表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/306

037 第7章 村の生活と狩り 7ー10 裁縫。パンツとズボン、そして服。

いよいよ、本格的に自分の服を作成。


マリーネこと大谷はおっさんながらもデザインに拘った子供服を作っていく事にしました。

 37話 第7章 村の生活と狩り


 7ー10 裁縫。パンツとズボン、そして服。


 翌日。

 起きてまずはストレッチ。鍛冶屋に行き、槍の訓練と剣の素振り。

 そして昨日入ったお風呂桶を片付けつつ、機織りの家の水甕(みずがめ)と村長の家の水甕の水は交換する。いつもの様に井戸との往復。

 

 さて。

 パンツだ。

 昨日考えたが、パンツは布を三ピースか四ピースで縫い合わせて飾り無しにしたい。

 紐で引いて縛るとしたらパイプ縫いなのだが。柔らかい棒もないし、これは代用品を作るしか無い。


 糸を持って大工の家に行く。

 細い棒を選び出す。で、割り箸くらいの細さに削る。

 長さは一つが五か六センチ位とし、両端に穴をあける。

 ここに糸を通し、この切った細い棒を繋いで行く。繋いだ両端の棒にも穴を開け、糸を通して置く。これは一本は引っ張るためのものだ。

 

 もう一本はそこにリボンを結びつけてパイプ縫いした所を通すために使う。

 パイピングとかいう縫い方に使う道具のつもりなのだ。

 

 作ったこの簡易な治具のようなものを持って、機織りの家へ。

 

 さて布は後ろの部分は昨日作ったのと同じ。

 前の方、ここを二ピースか三ピースか。


 まず三ピースとして、まず真ん中。下は細く上に広がる形だが、左右の布を縫い合わせるのでかなり細め。

 左右の布は太股のちょうど股に当たる場所のサイド、やや上から腰の方までに当たる布を切り出してきて真ん中の布と合わせ裏側から縫う。ここはまき縫いか。それをつなげる。


 ここも遠慮せずに大量の待ち針を使った。

 あとは左右の足に当たる部分、裏側に折り込んで縫う。まき縫いして行く。

 上はまだ左右は縫い合わせず、上の方の布にさっきの治具を巻き込んで待ち針で止める。

 そして縫う。

 

 穿いた時に前になる部分は上は一か所だけ切って縫わずに開けておく。ここからリボンを出す予定。

 裏側の尻に当たる方も同じ様に縫い、左右を繋げる。さっきの治具の端の糸にリボンを繋いで、ゆっくりとこの変形棒を抜いていく。

 かなり慎重に抜いてリボンが通った。

 

 よし。

 一度穿いてみる。若干大きかったか……。まあ仕方がない。

 リボンを蝶結びに結んで見る。

 まあまあ。これで行こう。もう二枚作る。

 

 シンプル・イズ・ベスト。最初からこれで良かったか。

 

 次はズボンだ。せめて一本は作りたい。

 

 まず、腰から足首までの長さと、股下から足首までを測る。

 基本、布は二枚で片足を構成し、ポケットとあとはベルトか紐を通せる部分を作る。

 昔履いていたズボンを頭に思い浮かべる。

 

 足首の方は細く、股下の方に来るに従って太くする。

 足首の太さより一・五倍は布が必要だな。足を動かした時にスルッと動いてくれないといけないのだ。

 太股の方はそこまで大きくするとガバガバになる。ここは自分の太股部分を紐で測る。

 布二枚で作るが縫い代がいる。


 お尻の部分を確保するにはその方に広げて布を確保。大量の待ち針のあと仮縫い。

 股の方もしつけ縫いして針に注意しながらそろりと足を入れる。布はやや大きめに切っている。

 型紙がないので大きさに対して正確に切り出せないので大きめにするしかなかった。


 縫う段階でそこは調節しよう。

 よさそうなので布をひっくり返して同じ様に切り出す。

 そして仮縫い。


 もう一度そろりと足を入れる。ややお尻が当たる。後ろ側の布の仮縫いをやり直す。

 調整しつつやっとの事でなんとか形になった。

 ポケットを前と後ろにつける。

 

 両脇に手を入れられるようにするのを忘れていた。仕方無い。このままで。


 あとは裾の処理。きちんと内側に巻いて縫い上げて返し縫い。いやまつり縫いか。

 腰の方。紐を通せるループを何箇所かに縫い付けて、上もきちんと内側に巻いて縫い、返し縫いもした。

 

 もう、ランプがあってもだいぶ暗い。

 かなり急いだので出来栄えはイマイチだが、とにかくズボンは出来た。

 縫いの不味い部分は後で直そう。

 

 夕食にしよう。

 

 (かまど)の火を熾し、鍋とスキレットを置く。

 鹿馬の燻製肉を適当な大きさに切ってスキレットにいれて塩を振り焼く。

 ネズミウサギの塩干し肉の肉スープ。これも毎度毎度の事だ。

 すこしすぅっとするツヤツヤの葉っぱを一枚折って鍋に入れた。

 煮ていくと香りが高くなった。

 

 よし、出来上がり。

 手を合わせる。

 「いただきます」

 

 鹿馬の燻製肉を食べながら考える。

 

 とりあえず、パンツとズボンは作った。

 あれくらいシンプルなパンツなら毎日使うのに十分だ。

 

 次は袖がつんつるてんじゃないワンピースドレスだな。

 どういう形ならいいのか、この辺はサッパリだ。

 村人の服を一度分解して眺めてみるか。

 

 肉スープを飲み干した。

 

 「ごちそうさまでした」

 手を合わせる。

 

 手っ取り早く片付ける。

 

 まずしょっぱい子供服に着替え、この機織の家の寝床で寝る。

 半分綿の入った布製の布団。

 やっぱり布団はいい。

 

 明日も裁縫を頑張ろう。

 

 ……

 

 翌日。

 まず自分の服に着替える。そしてストレッチ。

 鍛冶屋に行き、槍の訓練と剣の素振り。

 

 汗を拭いて手を洗い、機織りの家に戻る。

 

 ワンピースなのだが、村人の女性の服を全部探すか、あとはメイドさんのあの服を大幅に小さくして作り、ワンピースと言い張るか。

 

 難しい選択である。

 

 まずは農家の家から箪笥を見直そう。

 きちんとした服がある。民族衣装っぽい感じもするがワンピースの服に更に上に着込んで行くスタイルのようだ。


 うーん。たぶんお洒落なんだろうな……。とはいえ。もう少しシンプルでもいい。

 

 村長の家の箪笥は、どうだろうな。

 奥方は物凄くお洒落なので、たぶん私が縫うのには難しい服しかなさそうだ。

 メイドの方は、下手すると私服がない可能性がある。

 寝間着とあのメイド服のみだとしても不思議でもない。

 

 見るだけ見てみるか。

 二階に登って一部屋ずつ見ていく。どの部屋の箪笥も、あの紺色の制服と若草色のセパレートタイプの服が入っている。パフスリーブに襟、長袖の服。そして長い丈のスカート。

 

 五人の箪笥に同じ様に入っている。色から見て夏の制服とか、そういう感じだな。

 そして私服はなし。やはりか。なんとなく、そんな気はしていた。

 

 鍛冶屋は、うん……これは失礼だがパスで。

 

 大工の家。

 箪笥に女性物が入ってる。

 これも民族衣装っぽい感じもする、農家の家で見たのと同じのがある。

 これは、……お祭りとか儀礼用の薫りがする。

 

 他のもあるか、探す。

 やっと茶色のワンピースがあった。これにしよう。

 (これを拝借いたします。)心のなかで失礼を詫つつ機織りの家に向かう。

 

 丁寧に畳まれた皺一つ無いアイロンの掛かったワンピースを分解するのは気が引けたが、型紙がないので分解して参考にさせていただく。

 

 慎重に分解していく。

 この服の各部位が何処の物なのか解らなく成らない様に、待ち針を打って、打って、打って、留めた。

 

 あとは何処をどれくらい縮めるのか。

 

 全体的に縮めるのだが、私の背丈が低いので、ただ縮小しても駄目なのである。

 そう、小さくするにもアレンジというか、デフォルメが重要なのだ。

 

 ただ縮めても、お洒落服でもなんでもナイ。

 

 そこはアレンジというか。小さいなりのバランスがいるのだ。

 どのデザイン部分を全面に押し出して他をサイズなりに合わせるか。

 

 そういうデフォルメである。それは大きい服にしたって同じだ。

 

 慎重にサイズを測る。自分のサイズも。

 正確な洋裁知識もないので、全て現物合わせと、その場の臨機応変的なサイズ変更で、布を切る。

 待ち針を打っていき、仮縫い。

 

 袖部分は肩の所をやや大きめのパフスリーブにして特徴を付ける。

 袖の所も膨らめた。肩の部分は当然別パーツ。襟も着ける。袖口も付ける。

 これは確か、ふせ縫いとかいう。袖の所は口ふせだったか。

 洋裁は母がやってたのを見た程度しか知識がないからな。


 前開きの部分は穴を開けて紐を通し、靴紐の編上げのようになるようにしてみた。

 鎖骨のあたりの高さで蝶結びだ。


 服を作るのは簡単ではなく、四分の一も縫わないうちに暗くなってきた。

 

 スカート部分に当たる部分にわざわざ元にはないタックを左右に一つづつ入れた。

 当然胴の方にもそのしわ寄せが出るのだが、そこは縫い止めた。


 結局この服には調整も含め六日かかった。

 

 まあまあ。

 

 ただ染めないと真っ白のままだ。寝るのに使うだけなら白でもいいのだが。

 暫く白で行くか。

 

 シャツ三枚は一日掛かった。

 複雑にはしていない。二ピースで前後を作って、サイドで縫い合わせた。

 基本袖なし。首回りを大きく開けて肩ひもでつながってるかのような形状の物を二つ。

 胸元の布とか下の部分はきちんと縫い返しておく。

 

 大きくV字で開けたノースリーブが一つ。

 これも同様、首の後ろとかV字の縁はきちんと折り返してまつり縫いだ。

 肩ひもでつながってるほうのシャツは後々、なにかデザインを付け足してもいいかもしれない。

 縁にデザインを施し肩紐もリボンにするとか。

 

 ……

 

 ブラウス二着は一つに付き五日もかかり、結構大変だった。

 ボタン穴の穴かがり縫いがミシンでは無い。手縫いゆえに手間がかかった。

 これも肩と袖、襟は頑張った。まともな服になったはずだ。

 一着は染めた後で襟や袖口を付ける。


 スカート二着を作るのも、一つに付き約四日だ。正確には短いほうが四日半、長いほうが三日半である。


 短いスカートは腰より上に布が来る部分も作る。胴体の胸の結構下まで。これをどういう名称で呼ぶのかは知らぬ。

 スカートの丈はギリギリ膝の高さの上だ。五〇過ぎのおじさんとしては、これでも攻めすぎなのだが、デザインを優先した。

 頑張って左右、ちょうど太腿の前にプリーツを一本づつ入れ、シンメトリックなデザインになっているはずだ。

 

 プリーツの部分はこれまた慎重にアイロンを掛けて決めている。

 胴体部分は左右で切って、きちんと端の処理を行い、なおかつ両方ボタン止め。四個づつ。

 メンドクサイ造りだが、これもデザイン優先。

 

 かなりの手間がかかり、閉口した。

 

 長いほうは、履いた時にスカートの裾が踝のやや上とする。

 プリーツは後ろの裾中央からすこし、一五センチ程度か、入れてある。

 そこが開くようにだ。

 両サイドにも、三〇センチほど入れてある。これも同様。

 

 こんな事をしてるから、時間がかかる……。

 

 スカートの丈の短い方は赤で染めた。長い方は焦茶色。


 染色。

 染色桶に入れ、一回漬けこんでから軽く絞って、しわを伸ばし生乾きさせてもう一回染色。

 半日置いて、また取り出して同様に生乾きの後、一回別の桶でよく洗った。

 でまた漬け込んで、半日。

 

 取り出して、軽くすすぎ、それから一度陰干しで生乾きまでやって、洗う。

 数度すすぎ洗いをした。計三回染めた。

 これで染色が落ちてなければ良しとした。

 

 全くの自己流だ。まあ染まっていればいい。問題ない。


 赤い方は白い細い布を左プリーツの横に縦に縫い付けてストライプとして、スカートの裾には横に黒く染めた細い布でラインを二段で入れる。

 デザインのつもりだ。

 

 短いスカートにはストライプじゃなく、プリーツ部分に飾りボタンを左右に三個、計六個つけるか迷ったが、やり過ぎになりそうで止めた。

 上のほう、左右にボタン付けてるので、クドくなりそうだしな。

 やや厚めの布で若草色で短いスカートをプリーツ左右に作るなら、やってみるかなとは思った。

 ダブル釦とかいうデザインのやつだ。

 

 今回はストライプを入れて、あえてアシンメトリカル・デザインとしてある。

 

 ブラウスも合わせて一着は赤で染めて、一着は若草色だ。

 赤いブラウスは染めた後、白い襟を縫い付ける。袖の先も白い布で作る。

 ボタンは白い陶器製だ。たくさんあったので、遠慮なく使わせてもらった。

 まあ、それっぽい感じにはなった。赤だとやや派手かもしれないが。

 

 結局、これらは染めるのも入れて計二八日かかった。

 

 赤い上下の服とか若草色のブラウスに焦茶のロングスカート。まあ、悪くは無いだろう。

 キャスケット帽とかの帽子まで作る余裕は流石に無かった……。

 

 これで街に出ても、なんとか着られると思われる。


 流石にこの村人のしょっぱい子供服を持っていく訳には行かないのだ。

 

 疲れた……。結局、自分服で一ヶ月の時間を要した。

 

 ……


 これで服はオーケーか。

 

 ……

 

 

 つづく

 

取り敢えず、服は出来たようです。


やはり薄手の布が沢山あるというのは重要です。

そこから作るとなると、気が遠くなるような時間がかかるからです。

本気のテイラーなら機織りからなのですが……。


次はまた狩りをしたりして村での生活です。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


チラシの裏が白い紙がいよいよ不足気味。


半面が白いチラシを知り合いに頼んでみました。


原稿用紙を買えよという突っ込みは無しで願いします><


チラ裏小説なので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ