うむ。もうよい、さがれ」
そういうが早いか、キーウスの姿は光となって消えた。消えたのを確認してから、盛大にため息をつく。
「引きこもりたいな…」
そう呟いた創造神の目は、ひどく虚ろ気だった。
次回から異世界でのお話となります。