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蒼い電姫





『緊急事態発生! 緊急事態発生! A町西区にて怪人が出現、エンブレムからネガブレイブズの疑いあり! 繰り返します、A町西区にて怪人が出現、エンブレムからネガブレイブズの疑いあり! 第三部隊は速やかに出撃しこれを迎撃せよ!』



 突如として基地内に響くアラート。怪人出現が観測され第三部隊ウチに迎撃命令が下った。


 怪人は製造される際に多くは因子注入口エンブレムを刻まれる。素体となる人間にまずエンブレムを刻み付け、そこから様々な遺伝子情報が書き込まれた異形になる因子『ネガ・インヴェイション』を注入されるのだ。すると素体は注入されたネガ・インヴェイションの影響を受けて体が強化変身され怪人となる。普通の人間がこうなってしまうと元の人間には戻せないし、感情やパワーのコントロールが効かなくなる。だがごく一部の人間は注入された因子と適合し、その強力なパワーと特殊な能力をコントロールできる。そのごくわずかな者が幹部クラスとして就任し、部下を率いて各地で悪事を働くのだ。


 ネガブレイブズも元々はこんな非人道的な実験はやっていなかった。ジャスティスヒーローズが裁けない闇の部分を狩る、立場は違えど正を成す組織ゆうしゃたちだったのに。先ほどまで穏やかな表情だった銀嶺の表情が一気に引き締まる。





「おいでなすったか。おいお前ら、いちゃついてないで出撃準備だ。ジン、ライゼと一緒に先行して出撃しろ、後からバックアップを送る。ライゼとは現地合流でいい」


「わかった。出るぞ」


「いってらー」



 どうやら俺の仕事の時間のようだ。すぐに出撃ドックへ向かい支給してもらったバイクに乗り込み現場へ向かう。もう一人の仲間は既に怪人と戦ってるはずだ。誰よりも苛烈で美しい、蒼の電姫イナヅマヒメ、ライゼ・デンシュと。










「正射必中・蒼雷一閃!!」


『『『ヘギャー!?』』』



 蒼い稲妻が大量の黒い人間の形をした怪物とその白バージョンを蒸発させていく。今しがた蒸発した怪人はいわゆる手下キャラで『ザッコー』と『シタッパー』と言われており、下級怪人のシモベとなって動く存在である。彼らの素体は人間ではなく動物などであり、人間の因子が書き込まれたネガ・インヴェイションがネズミなどに注入されて変化したモノである。量産性が高いものの戦闘能力がそれほど高くなく、知能もそれほど高くないため専ら怪人たちの時間稼ぎに使用される。


 第三部隊の隊員達が苦戦する相手ではないが、それでも数の暴力は侮ることが出来ない。だが一定以上の戦闘能力がある彼らからしたらそれほど驚異度の高いものではないのだが



「チ、数ばかりゴチャゴチャと……」



 数の暴力と彼女とは致命的に相性が悪かった。彼女のメインウェポンは弓であり直線状に発射されるので囲まれると非常に分が悪いことになる。近接も出来なくはないがそれは彼女にとっての切札であり、燃費も悪くザコに使うようなものではない。広範囲制圧攻撃もなくはないが、これもまた非常に燃費が悪い。彼女自身非常にピーキーな戦闘スタイルなのだ。


 例えて言うなら狙撃特化の狙撃手スナイパーが狙撃ライフルを持ったまま近接格闘を強いられているようなものだ。現場が一番近かったのがその時パトロールに出ていた彼女だったのが最高に運が悪い


 バックステップで距離を取りつつ一人ずつ撃ち抜いていくも徐々に敵の波状攻撃が激しくなり始めた。そして一瞬の虚を突いて、四方八方から彼女に飛びかかる大量のザコたち




『『『『『『『『『『ケシャーーーーーー!!!!』』』』』』』』』』


「チイッ!!」




劫火神滅ゴウカジンメツ血風斬火ケップウザンカ!!!!」



 全てを憎悪し焼き尽くそうとしているかのような赤黒い劫火の一閃がザッコーシタッパーを一瞬にして灰すら残らぬ塵に変えた。ライゼが目を向けた方向には、紫色の火花を散らしながらゆっくりと鞘に刀を戻す男がいた。


 ジン・メツジが参上したのである。





「随分と手こずっていたようだが、どうしたデンシュ? この程度の奴らなど物の数ではないだろうに」


「フン、女には調子の出ない日もあるってもんさ。そこを察して助けてくれるのがイイ男ってヤツさ。お前は落第だけどな」


「ほざけ」


「でもまぁありがとネ。感謝するよ」


「問題ない」




 軽口を交わしつつ彼女は弓を消した。身体に蒼白いイナヅマを纏い、その色にそっくりのロングヘアを後ろにひっつめて束ねている麗人。彼女こそライゼ・デンシュ。ジャスティスヒーローズ第三部隊随一の狙撃手である。ちなみに彼女の胸部装甲は大きなお山となっている。主にルルが泣いている。



「で? 本命は」


「アタシにザコ押し付けてどっか行っちまったよ」


「探知は」


「奴ら恐らく市街地の方へ向かった。ザンネンながら足を潰されちまってね、相乗り頼むよ」



 見るとジャスヒ支給の元バイクのスクラップが転がっていた。経理担当涙目である。仕方のないコラテラルダメージとはいえ高級品バイクの無残な姿に少々心が痛む。



「わかった、乗れ。今回の相手の特徴は」


「邪魔するよ。恐らく水の能力を持つ怪人だろう、アタシを見て慌てたように大量のザコを残していきやがったからな。それにウロコやヒレがあって魚っぽかった。火の刃器ジンキのアンタにゃ荷が重いか?」


「水を撃ってきたなら一撃で蒸発させて水素爆発を起こしてやればケリが着くだろう」


「いいねぇ、そういうの。キライじゃないよ」



無事なバイクにライゼを乗せ市街地の方へとバイクを走らせる。









 刃器ジンキとは世界に蓄積した淀みから産まれ出でたる厄災に対して、世界が抑止力として人に与えたと言われている特殊能力である。刃器を得た者は特殊能力とその者しか使えない特殊な武器を出現させることが出来るようになる。



 今でこそ怪人化のプロセスが科学によって解明されつつあるものの、この刃器に関しては未だに明確に解明されていない部分が非常に多く、例えて言うなら一種のオーパーツのようなものなのだ。この刃器を現出させることが出来る者はごく僅かで現出させることが出来た者は例外なく世界の淀み、つまり怪人との戦いの道を目指すこととなる。


 刃器とは元は神話の遺物『神器』になぞらえた当て字ではあるが、現時点この世界に存在している刃器は剣や槍など刃物の形を持っているものが非常に多い。射撃武器であるライゼの弓は非常に貴重で特異な刃器なのだ。


 刃器は十人十色で一つとして同じものは存在しない。そしてさらに使い手に特殊能力を授け、為すべきことを為す力を与えるという。銀嶺なら冷気を自在に操れ、ライゼなら電を自在に操れるといった風だ。



 そしてジンの刃器は大太刀『禍ツノ斬火 (マガツノザンカ)』。鉄をも両断する切れ味と金属すら蒸発させる高熱を発する強力無比な刃器。その刃に纏う赤黒い劫火は魂すら焼き尽くし永劫の刑罰を与えるという。



 地獄からやってきた死神が怪人に死の宣告をするためについに動き出したのだ。


名前の法則が分かった人はおそらく××出身の狩人なんでしょう。ロケットドラゴンカッコよくて好きです。絶対裏切りヌルヌル!!!(ハイトーン)

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