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砂漠の国に生まれた。氷魔法が使えた。  作者: 赤いチーズ
第1章幼年期

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第2話:「砂漠の国は暑かった。夜も暑かった。」

この国は、大陸のちょうど中心にある。


北には雪に閉ざされた山の国。

南には湿った風が吹く緑の大地。

東には深い森、西には広い海。


世界には、いろいろな土地があるらしい。


――それなのに。


俺たちの国だけは、砂漠だった。


太陽が昇れば容赦なく焼かれ、

沈んでも、熱は地面に残り続ける。


昼が暑いのは仕方ない。

砂漠なのだから。


問題は、夜だ。


「……今日も、全然涼しくならないね」


日が沈んだあと、

外で風に当たりながら、レオンがぼやいた。レオンは同い年で近所に住んでる今世唯一の友人だ。


「普通、夜はもう少し楽になるものなんだろうけど」


「そういう土地なんだろ」


俺――ルークがそう返すと、

レオンは半分ふてくされたように笑う。


「それ、便利な言い方だね」


確かに。


前世の断片的な知識では、

砂漠は昼夜の寒暖差が激しいはずだった。


なのに、この国の夜は――暑い。


空気がぬるく、

熱が逃げ場を失って、

ずっとそこに溜まっているみたいだった。



「もう無理……」


昼間、外で少し遊んだだけで、

レオンは地面に座り込んでしまった。


レオンは顔立ちが可愛らしいから、

こうして弱ってると余計にそう見える。


前世にいたら、

「大丈夫?」とか言いながら世話を焼く

大人のおねい様に囲まれてそうだ。


……まあ、俺には関係ないけど。


というか俺たち2人はインドア派なんだよ。ほんとは5歳児らしく積み木遊びでもしたかったさ。なのに母さんは「子供は外で遊ばなきゃ」といつもののほほんとした顔で俺たちに笑顔で死刑宣告よろしく外で遊ぶよう告げたんだ。


「動くたびに、体力が持っていかれるよ」


「水、飲むか?」


そう言って水袋を差し出すと、

レオンはありがたそうに受け取る。


一口飲んで、すぐに顔をしかめた。


「……ぬるいね」


「まあ、そうだな」


次に俺が飲む。


……やっぱり、飲みやすい。


「……あれ?」


レオンが俺を見る。


「ルーク、どうして平気そうなの?」


「分からない」


…本当に、分からなかった。


暑いとは思う。

不快ではある。


でも、倒れるほどじゃない。

頭もくらくらしないんだ。


「ずるいよ、それ」


レオンは冗談っぽく言うけど、

視線は少し真剣だった。


「みんな同じ条件なのにさ」


――同じ、条件。


その言葉が、妙に引っかかった。



この世界には、魔法がある。


火を起こす火魔法。

水を生む水魔法。

風を操る風魔法。

土を固める土魔法。


特別な才能が必要だけど、

まったく珍しいものでもない。


市場では、火魔法で調理をする人がいるし、

井戸では、水魔法で少しだけ水を増やす人もいる。


「でもさ」


歩きながら、レオンが言った。


「氷魔法って、ほとんど聞かないよね」


「この国じゃ無理だろ」


「だよね。水も少ないし、暑すぎるし」


確かに、その通りだ。


……普通なら。


(でも)


俺は、涼しい。


冷たい、というより――

落ち着く。


俺の周りだけ、

何かが「正しい位置」に戻っている気がした。



家に帰ると、

母さん――サーラが水袋を差し出してくれた。


「外はきつかったでしょう」


「ありがとうございます」


「まあ、普通だったよ」


レオンが先に飲み、また顔をしかめる。


「やっぱり、ぬるいです」


次に俺が飲む。


サーラが、それをじっと見ていた。


「……ルーク」


「なに?」


「不思議ね。あなたが触ってると、

 なんだか空気が落ち着く気がするの」


父さん――カリムも、黙って俺を見る。


何も言わないけど、

観察するような、心配するような目だった。


(……やっぱり、俺だけ違うな)



夜。


布団に横になっても、

部屋の空気は相変わらず暑い。


それなのに、

俺はわりと平気だった。


(もしかして)


前世の知識が、ふと浮かぶ。


熱は移動する。

温度差があれば、流れが生まれる。


でもこれは――

ただ冷やしている感じじゃない。


「……氷魔法、なのか?」


呟いてみる。


正直、魔法を使ってる実感はない。

詠唱も、力を込める感じもない。


ただ生まれながらに、感覚で周りの“流れ”をつないでいるだけ。

あれか?あんまり理科の知識はないけど、熱っていうのは熱いものほど分子が激しく動いていて、逆に氷なんかは全然動いてない。だから冷たい的な。これが自然にコントロール出来てるってことは俺の魔法なのではないだろうか。


「…まあ、使えたら便利だよな」


強くなりたいわけじゃない。

戦いたいわけでもない。


「偉い人の家でさ、部屋を涼しくする係とかあったら最高だよな……」


座ってるだけで感謝されて、

暑くもなくて、

そこそこ楽に生きられる。


「……悪くない」


隣の部屋から、サーラの声がした。


「ルーク、もう寝なさい」


「はーい」


この国は、夜でも暑い。


でも――

俺の周りだけは、なぜか落ち着いていた。


理由はまだ分からない。


ただ、今はそれでいいや。

お察しの通り、ルークの魔法はシンプルな氷魔法なんかより断然やべえチート魔法になる予定です。周りが浅瀬でチャプチャプ「火よー」「風よー」ってしてるのに主人公だけ空間に干渉しちゃってますからね。まあやばいよね。

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