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070 第13章 エイル村 13ー5 アナランドス王国概要

 マリーネこと大谷が買った本の中身はこの王国の事を研究した種族研究者による王国の概要書だった。

 


 70話 第13章 エイル村


 13ー5 アナランドス王国概要



 「不思議な国家 アナランドス王国(詳説)」より抜粋版


 亜人の女王が君臨する西の商業国家、アナランドス王国。

 この王国は、種族学的に見てこの大陸一、いやこの世界全体で見ても極めて特殊である。

 ここの亜人はアグ・シメノス人である。


 ※亜人という言い方を彼らは好んで使うが、それは彼らから見た時の場合である。

  我々から見たら、彼らこそが、亜人族であり、少数種族である事は疑いようの無い事実である。(※この部分は翻訳者により原文に追記)


 以下、多少、種族学的見地も交えて、この王国についての研究結果を記す。


 人口は概算であるが、国土全体でおおむね一二〇万人程度。(※あまりに数値がかけ離れていたために翻訳者により修正した)

 多くの人口が四つの王都に分散し住んでいる。


 この国は大陸の南西部に位置しており肥沃である。

 東側には、おそらくこの大陸でも最大級に近い湖を擁する。観察者によれば、最大の湖はジオランドス王国にあるとの事である。


 この大きな湖は過去に火山が大爆発した際に北側と南側は大きく陥没、中央の噴火した部分は山体崩壊して生成されるに至ったカルデラに、上流から水が流れ込んで出来たものである。

 この湖の中央やや南に島があるが、これはカルデラ生成後に出来た火山である。徐々に盛り上がり、その後小噴火を数度起こして島となった。


 この辺りは、地理学者の範疇なので、詳しくは「アナランドス王国の地理と地勢図」を参照されたい。


 この国の王都はアルジェである。第一王都と呼ばれている。

 その理由は、女王と三人の妹によって統治、支配されそれぞれに王都が割り当てられている事による。


 まずこの国の極めて大きな特徴として、この国は全てが「女性」で構成され、男性がいない。


 種族学的に見て『極めて特殊』である。


 よって各家庭は何らかの取り決めによって、合意した女性の集まりで少数の集団を構成、家族と称している。

 ※ 実際にこれは一般的家族像とは大きくかけ離れている。理由は後述されているものを読めば判るものと思われる。


 次にこの国民は皆ほぼ同じ顔をしている。よほどの観察眼がない限り、彼女等の識別は不可能ではないかと思われる。從ってこの国に送り込まれる観察者は、鑑定の達人以外は意味がない。


 さて、彼女等は成人になると、ほぼ体型は変化せず、また老化も一切見られない。絶無である。

 このような種族はまず、我々が知る限り、この世界においてこの種族だけであろう。


 この国においては、ほとんどの民が、彼らの言葉でクラッティスと呼ばれる何らかの職業人となっている。ここではクラッティスの事を「ワーカー」と呼ぶ事にする。


 農業がほとんどで国民の四〇パーセントほどが農民なのだが、その中に狩猟の者もいくらか存在する。

 また、鍛冶、細工、裁縫などといった生産職の者たちも居る。全体の一〇パーセント程度だと言われている。

 五パーセントほどの人員はほぼ土木工事要員である。家の修理や道路、河川の堤防修理、王宮の修理などに従事する。

 ※この作業に、主として道路補修などにおいて他国の人員も雇われる事がある。

  明らかに国土の広さに対して土木事業に携わる人員が不足している。


 ※なお世界で初めて石畳みの街道や水道施設、橋を建設したのは、アグ・シメノス人だと言われている。

 彼ら以外に古代の文明で街道を建設した者たちはいなかったという。

 古代龍族は、飛ぶ事が出来るために整備された道路を必要としていなかった。

 また古代魔族も同様に必要になる事が無く、古代エルフたちは森にすむがゆえに道路その物を作っていない。

 その後、ガイスベント王国では全く異なる手法で道路や橋が建設されている。

 

 

 一〇パーセントほどの人員は専用の施設でずっと子育てに専念。

 五パーセントほどの人員は王国の様々な管理などの事務方とされている。

 事務方のもっとも重要な仕事は女王の意向を聞いたり、お側要員としての神官の役目である。

 様々な催事の開催も彼女らが女王の意向の元、執り行う。

 その次が王国内での一切の事を執政官が担う。

 執政官の下には、監察官、総監、特別監査官、各種監査官、その下に監督官がいる。

 彼らは、商業取引の管理、商業取引の者たちからの税金の取り立て。

 その他、道路建設事業や裁判官的な役割や外交官等の役割も果たす。これらの優先順位があまり高くないのもこの国の特徴である。

 これらの階級と職は、元々の農業王国時代には、神官と執政官以外は存在していなかったもので、諸外国の人々が入ってきて、商業活動を行うのを認可して行く段階で作られたものである。


 この国家には国教としての宗教は多神教を祀る複雑な物となっている。

 創造神、二つの太陽神、三つ子の月の神、豊穣の女神、戦の女神、水の女神など多様である。

 しかしながら他国の人々がどういった神を信仰しようと自由である。

 他の神々を信仰する者たちのために、いつくかの神を祀る神殿も建設されている。

 これらの神々は、第一王都近くにある都市、ティオイラに祀られている。

 このティオイラは、元は遷都した第一王都だった場所である。

 一年に一度、大規模な神々の祭典が催され、国中から信者が詣でる事でも知られている。

 いくつかの神殿は、さらにその東のクティオイラと北東にあるウォルビスとに分かれて置かれている。


 警察的な役割は、兵隊ワーカー達の役目である。こうした祭典においての警護や治安維持などに国軍の兵士や衛兵が、順次、警備兵としてその役割に当たる。


  ※ これらの比率の中に本来は子供の数は含まれていないはずである。

   完全に成年してクラッティス(ワーカー)になった者だけとするべきである。

   一部には成年する前の子供も従事している為、この比率は正確なものではない。

   観察者が、誤認している可能性がある。

  (※は翻訳者により原文に追記)



 ……



 彼らの得る利益と食料は、一度全て国庫に入り国民全員に再分配される、一種の社会主義のような体を成している。故に国民に対して税金は存在していない。

 多くの場合、国民の中では貨幣は積極的にはやり取りされていない。殆ど他国から来た商業活動者のために貨幣が発行され、流通している。

 国民には一定額が配給されるが、ある者たちは必要に応じて更に配給を受けて使う。

 ※ ちなみに現在、社会主義を採用している国家は無くなったため、理論上の存在とされている。この辺りについては、政治学者の範疇である。

  「政治社会学とその主義がもたらす形態」に詳しい説明がある。


 そして国庫は常に五年分の食料や様々な物資がストックされる。

 しかし、それ以上とはしない。

 五年以上の飢饉が無いという事から来ているのか、ここについては学者の間で未だに論争がある。

 飢饉が長引けば社会主義は崩壊してしまうからである。



 ……



 男性の存在が確認されていない件は、次のように説明されている。

 女王が子供を作るべきと思う時にとある催事が行われる。

 女王の体から独特のフェロモンが分泌され数名のワーカーの性別が変化して男に変わるのだという。


 この事自体は、それほど不思議な事ではない。

 魚類の一部や鳥類の一部、あるいは爬虫類や一部の動物にさえ見られ、雄のいない群れの中で一部の有力な雌が雄へと変化、その変化した雄がその群れの雌全体を従えて群れの繁栄をはかり維持する事例は随所に見られる。


 しかしながら大凡(おおよそ)、人の形を成す種族においてこの様な事例は他に類を見ない。皆無である。


 男性候補は遊んでいるようにしか見えないワーカーたちである。

 彼女等には王都の催事に集まるように招集がかかり、全員が集められる。

 そして女王から出されたフェロモンに反応した数名が自然と選ばれるのだという。

 フェロモンに反応したワーカーはまず、背中にその文様が現れると伝うが、確かめたものはいない。

 そして身長が伸びていき、もとの身長の一・五倍になり、その事が完全に判るという。

 身長がそこまで伸びなかった者は文様が次第に消えていき、元の身長に戻るという。

 身長が伸びる過程で体は変化していき、女性から男性にかわるというが、外部の者がそれを確かめた事例は皆無。

 変化して男性になる件に関しては、王宮の閉ざされた中で行われる為に観察者の眼は届いていない。従って全て伝聞である。


 この男性に変化する者達は優秀な者が選抜されるとか、そういう訳ではない事もこの種族の特殊性を端的に表している。

 何もしていない、遊んでいるようにしか見えない者たちだけが全員集められる。

 そしてこういう人員が国民全体のなんと一〇パーセントも存在しているという。

 驚くべき事である。


 女王は一年間で一五〇〇人程の子供を生むとされている。これも真偽は定かではない。しかし育児所の人員をつぶさに観察した結果、このような事であろうと記されている記録が残っている。

 この時、女王は生む事に専念するため、国事は第二女王を中心として、第三女王又は第四女王が補佐を交代で行う。


 それらが終わり、行為に及ぶ必要がなくなると男に変化していたワーカー達はまず女性に変化し、徐々に背が低くなって元に戻るという。

 そしてこの男になってまた女に戻ったワーカー達はもう二度と男になる事は無いと伝う。

 女王の妹たちも、次の年には同じ事が起こる。

 国民の数が足りると彼女たち、女王が考えるまで、順番に出産は続くとされている。


 アナランドス王家では、この子供達は全員ワーカーに預けられる。

 ワーカー達は育てる専門の者(育児ワーカー)達がいて、何らかの理由で全滅する事を避ける為、何箇所かに分散しこの子どもたちを精力的に育てる。

 育児ワーカー達は死ぬまで、何度もずっと子ども達の世話をし続ける。この専門ワーカー達の人員が不足した場合は、独特のフェロモンがその育児ワーカーから出され、育成中の子供が育児担当ワーカーへと変化していくと伝う。

 観察者はこの事実をいまだ確認できていない。従ってこれも伝聞である。


 ※なおこの育児にかかる費用は全てどんな費用でも国庫によって賄われる。(翻訳者により原文に追記)



 ワーカー全体の二〇パーセントは兵士になる。

 この人員は子育て中の子どもたちが成人になると王宮で催事が行われる。

 その催事場に集まった者たちに、女王がフェロモンを出すという。

 そのフェロモンに反応する子が兵士になるのである。これにより兵士が補充される。

 つまり、兵士になるかどうかは自らの意思ではない。

 フェロモンにより選ばれるのだという。しかし兵士の数が充分足りている時は、反応する子供がいない。非常に不思議な事である。




 彼らは独自のフェロモンで会話ができるという。

 例えば死んだ際にも同族にしか絶対にわからないフェロモンによるメッセージを残し、同族にダイイングメッセージとして伝わるという。

 また、各職業毎に彼女らは独自のフェロモンを出し、フェロモンだけでも会話が可能とさえ言われている。


 しかしながら、外部の人間はそれを確かめる術がないため、これらの一部、あるいは大半が憶測あるいは推測に基づく極めて不確かな事象に過ぎないと、強硬に主張する学者も一部存在する。


 ……


 ……



 自然の調和を重んじる彼女ら、女王らは、決して「やりすぎない」のである。

 拡大思考は極めて薄い。他の種族と比べたら極端に薄いと言い切っても、あながち間違いではない。

 「足る」という事を知っている数少ない種族ともいわれている。


 ……


 ……



 彼らの集団知は徹底されている、という。

 この国、この王家を守るためにはどうすればいいのか、何が最適か、それを全体が判断し全員がそれに従う。

 この能力は他の亜人族や獣人族、人族、魔族などを遥かにしのぎ、この王家が長く長く続いている要因であり、古代龍や古代魔族と同じ古さがあると伝う。


 ……


 女王たちは身長約一二フェルム。ワーカー達は約五フェルム。

 男に変化したワーカーは約八フェルムであるというが、この男性の身長については確かめた者が誰もおらず、この部分については論議が続いている。

 もう少し大きいのではないかとする説が有力である。

 しかしながら、どの様な生殖行動であるのかは全く不明であるために、この身長は単に象徴的なものに過ぎないのではないかとする説も出ている。この説には多くの賛同者が出ている。



 ※ フェルムはこの王国の長さの単位の一つ。

 ※ 以前、これは女王の足の大きさだと主張する説が出たが、身長に対して小さすぎるという反論があり、決定打となる証拠あるいは証明は出来ておらず、それを詳細に確かめた者もいない。

 ※ 別の説として、この長さは女王が掌を広げた時の長さであり、これによって、最初の長さが測られたとする異説が出ていて、この説は今も論争が続いている。

 ※ なお距離の単位は、一フェムの一〇倍が一フェルム、その一〇倍が一フェムト、その一〇倍が一フェルス、その一〇倍が一フェン、その一〇倍が一フェリールである。

 ※ この国においても、単位は一般的な一〇進法である。

   他の国では十二進法と二十四進法の国もあるので、注意されたい。

 

 (*作注一 一フェルムは約四二センチ)

 (*作注二 一二フェルムは約五メートル。五フェルムは二・一メートル。八フェルムは三・三メートル。)



 ……


 ……



 彼ら(彼女ら)は他の種族と自らが進んで敵対する事は滅多に無い。

 しかし、攻撃されれば烈火の如く怒り反撃すると伝う。

 この時、何時もはただ遊んでいるようにしか見えないワーカーのその半分がまっさきにまず戦場で槍と化すのだと言われている。


 何もしていない、一見遊んでいる様に見える彼女等こそ、万が一の事態で真っ先に自分の命に変えても敵を倒す槍なのだと伝う。

 そもそも最初から命を捨てている死人(しびと)の戦士ほど手強いものは無い。

 死ぬ事を全く恐れない、相手を殺す事に全く躊躇いのない苛烈な槍。

 これこそが、この王国を守る槍である。


 この勇猛さはこの大陸でも一番とされるガイスベント王国の騎士団にも匹敵すると言われ、その実力は筆頭であるヴィンセント騎士団と等価とさえ言われるが、最早その真偽を確かめる術は無くなった。ヴィンセント騎士団は暫く前に失われてしまったからである。


 減ってしまった軍人、兵士には、この遊んでいた者たちが順次当てられて行く。

 彼女等は阿吽の呼吸で順次軍人や衛兵になるのだという。

 更に減ってしまった、この無駄な遊び人とも見える者たちは、子育て中の子どもたちの中から、補充される。

 順次ここにはいる者達が出るのだが、それもフェロモンによるのだと伝う。


 斯くして、一見普段は全くなんの役にも立たない無駄飯喰いの遊び人たちは立派に役目を果たす。


 つまり彼女たちのワーカーとしての普段の仕事は『待機』なのである。


 そして、その待機時間をどの様に使おうと、犯罪行為でない限り、王国そして女王はそれを問題視しない。


 なお、彼女たちの一部は好んで遊女になる者も居るが、決して妊娠する事は無い。

 子供を生むのは女王たちの役目だからである。


 その為、遊女として待機していた者が他国の犯罪組織により誘拐される事件も、いくらかは起きているとの事である。しかし顔ですぐに判ってしまうので、誘拐された彼女等はどこかに連れ去られて、人目のつかない場所で情事に耽るのだという。

 この件については観察者の記録が何件かあり、真偽は確かめられている。


 ……


 全てのワーカーは全員が女王とその妹の子供であり全体国家を成している。



 女王の命が尽きる時は妹たちが一つ、繰り上がる。そうすると末席が空席になる。

 この空席は、女王が亡くなった際に大規模な催事が行われ次の第四女王候補が選ばれるのだという。


 数百年の間に数年間あるいは数一〇年に渡って四回程度しか無い為に、詳細な記録は存在しない。王の世代交代がこの間に一気に進むというのも、この種族の特殊性を端的に表す。

 王の知恵、知識は全体知を越えるものではない。故にこの様な世代交代が可能になっているのだという説が有力である。

 ※ここについては、完全に論争が終わった訳ではない。

  全体知がどの程度あれば可能なのかについて、学者たちの間で議論は続いている。


 まず女王候補の為に大規模な催事が、何週間にも渡って行われるとの事である。

 この時に育てられている子どもたちが、集団毎に分けて招集されて行き、ある特別な部屋に入るのだと云う。

 王宮のフェロモンの部屋と呼ばれ、特別な部屋で観察者はそこに近づく事すら出来ない。

 女王が死んだ際に出すかなり特殊なフェロモンがその部屋に濃密に漂い、ワーカーに育てられている途中の子供が順次その部屋に入り、出てくる。これは育成中の子どもたち全員。

 そして数人がこのフェロモンに反応し、背が伸びていく。

 やはりこの時に背中に独特の紋様が現れると伝うが、それを確かめた観察者は誰もいない。


 そして身長が五フェルムを越えると全員が王宮に入る。そして更に背が伸びていくが、この中で背が伸びなくなる子供が出て、最終的には一名だけが残る。

 残ったものは一二フェルムまで身長が伸びていき、そこから縮む事がなければ、女王の末席として第四女王になる。


 脱落した子どもは暫くの間は紋様が消えない。第四女王が決まると、その第四女王からやはりフェロモンがでて、候補だった者たちの紋様が薄くなるのだという。

 そして身長は決まって五フェルムに戻り、その過程で文様も消えて彼らは何もしない遊び人のようなワーカーになるという。


 寿命は、ワーカーが二五〇年前後、女王が四〇〇年から四五〇年程度と言われているが定かではない。伝聞である。

 顔は皆、極めて似通っており外部の人間による識別は困難であり、外部の人間に寄る正確な記録は存在しないからである。


 この事から、大体一つの世代の国民が生きている間に、全体の一割強から二割弱の国民が入れ替わるという、比較的ゆっくりとした世代交代が起こる。



 彼らは近親婚による遺伝の劣化や身体の欠損も見られず、完結してしまっているともいえる種族であるといわれ、極めて不思議な種族である。



 国民全体の人口は肥沃な国土に対してやや少ないために、この国家の商業行動の多くは他国の人々が担っている面がある。この部分も他の国家には見られない特殊性であろう。


 この国家は敵対しない他の種族に対しても広く門戸が開かれており、商業行為が盛んに行われ、税金も安い。

 また商会や商業ギルドが王国に敵対する事はない。

 ※商業ギルドは王国の監査官が厳正に管理している。(翻訳者により原文に追記)


 この国家において不当な利益を得ようとする者たちは、王家により厳しく排除される。

 これに異を唱える者は誰も居ない。


 王家を怒らせれば、あの苛烈な槍が襲いかかり生き残る者は誰一人居ないからである。


 これらの事は、この王国が他の国の人々と共存する方向を選んでいるためである。

 不当な利益を得る者を放置する事は不満を生じさせ、ひいては国家の動揺に繋がる事を深く理解しているからである。


 ……



 多くの種族の人々がこの国家に出入りし、現在は一大商業国家を成すに至った。

 その事により、この国家は他に類を見ないコスモポリタニズムを実現した国家となっている。この事も極めて稀有な事である。




 東の学び舎館長 種族研究家 リリーシェ・ティエン・シエン 著 「不思議な国家 アナランドス王国(詳説)」


 翻訳監修 王宮事務次官 メル・リル・ミューベルト

 翻訳          ラート・リル・シャーマイン

    内容の一部間違い、あるいは完全な事実誤認に関しては、削除又は修正済み。

    また足りない部分に一部追記している。

    その他は出来るだけ原文に対して忠実に翻訳を行った。


 編集 本書はその中より抜粋、再編集したものである。

    抜粋版 編集責任者 ミール・リル・ティンスベル

 

 

 概要を見てみるだけでも、この王国が、普通ではないことが分かる。


 この王国の国民は、かなり風変りというか、変わった民族である。

 それはもう、異世界ならでは、と言うしかない。

 

 次回 街道の魔獣討伐


 事態は思わぬ方向へと転がっていく。

 そして、あの光る魔獣達相手にマリーネの剣が舞う。


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