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異世界にて天下を目指す  作者: 清水作朗
3章 人生50年
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小話5

「…何をしているのですか?」


キーウスは冷めた目でそういった。


「何って、下界の様子を見ているのよ」


創造神(オカマ)は振り返ることなくそう言った。事実、その目の先には世界の様子を写したであろうモニターが展開されていた。


「いまさら何を見ているんですか?こちらの区域には、そんなに観測するだけの世界はなかったと思うのですが?」

「なかったわよ、だから手を加えたの」


そう言われてキーウスは思案し、ああ、と結論に至った。


「この間転生させた人物がいましたね」

「そう。これは彼が言った世界の映像よ」


二人が見ていたのは、興昌が転生させられた《ガイディア・ローゼ》の世界そのものだった。


「戦、ですか」

「ええ。彼もこの戦いに絡んでいるわよ」

「どういう具合に?」

「片方のナンバー2として」


その言葉に、キーウスは思いっきりずっこけた。


「…今、なんと?」

「だから、この戦で戦う国の一方に、その国のナンバー2として参加しているといったのよ。確か…、公国の、宰相、だったかしら?そんな感じの役職だったはずよ?」

「…いくらなんでも早すぎませんか?転生者だとしても、その世界にコネも何もない人間がいきなりなんて…」

「公国のトップのお姫様を助けたみたいよ。そこからあれよあれよと。最近のホットラインは仕事が苦しいとかって、愚痴ばっかりよ」


ああ、とキーウスは天を仰いだ。確かにこれは願ってもいなかった事だ。転生者が動けば動くほど世界は動いていく。これまでにも、国の中枢に入った転生者がいなかったわけではない。

だが、それはあくまで一人の冒険者などから始まっていった結果だ。勇者とかになって、救った姫と結婚、とかだ。

だが、この世界の彼は違う。スタートがそこなのだ。今さっき調べてみたが、彼はこの世界で特別な下積みを積んだわけでもない。確かに色々とやっていたようだが、全体の影響としてみればそれは小さなことだ。

分岐点というのは、分岐が大きければ大きいほど、早ければ早いほど、最終的な差異は大きくなる。こんな早期に、こんな大きな分岐を起こしたのは、これまでの転生者にはいなかっただろう。そして、これからもいないであろう。むしろ、いてたまるか。


「…頭が痛くなったので帰らせていただきます…」

「何よ~これからが面白くなるのに~」

「これ以上いると、頭だけでなく体全体が痛くなりそうなので」


そう言ってそそくさとキーウスは消え去った。


「ノリが悪いわねえ~」


その痛みの原因であるこいつは、結局キーウスの方を振り返らなかった。

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