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砂漠の国に生まれた。氷魔法が使えた。  作者: 赤いチーズ
第1章幼年期

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19/28

第19話:「通りを歩いていた。気づいたらマシになった。」

徐々にPVが増えてきております…!



なんだか、街が落ち着かない。


朝からそんな空気だった。


城門の方が騒がしいし、

大人たちの声がいつもより低い。


「……なんかあった?」


そう聞いても、

「子供は気にするな」と言われるだけだ。


まあ、いいけど。


俺は今、城門から少し離れた通りを歩いている。

目的は特にない。

ただの散歩だ。


最近は外に出ると、

みんなに止められることが多い。


「暑いから帰れ」

「今日は危ない」


……過保護じゃない?


(まあ、倒れるよりはいいか)


そう思って歩く。



城門の方から、

風が吹いてきた。


砂の匂い。

鉄の匂い。

それから――


(……熱、強いな)


空気が、荒れている。


いつもなら、

俺の周りは勝手に落ち着くのに。


今日は、違う。


「……なんだこれ」


熱が、流れない。


押し寄せてきて、

逃げ場を失って、

そのまま溜まっている。


胸の奥が、少しだけざわついた。


(ああ、これ……)


前にも感じたことがある。


井戸の日。

人が倒れかけた、あの日。


「……嫌な感じだな」


俺は、無意識に足を止めた。



しばらくすると、

城門の方から人が戻ってくる。


兵士だ。


防具は砂だらけで、

何人かは肩を借りて歩いている。


「……怪我人?」


声をかける勇気はなかった。


でも――

歩けている。


重装備のはずなのに、

倒れていない。


(……あれ?)


変だ。


この暑さなら、

戦闘どころか移動だけで限界のはずだ。


なのに、

息は荒いけど、

意識ははっきりしている。


(……俺が、来てから?)


そんな考えが浮かぶ。


自惚れだと思いたい。

でも――



俺は、少しだけ意識した。


冷やそう、とは思わない。


ただ、

ここにある熱の流れを、繋げる。


溜まっているものを、

通してやる。


逃げ道を作る。


それだけ。


(……こんな感じ)


空気が、わずかに動く。


目に見えるほどじゃない。

風が吹くわけでもない。


でも――

胸が、楽になった。


周りを歩く大人たちが、

一瞬、顔を上げる。


「……今、楽にならなかったか?」


「気のせいだろ」


そんな声が聞こえる。


(……やっぱりか)


俺は、ため息をついた。



「俺、戦えないしな」


剣も振れない。

魔法を撃てるわけでもない。


氷を作る?

この暑さの中で?


無理無理。


でも――


(立ってられるくらいには、なる)


倒れない。

動ける。

考えられる。


それだけで、

兵士にとっては十分なんだろう。


たぶん。



城門の影に入る。


そこは、

さっきより少しだけ涼しかった。


俺がいるから、じゃない。


俺が、通ってきたから。


(……数日、残るんだよな、これ)


最近、分かってきた。


俺がよくいる場所は、

しばらく“楽”なままだ。


理由は分からない。


でも、

それで誰かが助かるなら――


「……まあ、いいや」


深く考えるのはやめた。


今はまだ、五歳だ。


難しいことは、

大人が考えればいい。


俺は、

暑さをちょっと和らげるだけ。


それでいいや。

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