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助っ人登場です。

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「お嬢様、テッラにございます」

――あぁ、助かりました……。心の底からそう思いました。まさか、テッラが来てくれるなんて、思いにもよりませんでした。

「お嬢様――?」

 はい、と返事がしたいのに、やはり喉からでるのはひゅうひゅうというかすれた音だけです。情けないです、返事も満足にできないなんて……。

「お嬢様……?お嬢様…!?」

 テッラの声に焦りが混じります。彼女はジョナサンの姪で、昨年までわたし付きの侍女でした。今は王宮にスカウトされ、王子付き侍女侍従補佐として活躍しています。

 たまに、こうして前の職場に顔を出しに、お土産を持参してまで会いにきてくれるんですね。本当によくできた子なんですよ。

 今日も、おそらくそうだったんでしょう。いつもなら、来る前に“何月何日にお邪魔します”と連絡がくるんですが……まめな子ですから。でもありませんでしたね。はて?何かあったのでしょうか??たいへん珍しいことです……明日は雨でしょうか?

「お嬢様!?いかがなされました、お返事してくださいまし!」

 わたしがのんびりと頭でどうでもいいことを考えていると――コンコンとノックがはやくなり、数が増えました。あ、駄目ですね、安心して思考が脱線してしまいましたよ!

 きっとテッラは焦りながらも、いままさに扉越しに、この部屋の状況を把握せんと頑張っているのでしょうね。彼女は、少し不思議な特技の持ち主なんです。

(手、動け動け〜!)

 ひとり安堵している場合ではありませんよ。――手さえ、力が入れば床なり叩いて、返事なりなんなりになるかもしれないのですが。……駄目ですね、やはり力が入りません、本当に情けないですねわたし。

 テッラが頑張ってくれていというのに、何もできないなんて。テッラに頼りきってはいけないと念じ、懸命に全身の力を振り絞ります。声でも手でも何でもいいので、わたしのからだ、何か動いてくださいよ…!

「て……ら、てっ…ら…わた……こ…」

――テッラ、わたしここですよ、といったつもりなんですが。やはり思い通りにいきませんねぇ……。ちっさすぎますよ。音にすらなってません。

 こんなに小さな小さな声でも、届くといいんですが。彼女の聴力は特技からして平均以上ですし……聞こえてますかー、テッラ〜…??

「お嬢様ーっ!名前を呼んでくださいましたね!」

――聞こえてましたよ!!嬉しいんですが、やはりびっくりしますね。彼女の聴力、どこまでいいんでしょう、こんな小さな声を拾うなんて。でも、テッラの声に少しはりが戻りました。

「お嬢様、声と状況より緊急事態とみなします」

 速いですね、状況把握。

――テッラの特技は、扉越しや壁越しに、室内の状況を正確に近い状態で把握すること。

 例えば、部屋に何人の人がいて、そのうち何人が立っていて、何人が席についているかさえわかるそうですよ。

 だから、今発生した声で精度が上がったのでしょうね。

 彼女の特技は、ジョナサンから伝聞形式で聞いただけなので、実際体験するのは、実ははじめてなんですね。聴力がいいなとかは薄々気づいていましたが。

――そんな特技がなくても、彼女は有能ですけどね。

 もちろん、いまのこの状況でさえ、おおよそ把握できているのでしょうね、きっと。わたしが倒れていることを、彼女はさっきの声とこの状況という少ない情報から読み取ったからこその、“緊急事態とみなします”発言なのでしょうから。

「お嬢様――――!」

――扉が乱暴に開き、ついに室内にテッラが入ってきました。あれ、扉……鍵かけたんですが……?

「あぁ、お嬢様、おからだが…なんてことに!!私が来たからにはご安心くださいまし、お嬢様!」

 あぁ、いつもの自信満々なテッラですよ。彼女はいつもできる、と判断した事柄には自信に満ち溢れるんです。逆に、自信がなければ渋りますし、できるかと言われたら頷かなかったりを首を横にふったりして、自己表現するんです――自覚、ないでんすよ、そんな動作をしているとき、華奢で小柄な彼女は、小動物みたいでとても可愛らしいんです。……王宮で変な虫ついていないでしょうね……?テッラはちゃんとした男にしかやれませんよ。…また脱線してしまいましたよ……体調不良のせいにしましょう、ええ。体調不良のせいです、体調不良の。

 まあとにかく――彼女の発言は、わたしを安堵させるには充分でした。すごく安堵しましたから、からだから力が抜けていきます……緊張からかこんなとこに無駄に力が入っていたんですね。変に力んでいなかったら、声ももっと早く出たのでは……。

 またしてもくだらないことを考えたまま、わたしの意識はゆっくりと沈んでいきました。






『でぃあ』

――わたしは、ディアじゃありませんってば。

『でぃあ、なでぃあ、なでぃあ』

――そうですよ、わたしはナディアです。ディアは、いもうとのディアナです。『でも、ぼくにとってはなでぃあがでぃあ、だよ』

――ナディアはナディですよ。ディアじゃないていってるじゃないですか、さっきから。

『でぃあは、いとしいひとっていみだよ、ぼくのでぃあ』

――それはおおきくなってからにしてください。あなた、5才でしょう。

『おきくなったら、ぼくのでぃあになってくれる?』

――おきくなったら、かんがえてあげてもですよ。だから、ナディとよんでください。わたしは8才です。あなたよりおねえさんなんですよ。

『でも、ふたりきりのときはでぃあとよぶからね、ぼくのなでぃ』

――だからはなしきいてください。はぁ、わたしはあなのじゃありません、“――”。

最後までお読みいただきありがとうございました〜!

以下、裏ネタです。

テッラはジョナサンの姪っ子にあたります。また、師匠でもあります。王宮にスカウトされたのはあの特技ゆえです。そしてマディンバラ家はテッラの前の雇用主でした。

テッラはある理由から、マディンバラ家に来たのですが、そのあたりは主人公がいぶかしんでいた通りです

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