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第参話 サブタイ未定

サブタイ未定済みません。後でつけときます。というわけで、どうぞ。

どういう事だろう。傷が治っている。


あの後1時間くらい眠っていたら、全快している。


隣にいるアレもどうやらそうらしい。


保健室の養護教諭に聞いてみても、「ああ、若いから」で済まされてしまった。


多分、こんな学校だ。きっと凄まじい天使みたいな能力を持ってる人間もいるのだろう。


取り留めもないことを思っていると、僕を焼いた張本人が隣のベッドから声をかけてきた。


「析華さんとの関係。」まだ言うか。それにしても、析華って名前なのか。


そういえば焼かれる前彼が連呼していた気がする。


「初対面だよ。もちろんお前ともな。初対面の人間に人権踏みにじられたり火だるまにされたり、今日は大変な日だ」


「そうか、散々だったな」


お前だよ。正真正銘お前にこんがり焼かれたんだよ。


「...低能が」アレの眉間が動いた気がする。聞こえたみたいだ。


「まだ生焼けみたいだな...この際ウェルダンにしてやろうか」


「上等だよ。こちらこそ手に入れた能力でサクッと殺してやる」


どうだろう。意気込んでみたものの自信がない。


「そこまで」言葉とともに飛んできたペンが彼の額に「ズドン」と突き刺さる。


「何熱くなってるのかしら。そんな行動は許可していないわ」


「おい。多分アレ死んだぞ」大丈夫ではないはずだ。あの音は固い物を突き破る音だ。


「大丈夫よ。死ぬことも許可してないから」言ったそばから彼は復活した。まるでパニック映画のワンシーンのように、頭にボールペンを突き立てたまま立ち上がった。


「そりゃあないですよ。析華さんに寄り付く悪い虫は僕が全部消毒するって言ったじゃないですか」


爽やかに笑うが、それ何人か殺してるんじゃないか?


「そうね。自分が一番の雑菌だってことを分かってもらいたいわね。石鹸で手でも洗って来なさい。バイキンマン」


多分手からどんどん消滅していくんじゃないだろうか。


「了解しました!今すぐ綺麗にしてきます!」いやだからそれ消えろって言われてるんだって...大丈夫かアイツ。


「ところで。自覚は済んだみたいね。迫真の演技だったでしょ?」


「あれ演技だったのかよ...」


「当然でしょう?貴方が自覚しようとしまいと、私は毛ほども興味ないから」


これには思わずため息が出る。自分のしまっておきたい記憶を引き出させておいて。


「ああ、それについては悪かったわね。私にもあるからそこはとりあえず謝っておくわね。ところで」


「なんだよ、析華」


「気安く呼ばないでもらえるかしら?貴方みたいなのに名乗る名前はないと思っていたから名乗らなかったのだけれど。それはそうと、Cクラスに編入おめでとう」


ああ、そういえば。Zの不名誉から抜け出せるのはありがたい。


「そして貴方の能力、もう自分で分かっているようだけれど。自分または他人のステータスを底上げする能力よ。なんとも微妙ね。Cに合っているんじゃないかしら」


「ステータスだけじゃなく、能力の限界値も上げられるってところが抜けてるぜ。まあ、Bに上がれるようせいぜい精進しとくよ」


「絶対に来てほしくないけれど」


言うと思った。


「まあ今日中にCクラスに顔だけでも出して来なさいな。」


「まあ、そうだな。挨拶だけでもしてくるとするよ」


____________________________________


というわけで、Cクラスに来た。緊張する。ドアにかけた手が震える。


ええい、ままよ!そのまま力を込めて開けてみた。中にいる生徒たちがこちらに顔を向ける。


「ん、君Zの」一番近い男子が声をかけてきた。


「ああ、晴れてZ卒業だよ。これからよろしく」


だが僕の挨拶を聞いた刹那彼の顔が曇った。


「あ、ああ、よろしく」ぎこちなく握手された。馴れ馴れしかったのが気に障った?


何だろう。どうやら様子がおかしい。


空席が多すぎる。出掛けているのか?


いや、違う。Zにいた元クラスメイトがどこにもいない。


「空席多いけど、みんなお昼でも食べに行ったの?」


「いや、これは欠席だよ。実は最近Zから上がってきた連中がずっと休んでてね」


なるほど。僕もいずれここからいなくなると思われているらしい。


「風邪でも流行っているのかなあ」


そうだ。...僕だ。


...僕は気付いてしまった。このクラスに欠席が多いのは風邪の所為なんかじゃないということが。


これ全部、僕の所為だ。


能力の発現には心的外傷が必要なのではなかったか。それを自覚させることなく、無理やり僕が芽を出させてしまったのではないのか。種を蒔いてもいない土地に、水をやってしまったんじゃないか。


おそらく皆、自分のトラウマに無理やり向き合わされてしまったのだろう。


向き合う勇気も、まだ持ち合わせていなかったのに。


「大丈夫かい?」彼が尋ねる。余程ひどい顔だったのだろう。


「ああ、ごめん。まあ、そういうことだから」


僕は自分が怖くなった。人の未来を、才能を。奪ってしまった。


Zクラスに逃げ帰る様に飛び込むと、中に析華がいた。


「自分のしたことの重大さに気付いたみたいね」


「僕は...僕はなんてことを...」


「実は、私が貴方の解析を先生に依頼されたのも、それが原因。貴方のせいで中途半端に目覚めてしまった能力者たちが各地で色々やらかしてるのよ」


それで...僕にどうしろって言うんだ...?


「単刀直入に言うわ。彼らを止めてほしい」


ああ、やっぱり。自分で出した芽だ。自分で摘まないと。


...いいぜ。やってやるよ。それが僕の償いなら。


「いい返事ね。私も一応サポートとして付けられているから、協力するわ。感謝しなさい」


まだ口を開かない僕に、彼女はそう言って笑った。

ありがとうございました。誤字とか表現の誤りあったら、どうぞお知らせくださると幸せです。

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