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異世界にて天下を目指す  作者: 清水作朗
3章 人生50年
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4話 内政の時間

長くなったので、きりのいいところで切ったら短くなりました



興昌がスティーブンを連れてきたのは、宰相用の執務室だった。かつては使われていたようだが、今は空き部屋になっていたのを使わせてもらっている。

一つだけある机の上に紙を広げ、指示を書き連ねていく。


「とりあえずはこんなところか」


そう言って、書いたものをスティーブンに渡す。


「まずは4年サイクルでの輪作の実施だ」

「今までとはどう違うんです?」

「今までの方法では、同じ畑で同じものを作り続けていた。これだと、野菜に栄養が吸われ続けて土地は痩せる一方だ。病気にも罹りやすくなる。だからまずはそこから変えていく。栄養を土から吸い取る野菜の後は、栄養を土にため込む野菜を。根の浅い野菜の後は根の深い野菜を。互いを交互に植えることで互いの問題を解消しあい収獲量を増やす。これが輪作だ」

「なるほど」


とにもかくにも、まずは食い物をどうにかしないと始まらない。興昌の決断は早かった。これからの事を考えると食糧事情は無視できない問題だったというのも大きい。イギリスが産業革命を成功させ、一気に世界屈指の大国となりえたのも、農業革命を成功させた事が要因の一つとしてあげられる。


「個々の作物の収穫量は落ちるが、全体で見ると総量は増えるだろう」

「他にはどんな利点が?」


スティーブンも調子を取り戻したようで、質問をぶつける。


「主食になる麦系統以外に、麦が吸い取った栄養を補給するマメ科の作物は量が取れる上栄養価も高い。長期間の保存も可能だ」

「なるほど、飢餓の対策によさそうですね」

「根菜類は食用だけでなく、葉は家畜用の飼料として使う。冬季にも酪農を継続することができるようになるぞ」

「四期で回すと言ってましたが、我が国の耕地面積を考えると、間に休耕地を設けてもおつりがきますね」

「だんだん分かってきたな」

「なんとなくですが」

「まずは国が主導して改革しよう。反発は食らうだろうが、成果が出れば農民も納得するだろう」


事実そうだった。


「分かりました。次は…」

「税の再編だ」


そう言って興昌は、机の上に置いてあった紙束を掴む。


「細かいうえに数が多すぎ。所得税や相続税はまだしも、結婚税、出産税、死亡税、移動税、利益税、その他もろもろ…。めんどくさい」

「私に言われても、はいそうですね、位しか言えませんよ」

「ということで、所得、相続以外の今ある奴は全て凍結。代わりに消費税を導入する」

「消費税、ですか?何を対象にするんですか?」

「その名の通り、消費に対して。食糧、服、物品。他にもあるが、何かを売るときには、そのものの価格よりも割高で売り、増えた分を税として納めてもらう」


実際のところは、消費税と言っても内訳はかなり細かく規定され、説明するとかなり長くなるので割愛する。


「こいつのいいところは、景気の良し悪しに関係なく安定した税収を得られることだ。悪いところは、国民全員に一定の負担がかかるから、低所得者への負担が相対的に大きくなることかな」

「結構どころじゃない批判が起こると思われますが?」

「それも考えてある。軽減税率も導入して調整する」

「それは一体?」

「ものによって消費税の割合を変更するやり方だ。必ず必要な食料品や質素な服といった生活必需品は低めにして、必ずしも必要ではない高価な服や装飾品といった贅沢品は高めに設定するといった具合だな」


これによって、消費税を平等から公平に変化させることができる。


「課税割合は、必需品が5%、贅沢品が25%。酒やタバコには別途で税を設定する。土地には課税しない」

「細かい調整はこちらで行います」

「了解。とりあえずはこんなもんかな。追加があればまた呼ぶから」

「それでは」


スティーブンはいそいそと興昌の部屋を後にし、自室へと向かう。その足取りはとても軽いものだった。

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