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異世界にて天下を目指す  作者: 清水作朗
3章 人生50年
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小話4

「一つ質問があるのですが、いいですか?」

「いいけど、いつもみたいじゃないわね~」


神の空間。4大天使のキーウスが、作業に追われている、興昌を送り込んだオカマ神に話しかけていた。


「この地区を担当する神として話を聞きに来てますから」

「こっちで何か用でも?」


このオカマこそ、すべての世界を創った創造神なのだが、なぜかオカマとして下働きをやっている。しかもかなり忙しい。


「ええ。あなた、嘘をつきましたね?」

「何のことかしら?」

「久野金興昌さんを選んだのを、たまたまだと言いましたね」

「だから何?」

「明確な目的をもって選んだことを隠しましたね、何故?」

「…」


場を沈黙が支配する。


「答えてください」

「…そうねえ。言ってしまえば、パソコンかしら?」

「というと?」


一つ一つ言葉を選びながら話し始める。


「人間に、いえ、生命にとって、知識はスペック。経験はメモリ。スペックが高いほど、そしてメモリの容量が多いほどパソコンは早く動く。エネルギーの移送の触媒として使うなら、高性能じゃないとうまくいかないのよ」

「そんなに彼はすごいのですか?」

「実際に見た方が早いわ~」


そう言って、光の画面をひとつ開く。そこには、興昌についての生前の情報が書き綴られていた。


 久野金 興昌 男 

 戦国時代の兵法家を祖先に持つ、学者一族の次男として生まれる。(以下甲と記す)

 父は政治学者、母は医学博士、祖父は経済学者、叔父は物理学者。

 その他、親族に多数の学者や教師が存在する。

 家伝として、研鑽を続けてきた軍事学があり、甲は最もこれに長ける。

 甲は15歳で大学を卒業し、その後は一族内で英才教育を施される。

 また、甲は18歳から護身術の鍛錬を開始し、21歳で免許皆伝を得る。

 学習のし過ぎによる栄養失調が原因の多臓器不全で死亡。享年22歳。


「…事実ですか?」

「脚色なんてしてないわよ」


キーウスの額を一筋の汗が滑り落ちる。


「彼はスペックはものすごく高いわ。でも何もしてないに等しいからメモリはがら空きなの。これ以上の触媒はなかなかいないわ~」

「そう言えばいいのでは…?」

「彼は無関係よ。こっちの事情に関わらせる訳にはいかないわ」

「そういう物ですか…」

「そういうものよ。用が済んだなら帰ってくれる?忙しいから」

「ええ。それでは」


そう言うと、一瞬でキーウスの姿は虚空に消えた。

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