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049 第9章 村を出る 9ー3 登攀

 まさしく登攀と呼ぶのがふさわしい絶壁に近い崖場をロープも無しに乗り越える。

 その先にあるのは、彼が渇望し、目指す外界だった……。

 49話 第9章 村を出る

 

 9ー3 登攀(とはん)


 翌日。

 焚き火跡は土を掛けて平にする。

 巨大なリュックを背負って出発。

 

 ……

 

 森を抜けて山の方に出るまでにさらに五日。途中で三つの革袋に水を汲んでおいた。

 

 ……

 

 ここからだ。高い樹木は一気になくなり、背の低い樹木になってきた。

 これは、あれか。高度による、森林限界が近いんだな。


 たぶんこの辺りをずっと伝って、山が切れている場所を探す。

 この辺で急ごしらえの槍とはお別れだ。穂先を外して穂先はリュックにしまう。

 長い武器はこの先足手まといになりかねないのだ。

 穂先を外した棒を杖にして先に進む。

 

 リュックの重みは全く感じない。

 私の体なんて後ろから見たら見えずに、リュックが歩いてるようにしか見えないだろう……。

 この背の低い木しか無い場所を歩いていく。

 相変わらず、鳥も居ないな。

 

 ……

 

 途中、生き物は見かけなかった。

 ガレ場のような岩の砕けた斜面もあり、歩いて抜けるのは楽ではなかった。

 

 ……

 

 歩けそうな場所は、どんどん高度が上がっていく。

 岩が砕けて流れ落ちているような場所は、トラバースできない。

 ここは崩れ易い場所だな。

 でっかい石が多い。

 

 さらに上に上にと歩き、横にトラバースしていく。

 

 とうとう、やっとだ。たどり着いた。

 

 山の上はもうたっぷりな雪で真っ白だ。

 まあ、アレだけ長期間、雨が続いたのだ。高度の高いところは強烈な積雪だっただろう。

 山のあちこちでかなり下の方まで雪がある。あまりの積雪で雪が自重に耐えきれず表層雪崩を起こしたのだ。

 そして、雪が積もった場所に雨が降り注いだ地点はスラッシュ雪崩だ。

 雨によって大量の水が雪に含まれると発生する。

 

 自分が棲んでいた東の方を見る。湖から東の方は森だ。

 ここの角度からだとよく見える。山に近い場所は鬱蒼(うっそう)とした森林だ。一部色が違って見えるのは樹木の種類が違うのだろうな。

 

 しかし、これだけ積雪する山々があって、なぜ村の辺りに川がなかったのかは謎だが、全て下に吸い込まれ伏流水になったとしても、不思議でもない。

 そうなれば、水を吸い込みやすい地質がある事になる。

 その地盤の上に樹木が生えたのだ。

 

 山の方はぐるっとこの盆地を囲んでいるが、東の方にさらに標高の高い山が多く見える。

 とりわけ高い山が一つある。この異世界でも世界一かそれに近い高い山かもしれない。

 東の方はかなり長く続くらしい山脈だ。北はここと同じくらいか低いのか、ここより高い山脈が有りそうには見えない。それは西も同じだ。そういう山が見えない。低い山が続いているかもしれない。

 つまりだ。ここはおそらくは東西に長い山脈の一番外れになる。

 

 そして湖の全体を眺める。全体像が綺麗に俯瞰(ふかん)できる。 

 あの時に右に行かなくて正解だ。


 北であろう、あっちは大きな川がかなり奥の山の方からうねうねと曲がって流れてきている。

 だいぶ奥の方に水源があるのか。

 そして、雪崩れた雪がかなり下まで来ている。

 

 川は湖の中央のほうに向けて大きな流れを作っている。

 以前は大きく湾曲した川だったのだろうな。

 かなり水流もあるようだ。そうじゃないと大きい流れにならないだろう。

 

 問題は、こっちだな。

 滝が何段にも連なって水が流れ落ちて左の奥に向かっている。

 ここの崖は一部はV字型になっている。向こうまでの距離はどれくらいだろう。二キロメートルあるかどうか。

 ……他は懸崖(けんがい)

 

 昔、テレビで見た黒部峡谷の映像が頭に浮かぶ。

 

 何かの要因でここは崩れたんだな。ここは脆い岩が多かったのかも知れないが。

 急流で流れていて岩が削れていって、所々は脆い岩が一気に崩壊して滝になったか……。

 なんとも言えないが。

 

 取り敢えず、あの滝を下るのは勘弁願いたいな。一体どれくらいの落差があるのか、ここではわからない。

 さて。この崖に近いところは脆いのか。何とかならないだろうか。

 山を登って、この崖ぽいのを回り込んで向こう側に出られるか、探してみよう。

 

 急にズドドドドォォという微かな音がして、北の上で雪崩が起きていた。あっちは太陽が当たるからな。

 

 朝になるまで、待ったほうがいいな。今日はここで野宿になる。

 リュックに持ってきた薪などはまだ使うわけには行かない。

 森を抜けてくる時に付近にあった枯れ枝を拾ってあった。

 それで簡単に焚き火をした。

 

 ……

 

 夜の冷え込みは厳しかった。

 

 朝になるまで、うとうとしながらの仮眠で過ごし、明るくなるや焚き火は消して歩きだす。

 

 断崖絶壁はとても渡れない。上に行くしかない。

 かなりの坂を上って行くしかない。登山になった。

 足を踏ん張るだけで崩れそうな斜面を登っていく。

 

 黙々と登った。

 

 ここでふと崖を見ると、横方向に大きな岩が割れていて、ずれた岩石でわずかに足場のようになっている。 

 

 ……トラバースチャンスだ。しかし、これしかないのか。

 上の方は積雪が迫っている。これ以上登るのも厳しい。ここを渡るしか無さそうだが。

 

 かなり慎重に足を掛けても、ボロっと崩れる石があるので、気が抜けない。

 滑落したら、もう間違いなく助からない。

 しかし、あの村と森に居ても先が見えない。もはや、戻る選択などナイ。

 この崖の岩場を越えるしか無いのだ。

 荷物は重く感じないが、重くないはずがない。岩場にかかる重量は相当あるはずだ。

 

 横の岩を掴んで慎重に歩くが、あまりゆっくりは出来ない。

 こんな所で野宿も却下だが、魔物が出られたら反撃も出来ない。

 

 踏んだ後、足を抜いた岩が、何度もボロボロと音を立てて下に滑落して行く。

 

 ……肝が縮む。

 ぎゅっと唇を噛んだ。

 

 ……()()()()()()()()

 

 『黒部峡谷を歩く人に怪我人はいない』

 昔見たTVで山岳ガイドの人がそう話していたのを思い出す。

 滑落はイコール死亡だからだという……。そういう意味だ。

 

 ……

 

 岩にしがみ付きながら(かに)の横ばい状態で進む。

 

 ……

 

 足場は三〇センチくらいから四〇センチか。よくても五〇センチ未満。

 誰かが作った登山道等ではナイ。

 自然に横や斜めに割れた岩がズレて出来ただけの足場なのだ。

 しかも、行く先は登っている。

 所々段差があり、体重移動も難しい。

 手が一瞬でも滑りでもしたら、それで御終い。

 

 ハーケンもロープもザイルも安全ヘルメットも何も無い。

 突風が来たり崩れたり踏み外したら、それでやはり、終わり……。

 

 ()()()()()()()()

 

 ……

 

 まだ続くのか。この崖。

 

 ……

 

 考えるな。腕を動かせ。

 

 ……

 

 自分の吐く息が荒い。

 

 ……

 

 集中力を切らしたら、終わりだ。抜けるしかないんだ。

 

 ……

 

 ……

 

 やっと、岩の崖場を抜けてすこし平らな場所がある所に来た。まだ気が抜けない。

 そっと踏んで見る。崩れなさそうだ。

 

 かなり冷や汗が出て、背中がベタベタしているが、無視だ。

 岩場を背にしてリュックを其処に置く。

 自分の吐く息が酷く、荒い……。

 

 酷く荒い息のまま、ペタリと座り込んだ。

 一度、深呼吸だ。ゆっくりと息を整える。

 

 しかし。目を閉じると本当に深い深いため息が漏れ出た。

 

 口の中がカラカラだった。革袋から水を飲む。

 

 少し放心した様に座り込んだ。

 

 ……

 

 暫くして、燻製した肉の欠片を取り出して、口に入れる。

 ここで焚き火が出来ないので仕方がない。

 

 ここが寒いのは承知。標高は間違いなく高い。

 風まで出て来た。リュックの陰に入る。

 

 もうだいぶ時間が経っているが、山の外側の方に出たので日が沈むまではまだすこし時間がある。

 山の外側の方を見ると、彼方まで雲が出ていて下界が見えない。

 ここは雲よりはだいぶ高いな。

 

 そうか、そうなると、元の世界ならここは二四〇〇メートルはだいぶ越えてるな。

 もしかしたら、四〇〇〇メートル以上かもしれん。

 相変わらず、空気が標準から比べてどれくらい濃いとか、どれくらい薄いとかいうのがあまり詳細には分からないので判別が難しい。

 少なくとも村の時よりは空気が薄く感じるのは確かだ。どのくらい薄くなったのかが分からないというだけだ。あれだけ登ったのだから、空気は薄くはなっているだろう。

 

 まあ、下界まで降りたら、それでリファレンスが出来るという事だな。

  

 そっと滝がある方を覗く。目もくらむほどの落差で水が落ちている。

 途中で水は霧になっていて、下が見えない……。

 

 ……

 

 やれやれ。あそこを筏で下って生きているのは化け物だけだろう……。

 

 あるいは飛べるやつか。

 そういえば、あの森で飛ぶやつは見なかった。山に行った時の洞窟にいた蝙蝠もどきだけだな。一度だけ見た巨大竜はともかく。

 他は鳥も居ないし、森の上を飛ぶ魔物も居ない。とことん、不自然な場所だ。

 

 寒くなって来たのでリュックからズボンを出す。取り敢えずこのスカートの下にズボンを履く。

 明日からここを下山だ。

 

 ズボンには腿の部分の外側、両側にダガーを刺しておけるようにして改造してある。

 しかしダガーはスカートの上の腰のままだ。左側は剣を腰に付けているので、ダガーは邪魔になる。膝に近いところに刺すのも出来るが。咄嗟に使う様に付けたのでは無い。

 剣を背負う事を想定した作りなのだが、リュックが大きすぎて剣は背負えないし、予備の大きい剣も後ろに括り付けてあるので、剣は左腰のままだ。

 

 今日もウトウトしながらの仮眠。いつ魔物が出るか分からないからだ。

 あの徹夜連続のデバッグを思えば、これくらいは全然耐えられるさ。

 

 ふっと元の世界の二十五年前の火事場と化かしたプログラムの現場を思い出した……。

 ひどい現場だったな……。応援でやってきた他の会社の連中が、さらに(ひど)()き回してしまって、泥々な状態だった。

 まあ、デスマーチ・プロジェクトあるあるだな。

 

 後始末で放り込まされた私だけが貧乏くじ引いて、応援の連中はさっさと離脱。

 何もしてないのに、いや掻き回して悪化させただけなのに、給料だけかっ(さら)って逃げた最低な連中と営業だ。

 思い出すに酷い現場だった。

 あれで、あの後色々あって、あの会社も辞めたんだったな……。

 ……あぁ、思い出したくもない仕事だった……。


 いつのまにかウトウトして仮眠。

 

 深夜に目が開く。大きな月と小さな薄蒼の月が上がっていたが、遮る物のない星空は見事なものだった。

 

 絶景。

 

 勿論、ここは異世界。見知ったオリオン座もなければ、北斗七星も北極星もない。

 しかし、息を呑むほどの満天の星。暫く眺めていた。

 この異世界の住人も、元の世界の古代人の様にあの星空に星座を見出したり、神話を重ねたりするのだろうか……。

 

 ……

 

 夜明けになると太陽が二つある事もあって、一気に明るくなる。

 取り敢えず。まずは深呼吸。空気が冷たい。そしてストレッチ。

 十分体を解す。

 

 リュックから燻製肉の欠片と水袋を取り出し、肉を噛んで、変な味の付いた水と一緒に飲みこむ。

 さて、リュックを背負って出発だ。

 

 下るのは登る以上に慎重さが求められる。

 体重移動をしくじれば、そのまま滑落の可能性が高い。

 

 下山の距離はかなりありそうだ。途中で野宿が必要になりそうだな。

 それと、ここからは自分にとってはまったく未知の場所になる。どんな野生動物や魔物が出るか分からない。

 気を引き締めて行くしか無い。

 

 ガレ場を避けながら、踏めそうな場所を探しつつ、歩く。

 所々、大きく崩れていて、見ている間にも岩の欠片のようなものがボロボロと下に落ちている。そこは危なすぎる。大きく横に迂回するしかない。

 

 何しろ登山道などという物が無いので、自分で歩ける場所を探すしかない。

 黙々と歩く。

 時々、足元の大きな石が派手に下に転がり落ちていく。


 「! (らく)! らーーく!!」


 落石を知らせる叫び声が自然と口から出た。ああ、要らないんだ。ここは異世界。道すらないこの場所を登山して来る者など皆無。

 それに日本語では通じる筈も無い。

 

 ……

 

 延々と降りる。周りは荒涼たる岩場だ、樹木らしいものは遥か下である。

 

 ふと、左の方で何か(かす)かに音がする。

 そちらを向くと、この山脈の東のほうでかなり大規模な雪崩が発生。

 雪煙がはっきり見えた。

 太陽が登って急に温度が上がるとよくある事だ。

 

 ここから東の、この山脈は見える限り全部この岩肌の山々だけだ。

 とんでもない長さの山脈だな。


 元の世界なら、あのエベレストのあるヒマラヤ山脈とかだろうか。

 あるいはもっと全然長くて、南米のアコンカグアのあるアンデス山脈か。あれに匹敵してるかもしれない。

 この大陸を東西に分断するとんでもなく長い山脈か。そんな気がする。

 

 

 まあ元の世界ではたしか世界三大山脈は、ヒマラヤ、カラコルム、ヒンドゥークシュだ。

 標高の高い山々と山脈は、ほぼほぼアジアで上位八位まで独占。

 そしてアンデス山脈のアコンカグア、北米のアラスカ山脈のデナリ山と続く。

 

 ただカラコルムとヒンドゥークシュはつながっている。カラコルムにK2があるのだったな。

 ヒンドゥークシュ山脈の長さは一二〇〇キロメートルという。カラコルムは短くて五〇〇キロメートルだ。ヒマラヤは二四〇〇キロメートルの長さを誇る。

 だが。これらの山脈の長さが、まるで子供のような長大さを誇るのがアンデス山脈で、文字通り長さでは圧倒的だ。南米の西側、北から南に向かってほぼまっすぐ走るこの山脈は七五〇〇キロメートルにも達する。

 

 長大な山脈だ。ちなみに途中の高地はほぼ四〇〇〇メートル越えという。つまり森林限界を超えているのでよくて背の低いブッシュか大抵は草、標高が上がれば苔しか生えていない。

 標高が高い山脈の上位の六位までの山脈の長さを全て足しても六六〇〇キロメートルにしかならないので、如何にアンデス山脈が長大なのか、分かるというものだ。

 

 

 ……

 

 ……


 黙々と下山するが、雲海まではまだ、相当距離がある。

 さっきのあの崖越え、五〇〇〇メートル以上かもしれないな。

 ふと、そんな事を思った。

 

 真っすぐは下りられないので、いくらかジグザグにトラバースしながら下山。

 あちこち岩が崩壊してガレ場になっているからだ。

 

 ……

 

 だいぶ降りたと思う。岩場の陰に草が生えていて、花が咲いていた。

 高山植物か。

 村のあの枯れてた畑にわずかに咲いていたのを見たのが最後だ。

 それ以来、花が咲いている植物を見かけていなかった。

 ここにきて初めて見たな。

 

 名前は判らないが小さい可憐な花だ。母がこういうのが好きで山野草(さんやそう)図鑑とかあったな。

 

 少し座り込んだ。リュックを降ろし、水を飲む。雲海が晴れてきて、下界が見渡せる。

 辺りは一面、森だ。樹海か。

 

 ……絶景が見れて喜ぶのではなく、すこしウンザリしている自分がいた……。

 軽いため息が漏れる。

 

 その広大な森の先に平野が見える。

 

 目を細めて凝視する。

 

 ぽつりぽつり人工物らしきものが見える。村か街か。

 きっとその先に海もあるのだろう。

 

 暫く下りれば、その先にはハイマツのような低木が生えている。

 やっと登山は終わりそうだ。

 

 すこし先が見えた事もあってか、足取りも軽く下山して行く。

  

 もう夕方になる。ここで野宿となった。リュックから鉈を取り出して低木を切りに行く。

 乾いてもいない生の木を燃やすと煙が大変多いが、乾燥した枯れ木を見つけるのは困難。

 これで我慢するしか無い。

 

 これで肉を炙るのは勘弁だな。仕方なく燻製肉の欠片を(かじ)る。

 水はまだ少しある。森に入ったら水場を探しながらか。

 

 降ろしたリュックを背に剣を抱いて眠る。仮眠だ。

 

 煙る焚き火。

 

 すこし考える。あの森を抜ける間、あとどれくらい野宿が必要になるのか。

 その前に水場を見つけないとな。

 

 ……

 

 樹海はどんな場所なのか。

 かなり暗いとまずい事になりそうだな。

 松明はそうそう持ってきていない。

 灯り用に枯れ枝拾いが必要になりそうだ。

 

 人のいる村までどれくらいだろう……。

 

 

 つづく

 

鬱蒼と生い茂る森はいつしか樹海へと姿を変える。

 暗い森の先に自分の未来があると信じて大谷は突き進む。


 次回 樹海単独縦断


 もはや留まる事等、一切出来ない。


 そしてマリーネこと大谷の背負った運命が動き出す……。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ここで、自分の中では第1部 「始まりの村」編 が終わりです。


 次回から、自分的にはいよいよ第2部のつもりです。下界におりてとある王国へ。



 新章は樹海編からスタート。


 大谷の強い意志で樹海を乗り越えていく話が暫く続く予定。

 サバイバル的な内容が少し続きます。


 退屈かもしれないので、先にそういう展開だと言う事だけは申し上げておきます。


 あれれ、生産はどうした? と思う読者の方もいますでしょう。

 残念ながら、しばらく生産は出てきません。

 生産スキルが身を助く。と書いていますが、要は「無い」ものは、作れる物は頑張って作るという、単純な話です。

 そして、そういうシーンは今後も出るとは思いますが、この先はマリーネが流されて行く運命の軌跡を描いていく作品になっていくと思います。


 

 さて、樹海を抜けるには、筆者の中にある地図によれば、そんな簡単な距離ではなく、そして魔法もないマリーネこと大谷は自分でその距離を文字通り「歩いて」抜けていかなくてはなりません。

 しかし、歩いている記述ばかりでは読むほうがつまらないのと大変すぎると思うので、例によって随所にヨタ話を投入する予定です。

 歩いている記述より、ヨタ話のほうが長かったとしても、それはそれ。この小説の特徴だと思ってください。


 相変わらず「湯沢の友人の雑学」与太話や、ここまでも多くあった大谷の過去の経験から、独白となる小話を挟んでいく予定です。


 ……


 本来ならば、さらっと数行くらいで、密林を抜けた。たいへんだった、みたいな記述で終わるほうが楽だろうとは思います。

 が、ここまでお付き合いくださっている方ならば凡そ、そんな記述で終わるはずが無い事はご理解頂いているかと思います。

 とにかく、このくどく、まったりとした小説では、こういうめんどくさい場所も簡素化した記述になりません。


 街に出てからの話を期待する方は、しばらくのあいだ、当面放置しておいて下さい。


 よろしくお願いします。


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