025 第6章 再び狩りと考察と物造り 6ー1 森の強敵
順調な狩りの筈が、思わぬ事態に……。
マリーネこと大谷は初めて窮地に立たされます。
25話 第6章 再び狩りと考察と物造り
6-1 森の強敵
以前通った道の途中、小川のちょうど手前で森の中に入る。
こういう小川の近くには小動物がいそうで探して進む。
森の木と木の間隔がそこそこある。五メートルかもう少し間隔ありそうだ。
まばらに日が差し込む。下生えもそれなりに生えてはいるが、歩きにくいほどでもない。
順調に奥へと進む。
少し暗い藪の奥、『何か』がいる気配。目が光った。
出てきたのは大型のネズミのような生き物。齧歯類であるような顔だがやや細長く鼻が長い。
そして胴体がでかい。猫よりでかいな。
小型犬より大きいのは間違いない。中型犬ほどではない大きさの野ねずみ?
いきなりジャンプして飛びかかってきた。ジャンプ力もある。
咄嗟に槍を落とし、中腰のまま体を捻って右腰のダガーを抜いて下から上に向けて払った。
やや外したかも知れないが、手応えはあり。
後ろでドサッという音がした。
大型の野ネズミは絶命していた。まだ後ろ脚がびくびく動いていたが、鳴き声はなかった。
合掌。南無。南無。南無。
ダガーで首の所を下から上に切ったらしい。首は継がっていたが、喉と動脈を断ち切っていた。
首からは多量の血が流れていた。まあ血抜きが必要なのでこのまま脚を持って首を下にする。
しかし、野ネズミみたいなこいつですら人間襲ってくるのか……。
こいつも魔物だろうか……。確かめるには頭を割ってみるしか無い。
なのだが、頭蓋割って脳漿プシャァはあまり気乗りしない。
取り敢えず。内臓だけは捨てていくか。腹を割いて内臓をナイフで削いでいく。
胃を切ってみると、毒々しい色をしたきのこや、半分溶けている真っ赤な蛙? それと蒼い斑に黄色い皮膚の蜥蜴。
たぶんこの蜥蜴もまともじゃないんだろうな。魔物だろうな。
猛毒がありますよ、とかいわれても信じてしまう様相だ。
うげげ……。こんなものを喰ってるのか。そして人間襲うのね。
基本雑食という事だな。
少し腸の長さを確かめる。気になる事があるのだ。
…… 小腸には溶けた内容物が詰まってはいたものの、それほど多くはない。
ふむ。
首はもう喉は”ぱっかり”切れているので、骨を切って落とす。
仕方ない。魔石もやるか。
頭を両足で挟んで固定してナイフを眉間やや上から目の下まで入れて、眉間の上から頭頂部やや後方へスーッと切っていくとぱっくり割れた。
脳漿と脳味噌が出てきた。血と脳漿の匂いで噎せる。
……
ナイフでそっと脳を2つに切ると中には石があった。
やや小さいな。親指くらいの大きさしか無い。
しかし、石があるのだから、魔獣なんだな。石は回収し、獲物は縛ってリュックの後ろに括りつける。
シャベルで軽く穴を掘って内臓と頭を埋めて土をかける。
少し進むとまた一匹。今度はそのまま走ってきた。姿勢が低いので狙いにくい。
タイミングを見て狙う。
こんなに低いと私の背では狙いにくいが槍で突いた。
剣を持ってくればよかったかな。
手応えはあった。槍は頭の後ろの背中の所に当たった。
合掌。南無。南無。南無。
瞬殺のはずだが、獲物がすぐに止まらないので焦った。
槍を抜いてダガーで首を落とし、腹を割いて内臓は捨てる。
頭もナイフで割って魔石は回収。少しの間下向きのまま血を抜く。
ロープで縛って回収。リュックの後ろに括り付けた。
こいつもシャベルで軽く掘った穴に頭と内臓を入れた。
なんというか、そのまま撒き散らして去る気になれない。
今後も何度もここに来るのだと思うと、バラさずに村に持ち帰るほうがいいのかと迷う。
しばらく歩いて小川まで行き、手を洗う。
少し休憩。リュックを降ろし、小川で顔も洗う。
小川の上流はここで大きく左方向に曲がっている。あの湖に繋がっているのかも知れない。
少し座り込んでいたが、しかし休んでいられないらしい。
川と反対側、私が川に向いていたので背後からダッシュでこっちに向かってくる動物の気配だ。
急いで槍を握って振り返る。
大きいネズミなのだが耳が少し長い。齧歯類なのだが鼻は丸まっている。
さっきの野ねずみのように尖った鼻ではなかった。口には小さいが鋭い牙が付いている。
これはネズミウサギとでも呼ぶべきか。
しかしこいつもでかい。たぶん六本脚狼の胃に収まっていた奴らと同じ種類だろうか。
急に飛びかかられて、槍で弾き飛ばして追い払うのがやっとだ。
少し離れた場所に落ちたが、相手は怯む事もなくこっちに来た。低い姿勢からジャンプして来た。
槍を下に捨て置いて、中腰から体を捻りつつダガーで斬りつける。
口の横に刺さってそのまま刃がすっとネズミウサギを切り裂いた。
「ギギッ」という唸り声のような鳴き声がしたが、ネズミウサギはそのまま下に落ちた。
手応えは十分あった。
口の横、頬の部分から首まですっぱり切り裂いていた。
頸動脈を斬ったか。大量に出血していて、びくびく脚が動いていてまだ生きてる。
仕方なくダガーで首を断ち切る。
合掌。南無。南無。南無。
内臓を切り裂いて、胃を確かめる。
変な小さい節足動物か。蟲のほうかもしれん。あとはコブだらけで真っ青の顔をした蛙。これも魔物か?
とりあえず、コイツの小腸も確かめる。溶けた『何か』が詰まっていた……。
うむむ。一応肉食だな。そして、こいつも人を襲うわけだな。
どいつもこいつも、ここにいる生物はみんな人を襲うんだろうか。
逆さに持って、手っ取り早く血抜き。頭も割って魔石を取り出す。このネズミウサギも魔獣なんだな。
牙もついているがこれは削ってまで持ち帰る物には思えない。
小さいシャベルで軽く穴を掘って内臓と頭を埋める。
もう一回小川で手を洗う。
さて、大体は分かった。
リュックを背負ってあと二、三匹狩って戻ろうかと考えていると、不意に左の方からなにかの気配を強く感じた。
リュックは置いて急いで槍を一本握った。
左の奥に何かいる。背中にゾクッと来た。
ヤバいのがいる。ヤバい。ヤバいぞ。何かヤバい。
頭の中で危険を知らせるシグナルが鳴り響いているような感覚。
ここから逃げないとヤバい。
不意に自分の目が左奥の藪の中で光る『三つ目』に吸い寄せられた。三つの目が赤く光っている……。
ヤバいのがいる。あれは何だ。しかし、体が動かない。
まずい。あの三つ目から顔を逸らす事が出来ない。手が。左手が勝手に動く……。
左手が右腰のダガーを勝手に掴んだ。
右手は槍を掴んだままピクリともしない。
左手だけが自分の意思とは関係なくダガーを持って顔に向け始めた。
体が動かない。まずい、これは勝手に体が操られているのか……。このままではダガーを顔に刺して死ぬ。
私は腹の底から湧き上がる唸り声を上げた。
「うおぉぉぉぉ!!!!」
左手を済んでの所で横に躱して前に倒れ込む。
思いっきり顔を打ったが、気にしている場合ではない。
倒れた衝撃で左手からダガーが離れた。しかし、ヤツは……。たぶん、こっちに来る。
見たら駄目だ。
しかし、ここから逃げ出す方法が分からない。まずいぞ。
地面に倒れた事で地面の振動が判るが、四つ脚の動物が近づいて来る……。
右手にダガーを握って目を閉じた。
どっちから来る? 体を起こして低い姿勢でダガーを構える。
左手を地面に置いた。振動が近いのか遠いのか。
だいぶ近い!
「うわぁぁぁ!!!」
叫び声が自分の口から出ていた。
ダガーを気配のある方向に全力投擲。目は閉じたままだ。
「グギャアアア!!!」と声がした。当たったな。しかし近い! 急いで手探りで槍を右手に握る。
当たったのは確かだが何処に当てたのかは判らない。
相手の位置は確認できないが、一旦気配も音も離れた。大分離れたな……。
しかし物凄い振動とともに「ドドドドドッ!!」と走ってくる音がする。
左手で地面の振動から方向を探る。
来る!! い・ま・だ・!
自然と声が出た。
「はぁぁぁぁ!!!」
渾身の力で槍を前方に繰り出す。
ドカン!!!!
物凄い衝撃が来て一五メートル以上吹っ飛んだ。
かろうじて受け身は取ったが、ごろごろ転がる。
全身が痛い。口に血が付いた。たぶん鼻から少し出血してる。
やばい。もう武器がない。
ヤツは。ヤツはどうなった。
ドサァァーという地面を何かが滑る音。「グェェェ!」と鳴き声が。
まだ生きているのか。まずいな。
目を閉じたまま、自分が吹っ飛ばされて来たであろう方向を勘で確かめる。
たぶん、あいつの声がした方向だ。
目を閉じたまま這いつくばって進む。あいつの目を見たくない。
……
たぶんそいつの近くを這ったまま通り過ぎた。
そんな気配があった。しばらく這っていく。
……
リュックの横に置いた槍に手が当たった。よし。
槍を握って立ち上がる。やつの背後に自分がいるであろう。目を開けて振り向く。
大きな馬のような体が横に倒れていて脚がバタバタと空を蹴っている。立ち上がるつもりか?
握った槍を、そいつの尻の穴に全力で差し込んだ。
ひときわ高い「ピャーグェェェ!!」という凄まじい鳴き声がして脚が更に早く動いている。
槍をグリグリ押し込む。
「グェェェ……」
鳴き声が…… 止まった。
脚がビクビク痙攣を始めた。ケツに差し込んだ槍を引き抜く。
しばらく痙攣していた脚が、とうとう止まった……。
斃したらしい。
合掌。南無。南無。南無。
恐ろしい敵だった。
あの時に前に倒れ込む事が出来なかったら、今頃は自分のダガーで死んでこいつの餌に成り果てていただろう。
こいつの催眠術みたいなものだったのだろうか?
体が金縛りのように動けずに左手だけが勝手に武器を掴んでいた。
まるで自分の体ではないみたいだった。
こんな恐ろしい敵は魔物に決まっている。
全体は栗毛の馬に見えるが、頭は巨大なりっぱな角の鹿だ。
顔の横にも水平に角が両側に出ている。
エグいくらいに鋭い先端。刃に当たる部分も切れ味良さそうだ。
こんなのが突っ込んできたら頭を前に出すだけでスッパリ切断だな。
そして額に目。三つ目だったからな…… こいつ。
私の投げたダガーは首の下の胴体。胸部分か。そのやや上に根本まで刺さっていた。
そして槍も胸部分から刺さって背中のほうに突き抜けていた。
やや斜め下から入ったか……。
死んでいてもおかしくない傷だが、トドメはケツの穴からの槍だ。
どんな獣でも、およそ陸上の肉食獣である限りは排泄器官がある。
肛門は絶対に鍛える事も防ぐ事も出来ない弱点だからだ。
ダガーは思いっきり埋まりこんでいて引き抜くのにも苦労した。
胸に刺さった槍は、背中側から抜いた。
穂先は竿より少し大きく反しのようになってしまってるので、胸の方から抜くのは大変だと判断したからだ。
槍の竿は血だらけになった。
こいつの頭は持って帰りたいな…… しかし、馬の躰に鹿? 馬鹿ってか。いやそれはまずいな。
……
鹿馬だな。うん。首の一部を切って血抜きをする。
大量の血が流れ出てその臭いで盛大に噎せた。
脚にロープを掛けたが、このままではどうにも出来ない。
四足を全て一本のロープで縛って、そこに放置。
今まで狩った獲物を持って、まずは村に行って置いてこよう。
村に帰る途中、ヤバい敵が出ないか、気が気ではなかったが、何も出なかった。
こんなのがいるんじゃ、森の中はおちおち歩けないよな……。
私が初日から村にたどり着くまでに、こんな魔物に出会わなかったのは、ただの奇跡か偶然に違いない。
村について、すぐ獲物を猟師の家の作業場においてロープを四本。小さなスコップ。
ダガーと後は空にしたリュックを背負った。
槍は血のついてない予備を持った。
肉が、全部持ってこれなかったら、切れるだけ切って縛って持って帰えれる分だけにする。
あれだけでかいので、内臓は捨ててくるしか無いが頭はなんとかしたいな。
すぐに村を出て、あの鹿馬を倒した場に戻る。すごい血の臭いが漂っていて、すぐ分かった。
他に肉を食べる獣が来て食べていてもおかしくなかったが、あたりに生き物の気配すらなかった。
まず、首は完全に切断する。
まだ血が出ている。構わず腹を割いて、胃を確かめる。
こいつの名前はなんていうんだろうな。相当恐ろしげな名前でも驚かないぞ。
『死を司る鹿』とか、そんな名前でもついているかもしれんし。
何しろ、あの催眠術みたいなやつに加え、この頭の角もやばいが横の角も更に凶悪。
突っ込んできたら当たった敵は多分みんな死ぬ。
僻地にこんなすごい魔物が棲んでいるのだな。流石、辺境の地って感じだな……。
村人が住人を増やせなかったのはこういう奴がいるからだろうか……。
でかい体に見合う内臓の量で胃を取り出すのには少し手間取った。
胃の中にはネズミウサギ二羽? 千切れてるが。後でかい野ネズミが四匹、頭が見えた。
これでも満足はせず、襲ってきたのか。
やれやれ。ここの魔獣や魔物は襲える時には片っ端襲って食べるという性質なんだろうか。
小腸のほうも確かめておく。余り消化物は無かったようだ。
なるほど、常に飢えてるって事ね。
取り敢えず内臓は全て取り出す。スコップで穴を掘って内臓は埋めた。
解体する前に。
頭を胴体上に載せてロープで縛る。後ろ足近くの胴体にロープを掛けて後ろ足を縛ってそれを引っ張ってみる。
少し重い。しかし、全然動かない重さではないな。
ズルズルと引っ張り始める。森を抜けるまでは若干苦労した。
森を抜けて一休み。
獲物をそこにおいて、小川に行く。手と顔を洗って少し水を飲んで休憩。
もう一度ロープを持って肩に掛け引っ張る。ズルズルと村に引っ張っていく。
夕方になりかけていた。日が沈む少し前に、反対側に月が一個出ていた。
なんとか村まで引っ張って運んだ。
馬の体躯なので、そうとう肉が取れそうだな。
血抜きがもうすこし進むように あちこち血管を切った。
そして頭だ。角に注意してひっくり返す。
首の骨に沿って槍の穂先を頭蓋骨の方に当てる。
慎重に頭蓋を割り中を少し突く。そして頭を上に向ける。
脳漿と脳味噌が血とともに流れ落ちてきた。が止まった。石だな。この時にも、血と脳漿の匂いで猛烈に噎せた。
もう少し大きく頭蓋骨に穴を開ける。
あの額の目のところから切れば楽なのだが、この立派な角と風貌は保存したかった。
もう一度頭を上にすると、でかい魔石が下に落ちた。
私の拳を遥かに超える大きさ。でかい。ネズミウサギのが親指大なのに、こいつはこの大きさ。
このエグい鹿ヤローの魔石は体躯に見合う立派な大きさというべきか。
濁った灰色のやや楕円をした石。本当に魔石なんだろうな?
鹿の頭に灰を詰めた。口から食道の部分には大量のおが屑。
口は閉じる。紐で縛った。後で縫い付けるか。
首の下には板を置き首の革を縫いつけるために板に穴も開けた。
革の紐で固定。
目は腐るんだろうな。腐ってから考えるか。
これを村長宅の前に付けたら魔物よけになりそうだな。
まず、今日は大量に肉が手に入った。
これはどんどん解体する必要がある。まずは野ネズミ魔獣二匹。ネズミウサギ魔獣一羽。
皮を剥いでいき、肉は解体して塩をまぶす。骨は捨てる。
鹿馬ヤローは大きいので苦労する。皮を剥ぐだけでも一苦労だ。一人だし。
首の下、胸部分の肉が硬いのが意外だった。ガッチガチだ。
肋の周りの肉を丁寧に削いでいく。桶に山盛りだ。
背中側の肉、前脚の肩。ショルダーか。別の桶に入れた。腰肉。後脚の肉。脛も削ぐ。
大量の骨が余る。背骨は少し斧で叩き割って桶に入れた。後で煮てみる。
残った骨は斧で叩き割って穴を掘って埋めた。
すぐに食べるのは肋肉だな。
他は全て塩漬け。量が多いので大きい桶に塩を入れ、そこに肉を積み上げ、更に上に塩をかけた。
その後燻製にするがそれは後日だ。
皮は猟師の家の作業場に持って行った。鞣しが必要だな。
例によって燻製用の漬け込む液が無い。塩漬けのままやるしかない。
井戸に行って手と顔を洗った。
鼻に触るとまだ鼻血が少し出た。
倒れ込んだ時に顔を打ち付けたし、吹っ飛ばされた時の衝撃でも鼻腔を切ったらしいな。そのうち止まるだろう。
夕食の仕度。竈に火を起こし肋肉をぶつ切りにして鍋に入れ、たっぷりの塩。
水を入れて煮る。豪勢? な肉スープだ。灰汁はこまめにすくった。
肋肉をもう少しぶつ切り。
細長く切って削った枝を串にして肋肉に塩を多めに振って、遠火で炙る。
串肉を何本も作る。
お腹も空いているし、沢山食べるのだ。
八本ほど炙り肉を作った。
手を合わせる。
「いただきます」
無事に生き延びて食料確保出来た事に感謝だ。
炙り肉をひたすら頬張る。これは美味しい。間違いない。
馬刺しみたいにして食べたかったが、醤油もないし大蒜もない。
野獣の生食は寄生虫が怖い。
焼くか煮るしか無い。後は塩漬け、干し肉、燻製か。
今回は本当にやばかった……
武器がどうのこうのという問題じゃ無い。あれは魔法攻撃だったんだろうか?
マインドアタックとか、そういう類いか。初めて魔獣らしい攻撃を喰らったのだろう。
あの時の自分の戦闘センスは流石に五〇越えたおっさんの私のモノじゃないな。
生きているのが不思議なくらいだったからな。
多分これも、あの天使が寄越した優遇なんだろうな。
ぼんやりと考える。
何で文字読むとかの基本的なスキルの優遇がないのか、不思議でしょうがない。
スープに入れた肉も十分美味しかった。肉エキスがでていた。
御飯あればな。
…… 無いものは無い。
全部飲み干した。
「ごちそうさまでした」
手を合わせる。
残った肉は塩漬け。そして手っ取り早く片付ける。
竈の火は落とさず、骨を煮る。それとお湯を沸かして桶に二杯ほど確保。
鍛冶場のお風呂を展開するべきか迷ったが、村長宅の女性部屋にお湯を張った桶を持ち込む。
服を脱いで、お湯に漬けた布を絞って体を拭く。
もう一つの桶のお湯で顔を洗ってから頭も洗う。手櫛で髪の毛を梳いて頭皮を洗った。
洗濯の必要があるが後回し。村人の子供服に着替える。
桶を片付けて、骨を煮ている状況見てみると火が通っているので、竈の火を落とした。
今日はこの村長宅の夫人? の部屋で寝る。
疲れた。
つづく
やっとのことで窮地を切り抜けたマリーネこと大谷。
食生活は平たんなままですが、生活は決して平たんではない様子。