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第二話

この話は作品に出てくる専門用語の説明が主となっております。

~朝倉蓮、学習結果ノート参照~

リアルオンライン事件 6月18日。

・この世界では、オンラインゲームが現実世界に反映する「リアルオンライン事件」が起こっている。

・理由:ハッカー集団によるオンラインゲーム”ブラッド・ハーツ・オンライン”の破壊と、天才「柿本正樹」が開発した2つの変換プログラムシステム。略してCPS(Conversion Program System)の暴走。


・専門用語


リアルオンライン事件:全世界で起こっている問題事件。非接続者を守るために接続者は全力を持って解決に励まなければならない。また、接続者がログインし、戦闘により死亡した場合、デスペナルティとしてその心臓を止められる事が確認されている。


発現現象:オンラインゲームが現実に反映し、化物が出現する現象。もしくは、接続者達がログインする事が出来るエリアの発生現象。


発現フィールド:モンスターが出現するエリア、もしくは接続者がログインすることが出来るエリアの総称。非接続者が建物外にいる場合速やかに発現フィールドから救出しなければならない。


接続者:オンラインゲーム「ブラッドハーツオンライン」をプレイしていたユーザーの総称。そして、発現現象によって発生したエリアでのログインが可能な人間達。


バックドア現象:本来建物内での発現現象は起こらないと5年前からの統計で出された結果であるが、極希に建物内での発現現象が起こることがある。何故建物内での発現現象が起こらないかは未だ不明である。


護衛地区:各接続者に与えられる地区。その地区に発生した発現フィールドの消滅を目的として全世界に存在する接続者に割り振られる。能力に応じて護衛地区の重要度が変化する。


フリーランス:護衛地区を与えられず、世界各地の情報量に応じて送り出される精鋭達。

現在のフリーランスでは最高レベル保持者、レベル42、アカウント名「午後の緑茶」

32レベル、アカウント名「まじぇく」

31レベル、アカウント名「chandelier」が有名である。


ブラッドハーツオンライン:世界初のフルダイブ型のレベル制のゲームで、カンストレベルは100。MMORPG。シナリオは15章まであり、第一部は完結しており、第二部の準備中にゲームが破壊された。


職業:ブラッドハーツオンラインの職業は大きく分けて3つ、近距離職のファイター。遠距離職のポインター。魔法職のマジシャンである。


シナリオ:約一年前、世界には魔物が出現した。その理由はこの世界を覆っている血の魂道と呼ばれる死者の魂が集まる場所に魂が入りきらなくなった為、そこから溢れた魂が悪霊化し、魔物へと姿を変貌させた。

それを解決するには、血の魂道に飽和している魂たちを浄化し、血の魂道を正常に戻す事が必要だった。

世界を統べる首脳達は、血の魂道を浄化する者を探し、そして一人の旅人が見つかった。


・情報量とその関係性

発現現象が起こる間際、その周囲に情報が集まる事が観測されている。

これを応用し、発現現象が起こる場所のおおよその推測が可能となり、事前に現場に向かう事ができるようになった。

この情報量を観測しているのは世界各地に設置された情報汲み取り予測演算装置である。

各地の情報量に応じて、発言現象の頻度や出現するモンスターの強さなどが変わり、そこに最適な人員を配置する事が必要である。



蓮「アクセスログイン」

蓮がそう呟くと、頭上に蒼い球の光りが出現し、そこから数字の羅列が降り始めた。

彼が接続者となって2週間が経った。

1週間に渡るこのゲームの基礎知識、今起こっている現象の勉強をクリアし、同じ地区を護衛する朝比奈瑠花、武藤恋次と発現現象の対応訓練をしている。

現在は護衛地区に発生した発現フィールドの消滅条件のクリアを目的として活動している。

発現フィールドの消滅条件はログインした後にクエストの欄を開くことで見ることが出来、今回、蓮が遭遇した発現フィールドの消滅条件は「発生したモンスターの全滅」だ。

出現したモンスターを視界に入れ、ゲームにログインした蓮は腰に下げている直剣を抜き、柄を握り締める。

仲間がいるとは言え、蓮のレベルは1。出現したモンスターの適正レベルは6。その差5Lvは恐怖の対象として十分なものであった。

出現したwatercardという名前のモンスターはまだ蓮には気付いて居ない。何故ならターゲット(タゲ)を合わせられる領域に入っていないからだ。

モンスターには大きく分けて2種類ある。プレイヤーが攻撃することでタゲを合わせるノンアクティブモンスター。

そして、モンスターに攻撃を仕掛けていなくともプレイヤーを見つけると攻撃を仕掛けてくるアクティブモンスター。

watercardはアクティブ故に近づきすぎるとプレイヤー目掛け攻撃を仕掛けてくる。

それを知っている蓮は少しずつ、タゲを取られるギリギリのラインまでwatercardに近づいていく。

蓮の後ろには朝比奈が待機しており、戦闘の動き次第ですぐに援護に入る事ができるようになっている。

その理由は、蓮に必要なのはこの発現現象に慣れる事が大切。と朝比奈が言い出し、しばらく単独での戦闘を行うことになったからだ。

本来はバラバラに分かれてモンスター達を殲滅し、発現フィールドの速やかな消滅を目的とするが、戦闘初心者ということもあり、蓮が戦闘にある程度慣れるまでツーマンセルワンペアで行動しているのだ。

ちなみにもう一人の接続者である武藤恋次は他の所で出現したモンスターの駆除を行っている。


蓮の視界には出現した魚人型モンスター。「Water curd」とその体力、自分の体力、朝比奈瑠花のアカウント、「Pink rabbit」の体力と武藤恋次のアカウント、「soccer pride」の体力が表示されていて、それは朝比奈にとっても武藤恋次にとっても同じことだ。

蓮の体力が少なくなり次第で朝比奈は援護に回るつもりなのだろう。

そしてその援護に回った朝比奈の体力次第で武藤恋次も駆けつけると思われる。

その場に居ない人間の体力が何故分かるか。それはパーティ(PT)と呼ばれる一時的に協力関係を結ぶシステムを使って離れたアバターとリンクしているからだ。

PTを組む理由はPTメンバーの体力が離れていても分かったり、どこに居るか把握することができる故、発現フィールドの消滅を目的にバラバラに行動するときにかなり便利だからだ。


watercardの頭が蓮の方向へ向き、蓮へ近づいていく。

恐らく蓮にタゲを合わせたのだろう。

隙を伺うようなモーションを取るwatercard。これは運営者が設定した臨場感を出す為のアクションで、本当に隙を伺っているのではない。

蓮「すー…っ!」

蓮は息を大きく吸い、思い切り地面を蹴る。

近づいてくる蓮を見、身構えるwatercard。

手に持つ片手直剣をwatercardへと振り下ろす。

攻撃の出が少し遅かったのか、watercardは腕を使い攻撃を防御。その後に足を使っての反撃を繰り出す。

蓮「ぐっ!」

鳩尾部に足蹴りを喰らい、腹の奥から何かがこみ上げてくるような感触を必死に我慢する。

既にwatercardは次の攻撃のモーションへと写っている。

蓮はそのモーションを読み取り、後ろへとジャンプする。

だが、それを先読みしていたかのように次にwatercardが繰り出した攻撃は突進だった。

バックジャンプ程度では近接攻撃は回避できても接近攻撃は回避することは難しい。

蓮「っ!」

咄嗟に剣でガードするも、威力はかなりのもので体力のおよそ2割を削られていく。

突進による衝撃で後方へ押し戻されたが、その後の追撃が来ることはなく、watercardはその場で蓮の様子を窺うように動きを止めた。

体力が無くなると死んでしまう。と言う恐怖が蓮を取り巻くが、それで硬直していては自殺も同然だと朝比奈や武藤にしつこい程言われていた蓮は何とか目の前の敵を凝視した。

一方watercardは一歩一歩ゆっくりと蓮の方へと近づいていく。

蓮「(朝比奈さんに言われた様に…一度様子見で…)」

watercardとの距離が約2m程になったところで蓮は敵へとダッシュし、距離を詰めた。

それを感じ取り、watercardは防御の姿勢を取る。

蓮「(…一気に距離を詰めようとするとこいつは最初に防御するのか。)」

そう。このwatercardの対処法は案外簡単なもので、watercardがガードしている最中に攻撃し、そのガードが成立すれば瞬時に強烈なカウンターが繰り出されるが、逆にガード中にガードされていない部分。つまり背中や足の部分を攻撃すると、通常よりも2倍のダメージと後ろへののけぞり効果ノックバックを与えることができる。

蓮はそのことを知らされていなかったが、朝比奈の助言である「敵を観察する事の重要性」の話を思い出し、それにより攻略法を見つける事が出来たのだ。

ガードしているwatercardの後ろへと回り、思い切り剣を振り下ろす。

背中を攻撃されたwatercardは「ギョッ!」と潰れたカエルのような声を上げて前へノックバックする。

この機を逃さんとばかりに蓮は連続で剣を振るう。

目の前に67や43といった数字が飛び交い、敵にダメージが入っていることが確認できる。

だが、4発目の数字には、3という数字しか出ず、5発目を入れた時には見事にwatercardの回し蹴りが顔面へとヒットし、目の前がグワグワと歪む混乱状態スタンを食らっていた。

視界が歪みその場に座り込んだ蓮の前で、watercardは思い切り足を振り上げ、かかと落としの姿勢に入っていた。

蓮「(逃げ…なきゃ…!!)」

何とか逃走を図ろうとするも、足元が覺束おぼつかず地面に伏せてしまう。

蓮の残りHPは半分残ってはいるが、watercardが繰り出す攻撃がどれほどの威力かはまだ蓮は知らない。

故にこのかかと落としで一気にHPが0になる可能性もある。

そうなればその先に待っているのは「死」だ。

蓮「(逃げ…逃げ!!!)」

無様にも地面を這うように移動する。

だがwatercardはそれを許さないかのように振り上げたかかとを振り下ろす。

かかと落としが蓮の背中へと直撃し、蓮の視界に表示されているHPがまたもガリガリと削れていく。

蓮「…─っ!!!!─っ!」

痛みを忘れる程の恐怖に駆られ、声も出さずに悲鳴を上げる。

HPは残り2割を残して減少を止めた。

だが、蓮は完全に恐怖に支配されて動けなくなっていた。

朝比奈「…これ以上はダメそうね…。」

いつの間に移動したのか、watercardの後ろには桃色の甲冑を来た騎士が立っていた。

朝比奈の急接近に気付いたwatercardは即座に腕をクロスさせ、防御態勢を取った。

朝比奈はwatercardの足を払い、倒れ状態ダウンにし、手に持つ剣をwatercardの腹に突き刺した。

503と言う数字が飛び出て、watercardのHPゲージは空になった。

watercardが溶け弾け、朝比奈は剣を鞘へと収めた。

朝比奈「大丈夫?いきなり5レベ差はちょっと酷だったかな?」

朝比奈が蓮へと歩み寄り、声を掛けるも蓮は息を荒くしているだけで言葉に対する反応はなかった。

その様子を見た朝比奈はそっと蓮の頭に手を乗せ、撫で始めた。

蓮「…っ!ぁ……ぁぁ……」

朝比奈の手のぬくもりと心地よさに我を取り戻した蓮が次に起こした行動は泣くことだった。

死と言う恐怖をその身に十分に受けた蓮は自分が生きていることを実感し、自然と瞳から涙を流していた。

朝比奈「君は案外、泣き虫なんだね。」

そう言って朝比奈は蓮が落ち着きを取り戻すその時までその頭を撫で続けていた。


朝比奈「蓮君。武藤君が他のモンスターを倒している内に貴方が装備している物を確認しておきましょう?」

蓮「え?」

装備。これはこのリアルオンライン事件の解決に携わる接続者にとって最も重要な物。

強い武器を装備していればその分相手に与えるダメージを増やせるし、硬い防具を装備していればその分ダメージも軽減される。

他の接続者達はこのブラッドハーツオンラインをやっていた時代の防具を最初に装備していたが、ゲームをプレイしていない蓮の場合はそれに入らない。

自分の装備の確認は今の蓮にとってかなり重要なことなのだ。

朝比奈「watercardといえどレベルの差は5もあるのにかなりの防御性能みたいだったし…多分初期装備ではないと思うけど…」

蓮「えっと………それってどう見ればいいんですか…?」

年上といえど女性の前で大号泣した後故に恥ずかしさがあるのかおずおずと蓮は問う。

朝比奈「あぁ。そうだったわね。装備ウィンドウ展開と頭で思えばそれに反応して開いてくれるわ。」

蓮は言われた通りに頭で念じると、蓮の目の前にStateと書かれたウィンドウが開かれた。

蓮「(ステイト…「状態」って意味か…)」

状態ウィンドウには簡易的な人体絵と、それぞれの部位から伸びる線、そしてその先に四角の囲いが合った。

伸びているのは上半身、下半身、腕の3つ。

上半身と下半身、そして腕の3つ全てには見覚えのないマークが既にセットされていた。

上半身と下半身は恐らく防具。そして腕は武器と言ったところであろう。

朝比奈「装備ウィンドウを開いたら体から伸びてる四角をタッチすると詳細が見れるわ。」

言われた通りに蓮は腕部分をタッチする。

すると新たなウィンドウが開かれる。恐らく武器の詳細だが、

蓮「なんだ…これ…?」

開かれたウィンドウは意味不明な文字の羅列が表示されていた。

その中で唯一読むことが出来るのは一番最初の部分だが、そこには明らかに名前表示では無い形で「unknown」と書かれていた。

朝比奈「どうしたの?」

蓮「えっと…何だかよく分からないことになってるんですけど…」

朝比奈「………ちょっと見せてもらえる?えっと、オプション画面を開いてウィンドウ公開設定をPTメンバーを許可の欄にチェックを入れてくれれば私も見ることができるから。ウィンドウの開き方はさっきと同じね?」

蓮「はい。えっと…」

蓮は先と同じようにウィンドウを操り、朝比奈の言われた通りに操作し、もう一度stateウィンドウを展開した。

朝比奈「コレは……一体何…?」

見た瞬間に朝比奈が放った言葉は蓮が思った通りの言葉だった。

いくら経験者ではないとしても蓮の目から見てこの状態は異常であることは明確だった。

朝比奈「武器の名前表示の所もちゃんとしたものじゃなくてエラー表示としての「unknown」…それに説明文やエンチャント情報の所は全部文字化けてる…」

蓮には分からない単語が幾つか出現し、疑問符を頭に浮かべているとそれを見た朝比奈は自分のウィンドウを操り、朝比奈の状態ウィンドウを連に見せた。

朝比奈「普通はこういう風に装備の名前とかその説明、エンチャント情報が書かれるはずなの。」

朝比奈が蓮に見せたウィンドウにはこう書かれていた。

名称

「ブライトタイト」

分類

「片手剣」

使用許可レベル

「8」

説明

「魔素を吸った鉄鉱石を利用して作られた頑丈な剣」

効果

「無し」

【エンチャント】

Lv1攻撃力増加 Lv1体感重量軽量化


そのウィンドウにはちゃんとした日本語で書かれており、蓮の装備のような滅茶苦茶なものでは無かった。

朝比奈「もしかして防具も同じように─」

言いかけた朝比奈の言葉を遮ったのは周辺の発現フィールドの消滅だった。

一瞬世界が赤く染まり、空からパネルのようなものが捲られ、本来の色を取り戻していく。

世界が元通りになった頃には蓮と朝比奈はログインする前の服装に戻っていた。

蓮達とは別に動いていた武藤恋次が発現フィールドの消滅条件をクリアしたのだ。

朝比奈「…これは次の発現現象が起こったときに確認しましょう。まぁ。次は無い事を願うけどね?」

朝比奈と蓮は不完全燃焼ながらも気を取り直し、対策部への帰路に付いた。



空を翔ける一機の航空機が合った。

その機体には何も書かれておらず、どこの国の物なのかは分からない。

だが、この航空機はどこの国に侵入しても警備されこそすれ攻撃されることは無い。

理由は接続者の中でも精鋭に分類されるフリーランスと呼ばれる人間達が乗っているからだ。

中の人数はおよそ10人。フリーランスの人数の百分の一にも満たないが、平均レベルは29レベルの接続者達だ。

「その地区には噂の接続者…名前は確か朝倉とか言ったかな?そいつが居るんだろう?」

「そうみたいですね。なんでもそいつが出現してから情報量が段々と多くなってきたらしいです。」

「監視レベルは2か。だけどこんな田舎に情報が集まる事は今まで無い事だったからな。俺達が行くのも頷けるは頷けるんだが…」

「慎重になりすぎてると言いたいんですか?ですがこの地区には非接続者が接続者になるという未曾有の出来事が起こっているんです。警戒してもおかしくないかと」

「だけどこの朝倉って奴が接続者になった時期から世界の情報量が増えるのとは別に、世界的な情報量の動きが少しおかしい動きを見せるようになってないか?」

「そうだよな…偶然って事もあるだろうけど…」

「偶然で今まで出現しなかった海中とか砂漠とかに発現現象が起こるかよ?もしかしたらこの接続者の出現は何かの予兆なんじゃねぇのか?」

「それに対応出来ずにロストグラウンドを幾つも作ってしまったのは今でも少し悔やまれるね。」

ロストグラウンド。

蓮の学習結果ノートに記載されていなかったが、コレは接続者が戦う理由だ。

発現現象が起こればその場にいる非接続者はモンスターに攻撃されると死んでしまう。

では発現現象が起こった時に非接続を発現フィールドから脱出させ、後は時間経過でどうなるのか。と言う選択肢を考えた人間が居た。

その案はすぐに採用され、一つの村で起きた発現現象で決行された。

発現フィールドの出現を未然に感知した対策部は村にいる住民を全て安全な場所へと避難させ、発現フィールドの消滅を待った。

出現から丁度3日後。

その作戦に参加する者達を震撼させる出来事が起こった。

確かに発現フィールドは消滅した。

だが、その発現フィールドの範囲全てが球体状に「消滅」したのだ。

消滅。つまり何もなくなったのだ。

そこにあった村が消滅した。地も、木も、水も、家畜さえも全て消えた。

恐らく発現フィールドが出現するとき、元あったものは全てCPSによりデータへと変換され、それを元に建築物の再現をしている。

つまり元あった建築物のデータは再現されているだけで戻されたわけではなく、一時的な封印を掛けられているものを考えられる。

恐らく発現フィールドが発生するときに現れる謎のパネルは封印と再構築の処理の証なのだろう。

そして、発現フィールドの消滅条件を達成せずに3日以上経過した瞬間。その封印されたデータは削除され、それと同時に発現フィールドも消滅すると予想される。

これがロストグラウンド。失われた大地である。

「もしかしたらこれから私たちが予想もしないような事が起きるんじゃない?」

「例えばどんなのだよ?」

「それは私に聞かれても分からないけど…だけどなんだが準備しているような感じがして…」

航空機の中はシンと静まり返った。

各々がこの変化について真剣に考えているのだ。

この事件。リアルオンライン事件は自分の命だけでなく他人の命、家族の命、恋人の命の危機となる可能性は多いにある。

故に猪突猛進に近場に発生した発現フィールドを消滅させるだけではダメなのだ。

彼らフリーランスは上からの命令で動くこともあれば自分たちで動くこともできる。

世界の情報量の動きをよく把握し、的確な援護に行くことで一人のでも多くの人を助けることができる。

今でも世界では発現現象によって死亡する非接続者は多い。

それを一人でも多く助けるのが彼等の役割なのだ。

10人のフリーランス達を乗せた航空機は蓮達のいる対策部へと向かっていった。


7月21日。

朝倉蓮、朝比奈瑠花、武藤恋次担当の護衛地区の情報量の急激な上昇を確認。

監視レベル4。

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