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第八話

パシンという音が青白い閃光と共にスフィンクスの尻尾から流れた。

それを見たもっちゃん、オクトバ、ノエルは直ぐに攻撃を止め、近距離職と魔法職の体力とMPの回復作業へと移行した。

近距離職は攻撃の手を少し緩め、タゲをギリギリ近距離職のみ固定させる。

そして魔法職は変わらず攻撃重視の魔法を打つ。


スフィンクスとの戦闘が始まってから1時間。

スフィンクスの体力は残り1本と7割まで減っていた。

砂鉄防御からの全体攻撃はそれほど頻繁に起こるものではないが、それでも2回。物理ダメージを与えすぎ、砂鉄による全方位攻撃を食らっていた。

それによって蓮と朝比奈はHPが満タンから残り2割まで減ったりとしたが、アレコスとNONOのカバーにより特に危なげもなくHPを回復する事が出来ていた。

蓮もスフィンクスの動きを覚えたのか、ローリングには伏せ、踏みつけは回避し、ジャンプの反動攻撃には防御することをほぼ完全にやれていた。

アレコス「くっそ!ゲーム時代は30分あれば倒せたのによっ!っと。やっぱ一回壊れたせいでどっか変わっちまったのか?」

朝比奈「わからないです。ただミートスパイダーの事もあるし…。もしかしたら他のゲームのデータと混ざってる所とかあるのかもしれません。」

アレコス「そんなことあんのかよ?違うゲームならプログラミング自体も違うんじゃねぇのかよっ!と」

朝比奈「そんなっ!く…詳しく知るわけないじゃないですかっ!!」

蓮「(…よく攻撃しながら喋れるな…この人ら…)」

アレコス「まぁそれも!…そうだな。…ローリング来るぞー。」

アレコスの声を受けて近距離職全員が伏せる。

ローリングの後、サラサラと身にまとっていた砂鉄が落ち始め、砂鉄での防御が終了することを確認した遠距離職が攻撃を始めた。



残りHPが1本を切り、新たなスタン攻撃と毒霧攻撃が追加される。

近距離職はその予備動作を警戒し、少しだけ攻撃速度が低下する。

それを見た魔法、遠距離職たちは自分たちにタゲがつかないよう彼らも攻撃速度を低下させる。

結果的に5本から残り1本までよりも遅くなってしまう。

そして蓮はこの1本が残り7割になるまで遠距離職の所で待機ということになった。

理由はライトスタン攻撃と毒霧攻撃の予備動作を覚えるためである。

アレコスとNONO、朝比奈は既に知っている故避けることが可能だが、蓮に至っては全くの初見である故、どれだけ口で説明しようともいざ実践となるとそれを実行するのは難しい。

だからしばらく見学し、予備動作を覚え、避け方を覚えたら戦線に復帰しろとアレコスが提案したのだ。

NONOと朝比奈はそれを承諾し、ブツブツと文句を言う蓮を遠距離職の所まで下がらせたと言う事だ。


不意にスフィンクスは身をグッと屈め、ブルブルと震え始めた。

それを見たアレコス、朝比奈はすぐに[ラインムーブ]を使い後方へと下がり、NONOは[ラインムーブ]を持っていないが、レアパッシブスキルである[異常状態耐性]を活用して走ってスフィンクスから距離を取る。

その瞬間、スフィンクスの体から紫色の霧が辺りへと噴射された。

毒霧攻撃である。

毒霧攻撃のわかりやすい予備動作は震えることだ。

スフィンクスは毒霧を吹き出す数秒程前に力んでいるのか一瞬だけ震えるのだ。

その震えさえ見分けることが出来れば攻撃に集中し、屈んでいるのを見逃しても毒霧を避けることができる。

毒霧は最低1分間少しずつHPが減っていく状態異常の[毒]を100%の確立で付加させる攻撃だ。

[毒]は最低1分とあったが、状態異常回復魔法か毒消し作用のある回復薬を使わない限りなかなか治ることはない。

その理由は[毒]の解毒確率である。

[毒]を放置して、自然回復を待つ場合、1分間の間は自然回復確率は0%で、1分間経ってから1秒経つごとに回復確率が0.1ずつ上がっていくのだ。

つまりまともに治り始めるのはおよそ毒になってから4分~5分。

その間ずっとHPは減り続ける故、総ダメージとなるとかなりの量となってしまう。

[異常状態耐性]は、まず毒などの異常状態になる確率が下がる。

スフィンクスの毒は確定異常なので確率低下は当てにならないが、[異常状態耐性]を持っていると自然回復率の上昇もかなり早く、回復率上昇開始まで10秒掛かり、その後1秒に1%ずつ回復率が上昇する強スキルである。

このスフィンクス戦ともなると一つの状態異常が命を落とす原因になる。

ましてやスタンやポイズン《どく》状態ともなると一層気を配らなければならない。

蓮は戦いたい気持ちをグッと抑え、スフィンクスの動き、皆の動きを一層強く観察し続けた。


蓮「行きます。」

ノエル「…気をつけてね。」

ノエルの言葉を受け、蓮は首を縦に振ってスフィンクスに駆け出した。

最後のHPバーが残り7割を切った為、今まで状況を観察していた蓮が前線に復帰する。

スフィンクスに十分に近づいた時に、丁度NONOのスキル回しが終わり、朝比奈がスキルの準備をしていた。

蓮「俺がやります!」

大きな声を出し、戦線復帰した事を皆に知らせる。

その声を聞き、朝比奈はスキルを抑え、通常攻撃を放っていた。

蓮は直ぐに攻撃スキル[ヒット]を発動させ、スフィンクスへとダメージを与える。

NONO「助かったよ!皆クールタイムギリギリだったからこれで安定するよ。」

アレコス「悪ぃ。俺はさっきので殆どクールタイム入っちまった…」

蓮「俺はまだ攻撃スキル全部で2つしか覚えてないですけど出来るだけ時間は稼ぎます!」

アレコス「無茶はすんなよ!」

蓮「っと!了解です!」

[ヒット]の後に[シンク]を発動させ、返事を返す。

スフィンクスが口を開け、噛み付きの予備動作をした為、蓮は横にジャンプして回避する。

その回避中にスキル[ヒット]に替え、それを放つ。

102の数字がスフィンクスから飛び出す。

それを機にスフィンクスの残りHPを伺うと、残りは1本の半分まで減っていた。

蓮の持つ[ヒット]と[シンク]は、効果が若干弱いスキルとして知られている。

だが、クールタイムがおよそ3秒で終了するので、MP次第ではかなり連続的に発動できる取り回しの良いスキルでもあった。

蓮のMPが減り、スキル回しが終わったことを確認した朝比奈はスキルを発動させ、スキル回しを開始する。

その後はアレコスのクールタイムも終わり、合流したことで安定し、特に問題も無くスフィンクスのHPを減らしていった。




蓮「これで!終わり!!」

後一撃と言う所で蓮が叫びながらスキルを発動させ、そのスキルが炸裂すると。スフィンクスは大きな咆哮を上げながらその巨体を崩した。

蓮「………や…」

全員「ぃやったあああああああ!!!!!」

スフィンクスの体が溶け弾け、皆が歓声を上げる。

蓮、朝比奈、ジャックキャット、舞戦がレベルアップの表示を頭上に掲げ、他の人間はそれに対し賞賛の言葉を送る。


朝比奈「やったよ!やったね!蓮君!」

蓮「はい!誰も死なずに攻略できましたよ!」

アレコス「おいおい…。縁起でもねぇこと言うなよ。全く。」

蓮「あっははは。すいません。」

アレコス「まぁでも、やったな。お前が頑張ったおかげだ。」

蓮「そんな…そんなことないですよ!だって俺なにもしてないようなもんですよ?」

朝比奈「何言ってんの蓮君!私たちがこのダンジョンを攻略するきっかけをくれたのは蓮君なんだよ?そのおかげでクリアも出来たんだし。胸を張ってもいいんだよ?」

蓮「あ…そう言えばそうでしたね…。えっと…はい。ありがとうございます。」

アレコス「ともあれさっさと外に出ようぜ?この後このダンジョンがどうなるかわかったもんじゃねぇからな。」

朝比奈「そうですね。行きましょう。」

アレコスを先頭に近距離職達はボス部屋出口へと足を向ける。

その中、NONOがついて来ていないことに気付いた朝比奈はNONOのいた方向へと顔を向ける。

長らく緊張していた疲れからか、NONOは仰向けに寝転がっていた。

朝比奈はフッと短く溜息を付き、NONOの元へと駆け寄った。

朝比奈「NONOさん。行きますよ?…もう皆帰り初めてますよ~」

ユサユサと体を揺らすもNONOは目を閉ざしたままだ。

アレコス「おーい!ピンクラビット!NONO!さっさと行くぞ!」

朝比奈とNONOに気付いたアレコスはNONOへと声を掛ける。


─フワリ

NONOの体から青い数字の羅列が一本飛び出していた。

それは2本3本と数を増やし、最終的には数え切れない本数となった。

朝比奈はそれを見て戸惑い、周りを見渡す。

アレコスは目を見開き、驚愕の表情を浮かべている。

蓮「朝比奈!!!逃げろ!!!!!」

当然蓮が叫び、朝比奈へと呼びかける。

その声を聞いた朝比奈は訳も分からずに蓮達の方向へと向かい走りだすが、


その走り出した足は数歩歩いた所で止まり、朝比奈は崩れるように倒れこんだ。


倒れこんだ朝比奈からはNONOと同じように数字の羅列が飛び出し始めた。

蓮の視界では朝比奈のHPが瞬間的に0になり、右上には一本のHPバー。朝比奈が倒れこんだ場所には[Tutankhamen]という名前表示。

そして何処かテレビで見たことのある仮面を被った包帯だらけの人間が先が丸い形をした十字槍を持ち、立っていた。

アレコス「…そんな…嘘だろ?」

[Tutankhamen]は槍を構え、戦闘態勢に移行する。

蓮「てめぇええええ!!!」

アレコス「待て!行くな!!」

朝比奈を殺されたことからか、怒りを露わにした蓮が[Tutankhamen]に向かって走り出した。

[Tutankhamen]はそれを察知してか、槍による超速の突撃を繰り出す。

蓮は突如迫ってくる[Tutankhamen]に不意を突かれるが、すぐにアレコスが蓮の前に立ちふさがり、[Tutankhamen]の攻撃をガードしていた。

蓮の視界でアレコスのHPが7割も減っていった。

アレコスはスキルを使い、[Tutankhamen]に攻撃を放つ。

すると839と言う数字が飛び出し、一本しかないHPバーの4割も削れていった。

だが、[Tutankhamen]はそれを気にした様子もなく槍をぶん回し、アレコスへと切り込む。

一瞬アレコスは後ろにいる蓮を視認し、槍を剣で受け止めた。

ガードをしたにも関わらず、アレコスのHPは瞬時に0になり、アレコスは崩れるように倒れ、そして数字の羅列を吐き出し始めた。

蓮「あ…あぁ………。」

蓮の前に立つ[Tutankhamen]はアレコスの死体を踏み越え、蓮へと近づいていった。

だがその途中、[Tutankhamen]の仮面が突如爆発し、350と言う数字を吐きだした。

ノエル「大丈夫!?そいつは一体なに!?」

遠方からノエルが狙撃していたのだ。

攻撃を受けた[Tutankhamen]は視線を蓮からノエルへと写し、先ほどと同じ突撃の姿勢を取る。

蓮「逃げて!ノエルさん!!逃げて」

ノエル「え?」

ノエルが蓮の声を受けて少し戸惑っている間に、[Tutankhamen]は先ほど放った超速の突撃を放ち、ノエルを貫通した。

ノエルからは4524と数字が飛び出し、アレコスと同じように倒れ、数字の羅列を吐きだした。


残り46時間 進行率、99% 死者:ノエル、pinkrabbit、アレコス、NONO 合計4人。

ここまで見てくださった方々。ありがとうございます。

突然ですが感謝の言葉を伝えたくて…

もしもこの小説、楽しみにしてくださっている方々がいらっしゃるのでしたら、私は本当に嬉しいです。

語学力が低いですが一生懸命書いていますのでどうかこれからもよろしくお願いします。

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