12話 いざ公都へ
馬車の移動ほど退屈なものもない。娯楽とかもないため、興昌は馬の乗り方や馬車の操作の仕方などを教わったが、大した暇つぶしにはならなかった。
そんなこんなで暇を持て余していると、アリスからこんな質問が飛んできた。
「興昌さん、ちょっといいですか?」
「興昌で結構ですよ、何か?」
「では興昌、あなたは旅をしていたのですよね?」
「ええ、まあ」
「あなたの国について、教えてくれませんか?」
きたか、と興昌は思った。異世界の日本から来たなんて言えない。適当にお茶を濁す。
「…ずっと東の方にある国ですよ」
「どんなところですか?」
黙っている訳にもいかない。言えるものだけ言ってしまおうか、と考え、興昌は語りだした。
「平和な国ですよ。此処とは比べ物にならないほど。国中を巻き込んだ内戦が200年近く続いて、ようやく終結したんですが、もう争いは懲りごりということで、みんなが平和を望んでいます。だから平和が続いています」
「なるほど、他には?」
「そうですね…、子供はみんな学校に通っています」
「学校…ですか?そこでは何をするんです?」
「大人が子供に文字の読み書き、計算、国の歴史…いろんなことを教えます」
そういうと、アリスの目が輝きだした。
「すごいですね、そんなに裕福な人間が沢山いるのですか」
いやいや、と興昌は否定してから続ける。
「国が決めているんです。全ての子供に教育を受けさせると。裕福かどうかなんて関係ないです」
「どうしてですか?」
さて困ったぞ、と興昌は思った。
「平和になって、争いが起きたのは物事を知らなさ過ぎたからだと気づいたんです。だから二度と過ちを犯さないように、子供たちに教育しているんです」
「へえ、勉強になりますね」
何とか難所を乗り切った興昌は、その後はのらりくらりと受け答えしつつ、琴線に触れないように注意していた。地球では、身分制がなくなって久しい。全ての人間は平等であるとの認識が根付いている。
でもこの世界では、かつて地球がそうであったように、王政による政治と、身分差別が当たり前となっている。そんな中で、全人類は平等なんだ、参政権よこせとか言ったら、逆賊として処刑されかねない。興昌はそこまで馬鹿ではない。
(何とか少しずつでも俺の理想とする国の形にに近づけないとな。教育の普及、常備軍の創設、領土拡大、etc.etc.…。やることは山積みだ。まあでも、とりあえずは内戦をどうにかしないとな。それを片づけないと内政に集中できない)
道中は何も問題なく進んだ。午前中はクリスから馬の扱い等を教わり、午後はアリス達に日本についての話をいろいろとオブラートに包みながら話し、夜は途中の村や町に泊まった。
そして、テルス村を出発してから8日後、テイニッシュ公国の公都、ユニレスに到着した。
章の終わりなので短いです。
早くタイトル回収したいなあ。




