第1話:「砂漠の国に生まれた。氷魔法が使えた。」
初投稿です。多めにみてください。
好きな人にはとことん刺さる設定にしてみたつもりです
暑い。
それが、この世界で目を覚まして最初に思ったことだった。
いや――
正確には「目を覚ました」というより、
気づいた、に近い。
昨日まで、俺はただの五歳の子どもだった。
暑いのは嫌いで、外で遊ぶのも好きじゃなくて、
家の中でごろごろしている方が楽で。
それなのに今、頭の奥で何かがはじけた。
知らないはずの知識。
見たことのないはずの景色。
そして、自分でも分からない「前の人生」の断片。
「……あー」
思わず、声が漏れる。
誰だったかは分からない。
何をしていたのかも分からない。
自分の名前すら、思い出せない。
ただ、知識だけが残っている。
熱は移動する、とか。
温度差があれば、エネルギーは流れる、とか。
「……まあ、いいや」
思い出せないなら、それでいい。
正直、そこまで困らなかった。
取り敢えず、今世の名前はルークという名前らしく、商隊で働く寡黙な父と心優しい母と3人で暮らしている。…んだが、
それよりも――暑い。
「ぼーっとして、どうしたの?」
母さん――サーラが、心配そうに俺を覗き込む。
その後ろでは、父さんのカリムが水袋を差し出してきた。
「……ほら、水」
短い一言。
受け取って口をつける。
生ぬるいはずの水なのに、なぜか飲みやすい。
「ありがと……うまい」
そう言うと、サーラが少し首を傾げた。
「不思議ね。そういえばこの子、昔から暑がらないのよ。まあ、昔って言ってもまだ5歳なんだけど」
カリムが俺を見る。
その視線は鋭いけど、俺を心配しているのがよく分かる。
――ああ。
この人たちが、俺の両親なんだ。
理由は分からないけど、
その事実だけは、妙にしっくりきた。
前世がどうとか、世界がどうとか、正直どうでもいい。
俺が守りたいのは、たぶん――
この暑い家で、三人で過ごす、何でもない日常なんだ。
「……楽に生きたいな」
ぽつりと呟くと、のほほんとしたサーラがくすっと笑った。
「この子ったら、おかしな子ねえ」
「寝ぼけているんじゃないか?今日はもう遅い。みんなでベットに行こう」
この世界は前世に比べてクーラーも、テレビも、車も無いよくあるファンタジー小説の世界そっくりだ。おそらく、不便さや身の安全など、心配ごとは尽きないだろう。
でも、2人が俺を見つめる目を見ると、案外この世界も悪くはなさそうだと思えた。
評価・コメントしていただけるとモチベーションにつながります。あなたの「いいね」で次回の投稿が早くなるかも!?




