プロローグ
暇で暇で仕方がないときにどうぞ。
さて、僕は今大きく「自習」と書かれた黒板の前で一人机に突っ伏している。
何故そんなことになってしまったのか。僕は親愛なる読者である君たちに教えておかねばならないのだろう。
いや、そんなこと言うなって。大丈夫だよ、先っちょ、先っちょだけだから。
なんて。冗談を言ってはみたものの、いまいち張り合いがないなあ。とりあえず自己紹介から。
さっきのも十分事故紹介だったな。渋滞高速道路の玉突き事故並に。
僕の名前は臥竜 発斗だ。
そして、僕が教室に一人でいるのには理由がある。
まず順を追って説明しよう。ここは能力開発を主に目的とした学校、高瀬学園だ。
...。そしてなぜ僕が「一人」で教室にいるのかというと、僕が正真正銘の落ちこぼれだからだ。
そう。いつも僕は後ろから追い抜かれてきた。
僕も努力はするのだが、周りも案外要領がいいらしくどんどん追い抜かれていった。
おかげで中学時代は「ヤムチャ」なんてあだ名をつけられたり、「画竜点睛」なんて言われたっけ。なるほど今考えてみると上手いことを言うものだなあ。
おっと話がそれてしまった。戻そう。
この学園はクラス分けがされている。それは能力の汎用性や利便性、強さなどによって分けられるのだ。
まずSクラス。とてつもないクラスだ。やろうと思えば多分世界でも滅ぼせるともっぱらの噂だ。
そしてAクラス。Sクラスには劣るものの、彼等だけで日本のエネルギー事情などは一瞬で解決する程だ。
Bクラス。まあ、一部の特殊な環境下において性能を発揮する能力が集まっている。
Cクラス。このクラスはハッキリ言って微妙だ。例えていうなら、「50mだけ瞬間移動できる能力」など。察してくれ。
そして僕はそんなCクラスにも所属することが出来ない、Zクラス。未だ能力開発の成果なし。僕に言い渡された結果はそれだった。
期待に胸を膨らませた入学式。あの時点ではZクラスはむしろ他よりも多く、40人ほどが所属していた。
いや、もう一人もいないのだけれども。
「なんだかなあ...」僕の空しい呟きはすぐに教室に吸い込まれ、聞こえてくるのは空調音だけとなった。
実家に帰ろうか...でもあの家族の下に帰るのはそれはそれで嫌だなあ...。
何故嫌かというと、殺されるからだったりするのだ。道場経営の家族は全員脳が空っぽで、よく言えばボディの軽量化に成功、移動速度の上昇を実現している。
そんな家族から逃げて独り暮らしをしているのだが。
いかんせん暮らしに華がなさすぎる。人と話してないとなると欲求不満にもなるものだろう。
彼女の一人や二人居れば解消するんだがな。
と、我ながら下種な独白を心の中でしていたら教室のドアが特に音も立てずに開いた。
「おはよう。...臥竜くんだったかしら?これからは下種くんと呼ばせてもらうわね」
彼女は初対面の僕に清々しいほどの軽蔑の表情を浮かべ、挨拶代わりに毒を吐いた。
ありがとうございました。