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異世界にて天下を目指す  作者: 清水作朗
1章 異世界物語は突然に
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1話 始まり

初心者なので、温かい目で見てください

気が付くと、白しかなかった。


そこが白一色の空間であると把握できるまでに、若干の時間を要した。


ここはどこかと考えているであろう一人の男は、ふと視線を感じて振り返ると、そこにはこれまた白一色の服を着た一人の人間らしきモノが、ニコニコして立っていた。声をかけようか悩んでいると、向こうから話しかけてきた。


「ようこそ~久野金興昌くのかね おきまささん。神の空間へ」

「うん、つっこみたいところは多々あるが、一番気になるものから」


一呼吸おいて、男 興昌 は疑問を口にした。


「オカマの神様なんて初めてみたわ」

「誰がオカマだ!俺は女だゴルァ!!」


そう、この人物は着ている服は女ものの白のワンピースだったが、そこからのびる手足は、ごつごつした毛深いものであり、とても女の手足には見えなかった。

さらに言うと顔自体も彫りが深く、古い時計で有名なとある歌手のような顔つきをしている。日本だったら一発で職質ものの格好である。


「まあそんなことはどうでもいいんだけど」

「どうでもいいとは何だ!話聞けや!」


まだ怒っている相手に対して、強引に話を変え、本題を切り出す。


「ここが神の空間とやらなら、俺はなんやかんやで死んじまった。そしてここにいるということはだ、どっかの異世界にでも転生させられるとかそういうことだろ?」

「そうだ」


しばしの沈黙


「え?それだけ?」

「ああ。あ、いや、そうよ~」

「口調がもとに戻った…ほら、説明とかほかにないの?」

「あなたの言ったことで大体あってるから、説明することがなくなっちゃったの~」

「そうか、悪かったかな?」

「いえいえ、お構いなく~」


すると女神(?)はポンと手をたたいて、


「忘れてたけど、な~んであなたが転生するのかとか、聞きたい~?」

「教えてくれるのであれば、聞こうかな」


そう答えると、女神(男)は思わせぶりに咳払いをひとつして、説明しだした。咳払いの音は……察してください。


「まず転生する理由は、たとえるのなら換気みたいなものよ?」

「換気?」

「そう。この世にある世界は、あなたが前にいた地球がある世界だけじゃないのよ。沢山の世界があるの。そしてその世界一つ一つは独立した部屋のような仕組みになっていて、世界を維持したり発展するためには、その空間の中に満ちているエネルギーを消費する必要があるのよ。でも部屋の大きさに限りがあるように、エネルギーの量にも限りがあって、補充しないとなくなっちゃうの。だから時々その空間に穴をあけて、外からエネルギーを注ぎ足さないといけないのよ。でもこの空間の力は強くて、穴をあけただけじゃすぐ閉じちゃうのよ。だからエネルギーを注いでいる間、その穴を開いたままにさせるために、別の世界からその世界に人を転生させることにするの。早い話がつっかえ棒ね。」

「ぶっちゃけたなオイ」


そのたとえはどうかと思ったが、まあ実際そうなのだろう。


「まあね~。でも、このエネルギーがなくなっちゃうと大変なのよ。その世界はゆっくりと衰退していって、崩壊、消滅しちゃうの」

「やべえな」

「やばいのよ。それにほかの世界との発展度合いに差ができちゃうから、常に世界のエネルギー量を確認して、なくなる前に補充しないといけないの」

「そうなのか。神様も楽じゃないんだな」

「ええ。ただ見てるだけじゃないのよ。いちど作ったからにはちゃんと管理して、いつか来る終わりまで見届けるのが、責任を持つ、ってことよ~」

「うちの国のお偉方に爪垢でも煎じてのませたいな」


腕を組んでうんうんとうなる興昌。ふと、思い出したようにこう質問した。


「なんで俺なの?」


それに対する女神(漢)の答えは、


「適当よ~。穴を開けた瞬間に亡くなった人の中から無作為に取り出したのがあなただったのよ」

「夢や希望のかけらもないな」

「慌てているときについ近くのものをつかんじゃう感じ?まあ空間に穴をあけるのは神様でも神経使うのよ。つっかえ棒がどんな人かなんて気にする余裕ないのよ」

「男子は一度くらい、勇者やヒーローに憧れるもんなんだ」

「ごめんなさいね~。でも、それなら転生先でヒーローになればいいじゃないの」


肩を落として、いかにもがっかりした様子の興昌だったが、その言葉を聞いた途端別人のように元気になり、目を輝かせた。


「そうだな。 そうだ、そうだよ!!まだその手が残っている!ところで、俺の転生する世界ってどんなところなんだ?まだ聞いてないけど?」


そう聞いた途端、それまでとは打って変わって女神(雄)の様子が変わった。

額には汗をかき出し、視線は宙を泳いでいる。手を後ろでもじもじとさせ、いかにも何か隠してますよというオーラをにじませている。

これが本物の女神だったらかわいいのだが、目の前のは女神(笑)だからなとか考えたら、向こうから殺気を感じて冷や汗をかいたため、真面目に興昌は言葉を続ける。


「まずいこと聞いたか?」

「い、いや。じゃなくて、ええ。まあ、その、あれよ、知りたいのは当然よね。わかったわ………後悔しない?」


その迫力に一瞬たじろいでしまうが、ここまで来て後戻りという選択肢はない。


「ああ、ないよ」

「わかったわ、言うわよ、実は」


そう区切った後の、次の言葉は興昌の予想の斜め上をいった。


「あなたの行くことになる世界には、魔法がないの」

「………は?」


思わず気の抜けた声が出てしまう。


「それどころか、モンスターや冒険者とか、そういったファンタジー要素が皆無。あなたの前いた世界を古くしたような、そんな超現実的な世界なのよ」


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