ブラックコーヒー
恋愛ショートショートになります
一杯のコーヒーを朝に飲むのは大人としての義務だ。
伊藤蒼汰はそう考えて毎朝、高校に行く前にコーヒーを飲んでいる。
「コーヒー入りのミルクだね〜」
蒼汰が飲んでる横で向かい側の家に住んでる入江明美が言う。
「うるせー」
そう言って蒼汰は一気に飲む。
「そんなに急いで飲むと咽るよ」
明美は隣でゆっくりとコーヒーカップを口をつけて飲む。
「ゴホ・ゴホ」
案の定、むせた。
「大人はゆっくり飲まないよとねー」
おいしいと言いながら明美はコーヒーカップを口から離す。
明美のコーヒーカップの中身はブラックコーヒーである。
クソー
心の中で蒼汰は叫んだ。あるテレビの番組でブラックコーヒーを飲んでるを俳優を見てかっこいいと思い自分も飲めるようになれば明美はもう少し気を自分に気を引いてくれると思った。
しかし自分はコーヒーが飲めなかった。
色々と試してミルクを入れるとコーヒーが美味しく飲めた。
そして高校で明美にコーヒーについて話したら、
「私、缶コーヒーのブラック飲めるよ」
と言われて、翌日の朝から家にブラックの缶コーヒーを持ってズカズカと入り込ん来た。
母親は「明美ちゃん。ゆっくりして行ってね」とニコニコしながら言い、明美も「おばさん、ありがとうございます」
そして台所でミルクにコーヒーを入れて飲んでる蒼汰を、
「子供だね〜」
と、言いながらブラックの缶コーヒーの蓋を開けて飲む。
蒼汰はコーヒーにミルクを入れてガリガリとスプーンで回してゴクゴクと飲む。
それから毎朝、台所で二人でコーヒーを飲んでから登校してる。
「さあ、さあ いつまでコーヒー入りのミルクを飲んでると置いていくよ」
明美はいつの間にか持ってきたコーヒーのマグカップをトンと台所のテーブルに置いて言いながら学生カバンを持ち玄関に向かった。
「分かったわ」
蒼汰はむせながら飲んで、マグカップをドンとテーブルに置いて、学生カバンを持ち、
「いつかはブラック飲んでやるよ」
蒼汰は明美の後ろ姿を見ながら言った。
ありがとうございます