さあ、勇気を出して聞きましょう!
起承転結の結び、前半のさらに前半部分です。短めです。
「お父さんお母さん、ディア。聞きたいことがあります」
―――ヴェインとのやり取りの翌日、わたしは晩ごはんの席にてそう切り出しました。
今晩は、皆が揃っての晩ごはんです。
なんだかとてもお久しぶりな気がしますね、不思議です―――最後に一緒だったのはランドン氏とカフェでお会いする前の日なので。あの日は朝から唐突に発熱したディアに会えなくなるは、いきなり予定がずれ込んで取引先に両親が泊まりでいくはめになるはで、とても大変でした。
――でもいま思えば、少々無理があったような気がします……ディアが寝込んだのと両親の都合のタイミングが。
……悲しい現実ですが、ディアが体調を崩すのはいつものことなんです。一週間の半分は寝込んでいる計算になりますね。下手したら月の半分以上、お布団のなかです。
そして、両親が急に仕事を入れたり、予定が突然早まったりするのもいつものことです。
―――例えば、両親が遠いところへ出張するときなど、家と店を長期間離れるその日、ディアが寝込んでいるとします。
そうすると、よほどのことでもない限りは、必ずどちらか片方が家か店に残るんです……店は家の目と鼻の先だから、何かあっても駆けつけられるので。そんなときはわたしが家か店のどちらかで待機しています。
しかし、今回は違いました。夜分からディアが発熱したとジョナサンから報告があったのに、朝食を食べ終えるなり、すぐに荷物をもってでかけた両親。ジョナサンもディアのことがあるのに呼び止めなかったんです。そのとき、わたしは感じた小さな違和感をあまり深くは考えなかったんです――おかしいと。
いつもの状態なら、ジョナサンから報告された両親は、わたしを含めて相談し、先方へすぐさま連絡の馬を走らせます。そして、恐らく母が残り――晩餐会があるので、父がわたしを伴って取引先に向かう。……そんな流れになったはず、です。
その理由には“何か”が背景にあるのだと――一度疑ってみて、冷静に考えてみれば、すんなりと答えが出ます。
『ことの言い出しっぺはそちらですわ』
『のったのはあなたの従妹と、あなたの叔父夫妻だ』 あの姉様と若様の会話。それが、“何か”だと。
「どうしたんだい、急に」
父が穏やかに聞き返します。
「そうだよ、お姉ちゃん」
ディアは少し、笑顔が固いですね。
「話は長くなりそう?食べながら話す?」
てきぱきと母は切り返します。
―――三者三様の返答に、わたしは決意したにも関わらず、いざになると緊張してしまいます。
『悪いことは隠してないだろ、ディアも絡んでるんなら』
――そうですね、ヴェイン。
『ナディなら大丈夫だ』
わたしがこうしたい、と告げたとき、ヴェインはすぐに迷わず答えをくれました。ありがとう、ヴェイン。
さあ、勇気を出して聞きましょう!
「実は――」
ようやくここまできました。佳境です。あとは、前半の後半を結びの残り後半へつなぎます。いったん次回でネタばらしです。
思ったより、キースがでませんでした……プロットが少し狂ってます。
連載は難しいですね。




