239 第20章 第三王都とベルベラディ 20-26 第三王都の南で討伐任務
目的の町の宿に、副支部長がいた。そして宿の広間は怪我人だらけ。
食堂に行くと、副支部長の歓迎を受ける一行。
夕食を食べながら、メンバーの紹介と今回の任務の内容が伝えられたのであった。
239話 第20章 第三王都とベルベラディ
20-26 第三王都の南で討伐任務
田舎道をがたがたと揺られてクネマの町に着いたのは、だいぶ遅い時間だ。もう二つの太陽が傾き、夕暮れ間近である。
この辺りの天気は雨は上がったのか、晴れたり曇ったりだった。
二台の荷馬車は、とある宿の前についた。御者の二人は迷うことなくここに向かったのだ。ここが冒険者たちが寝泊まりする宿なのだろう。
宿につくと、二人は直ぐに宿に入った。
私たちも幌から出て、荷馬車を降りる。
宿の中の中央広間は、もう油ランプが灯されていて、辺りは明るい。
そして、そこは負傷者で一杯だった。八人が負傷し、そのうち三人は動かせない重傷である。
「レアル。貴女がここに来ていたのね。手伝いますわ」
そういったのはミュッケだった。どうやら二人は顔見知りらしい。
「さあさあ。治療の邪魔になりますから、他の方々は別の部屋へ」
ミュッケが声を張り上げ、全員追い出されることになった。
私たちは、宿屋の中で一番広いホールを追い出されて、食堂に移った。
その食堂に一際印象深い男性がいる。
肌は白い。髪の毛は金髪。ほっそりした顔。身長は二メートルを少し超えた感じだ。
細い眉。金色の瞳。彫りの深い顔で美形という風貌。耳は長く尖っている。
この人が、今回の隊長なのか。
「ヴァルデゴード副支部長。支援に参りました」
アーレンバリ副支部長補佐が挨拶に行く。
「ああ、助かるよ。見た通り、だいぶ負傷させてしまってね。戦力不足だったんだ」
「副支部長の指揮でも、あれほどの被害が出るとは、何が相手ですか」
アーレンバリ副支部長補佐が訊こうとしたときだった。
「ああ、まってくれ。全員座ってほしい。それと、見慣れない少女が剣を背負っているのだが、我が支部に、あのような支部員は見たことがないのだが」
私の事だな。
「ああ、紹介いたします。彼女はマリーネ・ヴィンセント殿です。トドマ支部にいましたが、一時的に我ら第三王都支部に移籍しています。彼女の階級は金二階級です」
アーレンバリ副支部長補佐が私を指差して、紹介したので、私は黙って深いお辞儀をした。
「そうか。私がこっちの事件でばたばたしていた時に来たのだね。貴女が、あのトドマの小さき英俊という訳か。支部長から話は聞いているが、それ程背が低いとは。なるほど、戦神・テッセンともいわれた理由がそれか。なるほど。それにしては髪の毛が赤くないな」
そういって、彼は笑った。
「ああ、私の事はまだ知らないんだろう。ヴィンセント殿。私はリーナス・ヴァルデゴードだ。第三王都支部で副支部長をしている。階級は一応金三階級となっている。そろそろ白金に上がるかどうかだが、まだ判らないな」
そういって彼は片目を瞑った。
「山下様と小鳥遊様以外で、白金の、階級を、見たことが、御座いません。何人程、いらっしゃいますでしょうか」
「第三王都支部にはいないな。ベルベラディの方には二人いたはずだな。あとは第一王都と第二王都の方にも」
「そうなんですか」
「あの二人の剣技を見たことはあるのかい。ヴィンセント殿」
「何度かは、御座います。ただ、あの二人が、揃って、本気の剣を、繰り出したのは、一度だけで、御座います」
「ほう。君が羨ましいね。スッファの街道掃除は是非行きたかったのだが、支部長に強く止められてね、私はいけなかったんだ」
「ヴァルデゴード副支部長。ヴィンセント殿の腕前もその階級章通りではなさそうです」
アーレンバリ副支部長補佐が口を挟んできた。
「ほお。それはどういうことだい」
「ヴィンセント殿はどうやら、グスタフに捉まり、練習試合を無理やりさせられたそうなのですが、あのグスタフに四本入れて、彼女はまったく無事だったとか」
「それは本当か。それにエルヴァンはまだ戻っていないだろう。副支部長のいない時に練習試合をやるのは、規則違反だ」
「補佐のサラデーオが脅されて、許可を出してしまったらしく彼は暫くは謹慎中です。それと、グスタフは練習試合で真剣を抜いた事由にて支部長自らの手で地下牢送りとの事」
「……。おいおい。だいぶ凄いことが起きたようだね」
彼は笑っていた。
あまり色々吹き込まないで欲しいのだが、事実だけに打ち消すこともできない。やれやれ。
「今回、支部長からは、金階級はヴィンセント殿だけでいい。大至急送り込むようにと、命令を受けております。それで支援の為、弓の上手な二人を連れてきました」
「ほう。で、その二人の盾役がそっちの三人か」
「その通りです。支部長の考えでは、副支部長とヴィンセント殿が二人で事に当たれば、必ず解決するだろうと、そう仰っていました」
「……。そりゃまた。随分と信頼されているようだな。ヴィンセント殿」
そういって、また彼は笑った。
「グスタフは、ヴィンセント殿を子ども扱いであしらおうとしたらしいのですが、途中から本気になった挙句、子供のようにあしらわれたのは、あ奴だったようですよ」
「くっくっくっ。ぜひ見たかったな。その練習試合を」
彼は暫く笑っていた。
「ああ、他の人も紹介しておこう。そっちの三人。アロルド・オーバリ。彼は金一階級だ。今回の討伐の副隊長をやって貰っている。その横、アードルフ・ルツフェン。銀三階級だ。そしてゲレオール・ヒスベルク。彼も同じだ。銀三階級。そっちの二人が銀二階級。シュリック・ヴェルコーとゴードリック・ベルキン。負傷しているのを面倒見てくれていたのは、レアル・ディアス独立治療師だ。他の負傷しているのは、あとで支部に帰ってからでいいだろう。今回はもう戦えない」
そういって簡単な紹介が終わった。次から次へと名前が出てきて、彼らには済まないが全く覚えきれないな。
まあ、副支部長の名前と、補佐の人のと、あとは、さっきの金階級の人と、弓の二人。治療師の名前。
これくらいで、何とかなるだろう。ヴァルデゴードに、アーレンバリに、オーバリ、男性の弓師がテッシュで女性の方がルルツで、治療師が、ミュッケと、先に来ていた人がディアス。
全部で七人。悪いけどこのくらいにしておく。覚えようと頑張って間違えてばかりというよりは、このほうがいい。
そうしていると、食堂には食事が運ばれてきた。パンとスープ、シチューと燻製肉。まあ、いつものものだ。
「ああ、みんな、食べながら聞いてくれ」
副支部長が声をみんなに声をかけた。
私は静かに手を合わせる。
「いただきます」
小声で呟いた。
みんな、無言で食事をし始め、食器に当たるカトラリーの音が響いていた。
暫くしてヴァルデゴード副支部長がみんなを見回してから、喋り始めた。
「まあ、今回の怪異は、麓でメルイヌエが出たとか、いくつか魔獣が出たとかだが、それはそれほど問題じゃなかった。林に入ってサンテヌテがだいぶいたとか、それも、それほど問題じゃなかった」
彼はパンとシチューを交互に食べながら、まるで雑談でもしているかのような調子だった。
「実は、被害のあった村の南のやや開けた場所で、森の上空、奥の方から出てきたライメルドの集団が問題でね。これの対処が難しい。我々が虚を突かれたのもあるんだが、ここで最初の負傷者が出たんだ」
彼はパンの次に、燻製肉の塊を切り始めた。
「雨が降ってきたことで、アレが森の上空を飛んで奥に帰ったが、雨が止むと出てくるし、一進一退だったんだが、そのうちに次第にこっちが追い込まれてね。だいぶ危なかったが、その時に丁度雨が降って、敵が森に戻った。そこで死者を出さないよう、撤退するのがやっとだったのさ」
そこで副支部長補佐のアーレンバリが口を挟んだ。
「副支部長、魔法師ギルドに応援は頼まなかったのですか?」
「魔法師のギルドに頼むべきかも考えたが、アレに躱されてしまうと被害が増えるだけだ」
彼は燻製肉を食べながら、会話を続けた。
「風を起こすにしたって、向こうが一頭二頭ならそれでもいいさ。まさかの五頭では、逆にこっちに風を返される。そこに奴らの麻痺の粉でも入っていたら、こっちが全滅だ」
そこで会話が一旦止まった。
「炎や水の方ならどうなんです」
そういったのは弓師のテッシュだ。
「ああ、炎も水も同じだ。届く前にあの翅のはばたきで、こっちに戻されるだけだ。奴らの起こす風に逆らって飛ばすのは無理だろう。それに森に逃げ込まれたら、炎は不味いな。山火事を起こしに来たわけじゃないからな」
「そうですか。そうなると、我らの弓もどこまで支援できるか、疑わしい」
テッシュは難しい顔をして、黙り込んだ。
「ああ、弓のお二人には、ちゃんとやって貰いたいことがある。そっちを全力で頼みたいんだ」
ヴァルデゴード副支部長は口をもぐもぐさせながら、まるで緊張感のない会話だ。
「と、いいますと?」
「ライメルド以外に小型の魔獣もかなりいるんだ。出て来次第、そっちを頼む」
「承知」
テッシュとルルツが頷いていた。
「まあ、そんなこともあってね、体勢を立て直して、決着をつけるしかないということで、支部長の所に使者を二人だしたんだ。とにかく、あの五体の連携を崩して、斃さねばならない。そこに来たのが、ヴィンセント殿。貴女という訳だな」
彼は私の方を向いて片目を瞑った。
こういう気障な動作がやたらと似合うイケメンなのが、ちょっと気になったが、まあいい。
こういう動作はそういえば、ヨニアクルス支部長もやっていたな。
私は黙って、黙々と食事を片付けた。
「ごちそうさまでした」
手を合わせる。少しお辞儀。
それを見ていたヴァルデゴード副支部長が、一言言った。
「ヴィンセント殿は、東方出身らしいという話だったが、ずいぶんと信心深いね」
「食事が、出来る事、食べさせて、頂いた事を、感謝する、事は、大事な事、ですの」
私はそういうのが精一杯だった。
「副支部長様。『ライメルド』という、魔獣を、私は、知りません。簡単に、教えて、頂けますと、幸いに御座います」
「ああ、畏まる必要はないよ。ヴィンセント殿。私の事は様はいらない。ヴァルデゴードでもリーナスでも構わない」
「そ、そういうわけには、参りません」
「まあ、いいさ。君はこの魔獣を知らないのか。そうか、北部や北東部では出なかったのか」
「はい」
「簡単に説明すれば、だ。身の丈は凡そ一フェムトだ。蟲や甲虫のような、透明の翅を左右六対持っている。これが強烈で、突風を起こすことも可能だし、高速で飛翔移動も可能というわけだ。そして胴体に六本の腕というか脚というか、生えていて、これの先端にあるのは鉤爪だ。これで切り裂かれる。普段は小型の獣とか小型の魔獣を襲って食べているのだが、ごくまれに人のいる所に出てきて、人が襲われる。今回のがそうだ。これで麓の小さな村が半壊した訳だ」
だいたい四メートルくらいの、空を飛んでくる魔獣か。厄介だな。
「この魔獣の、特別な攻撃は、どんなものでしょう」
そいつの必殺技を知っているのなら聞いておく必要がある。
「ああ。まず尻尾が長いんだが、この先端には棘があってね。刺されると動けなくなる。麻痺するんだ。もう一つある。二本の触覚があるんだ。これが光ったら、あいつらは口から、黒い靄の球のようなものを出すんだ。これが飛んできて破裂すると麻痺する粉をまき散らす。これが一番厄介だな。今回もこれで負傷者が増えたんだ。雨が降ってきたから撤退出来たが、死者が出なかったのが不思議なくらいだ」
「わかりました。その粉は、どれくらいの、範囲に、飛ぶのでしょう」
「そうだな。爆発の中心からだいたい半径で二フェムトくらいだろうな」
そうか、八メートルから九メートル。安全を考えたら一〇メートルは距離がないと、麻痺するという事だな。
「わかりました」
彼は微笑していた。何が面白いんだろう。
「じゃあ、今日は全員早く寝て、英気を養ってくれ。明日、現地に出発する」
「討伐隊長殿。了解です」
そういったのはテッシュだった。それを機に全員が頷いて席を立った。
私に与えられた部屋に入って、部屋から外を見てみる。
部屋のランプは誰が点けたのか、既に点いているが、もう外は真っ暗だった。
南の空に大きな月。そして小さい赤い月とやや薄蒼い小さい月がだいぶ離れて上がっていた。
雲が少なく、これまた今にも星が降り出すかのような星空だった。
その時、遠くで何かの獣が啼いていた。
翌日。
起きてやるのはいつものストレッチからの柔軟体操。そして空手と護身術。ダガー二本使った謎格闘術。そして剣の鍛錬。
宿の裏手にある、井戸の横にある広い場所で鍛錬開始。
今回は二刀流の方はブロードソードとダガーだった。
ブロードソードは短いので、今回の任務で使う武器は背中に背負ってきた鉄剣だ。
これでも届くかどうかは判らないが、久しぶりにこれを振り回すことになる。
一礼。そしてまずはブロードソードの居合抜き。これを暫く繰り返した。
次は、剣の稽古でやっている型を一通り。
そしてまた一礼。剣を収める。
ブロードソードを終えたので、次は鉄剣。
鉄剣を下段に持ったまま、一礼。
そして私は、十分にこの剣なりの素振りを繰り返した。
空を飛んでくる魔獣が五頭。私をめがけて一気にやって来るとしたら、私はどうやって切り抜ければいいのか。
今回の焦点はここだ。
あの、やや軽いノリに見える副支部長が、どの程度の腕前なのかはまだ不明だが、白金になるかもと言ってのけているのだ。
少なくとも、あのケンブルクよりは上なのだろう。どういう剣を使うのかは分からないのだが。
彼の近くで魔獣を一気に引き寄せて、二人で斬ることになるのだろうな。
襲い掛かってくるようなら、二頭、三頭くらいまでしか、私の前には来れまい。翅を広げているのなら、それもきつい。というか無理だな。
結局、殺到しようにも、私の左右で取り囲むくらいしかできない。あとは真上か。
そいつらの腕の長さがどのくらいあるのか。九〇センチ以上あると、私の腕も入れて、刺すにはギリギリだろうが何とかなる。
やりようはあるな。
頭の上で鉄剣を左に倒し、後ろから右に回って、反時計回りの回転で一気に左横に斬りつける。
右八相に構える。そこから剣を右側にやや倒しぎみにして右から左へ。無茶な筋だと速度が上がらないな。
鉄剣を構えて、思い切って斜め上に繰り出す。腰を入れて踏み込み、相手が浮いてるのを想定して、上への攻撃を鍛錬する。
そして頭上で大きく振り回す。これも剣先はかなり上に向けたものだ。
不意に後ろで拍手が聴こえた。
そこにはヴァルデゴード副支部長が立っていた。
「朝から随分と熱心だね。なるほど。グスタフが簡単にあしらわれたという事だったが、その足捌きといい、その太い剣を軽々と振り回す体幹といい、相当な剣術とお見受けした。あなたの師匠は誰なんだい」
「おはようございます。副支部長殿」
私は鉄剣を鞘に仕舞って、下に置いた。
「一年以上、前の、記憶が、御座いません。ですので、師匠は、分かりません。この大きい、剣の方は、自分で、作りましたし。振り回しも、自分で、考えた物、ですので、流儀は、御座いません」
そういって、私は深くお辞儀した。
「おやおや。まさかの流儀なしとはね。とてもそうは思えないが。まあ、そうなれば、それはあなたの銘を採って、ヴィンセント流と言う事だね」
彼は片目を瞑って見せた。
彼は何が何でも、剣には流儀があると言いたいのだろうか。
まあ、私の剣術は、元の世界で習って段位を取った剣道が基本だ。なのでこの世界では名前はもちろんないし、大きい鉄剣にはこれといった固定の技がある訳でもない。形無しの剣なのだが。それこそ、私の出鱈目な筋力と膂力、そして反射神経と見極めの目で繰り出しているだけなのだ。それでも、魔物が斃せればそれでいいのだ。弟子を取るとか、誰かに教えるとかいう事は考えたことすらない。
私は顔を洗って、剣を背負い直す。
空中にいる比較的大型になる魔獣が相手だ。投げる必要もあるだろう。ダガーは四本全て持っていく。右腰に二本。左腰に二本。
それぞれ革紐で結び付けた。ブロードソードを外したので、これはリュックの方に結び付けた。
「軽い朝食を食べたら、出発する。みんなはもう食堂にいるかな」
彼はそういいながら、中に入った。
私も、続いて入っていくと、食堂には昨日のメンバーが揃っていた。
「おはよう。全員揃っているな」
副支部長が声をかけると全員が起立して、腕を肘の所で曲げて、胸の前に当てる。敬礼だな。
「軽く食べてから出発だ。準備がまだの者は、ここでもう準備してくれ」
そういいながら、宿の人の様子を副支部長が見に行った。
すると、宿の人が数人で食事を運んできた。
一次発酵のパン。そして、何かの出汁が出ているスープ。それから干し肉を焼いたものが出された。
手を合わせる。
「いただきます」
他の支部員が宿の人と一緒に革袋を運び出していた。向こうで食べる食料だな。
現地で野宿になるのか、それとも一回戻るのか、その辺も現場の状況次第だな。
パンを千切ってスープに潜らせながら、少し考えた。
飛んでくる魔物が、私の匂いで殺到するとしたら、どんな風になるのだろう。
さすがに、今まで飛んで襲って来た魔物は、あの洞窟蝙蝠くらいだ。
他は飛んでくると言っても走ってからのジャンプだから、一直線に飛び込んでくるだけだ。
それになんといっても翅はない。
飛翔する魔物か。初だな。殺到するにしても、飛翔して私めがけてなら、私の身長から言って低い軌道にならざるを得ない。
そうであれば、他の人たちが斬ることも出来るだろう。
そう。私は、『餌』なのだから。敵は間違いなく、私目掛けて殺到する。
今回は、私がうまく立ち回って他の人に斬らせる方向だな。
……
干し肉は、魚醤で一回漬け込んだあとに干したものらしい。
臭いはともかく、旨味は出ていた。
スープも飲み干して、朝食終了。
「ごちそうさまでした」
手を合わせる。少しお辞儀。
食事を終えると、みんな準備に取り掛かっていた。
私はリュックは置いていく。背中に鉄剣を背負ったので、リュックは持てないのだ。
全員が、準備を終えて宿の外に集合。
「よし。現場には歩いて行く事になる。現地にはまだ、先日野営した時の露営天幕がある。そこで一旦、休憩しよう」
全員が隊列を組んだ。
私は、副支部長補佐の後ろだ。さらに後ろには弓の二人が。その更に横に盾持ちの二人。最後尾は銀三階級の前衛盾持ちだ。
全員が歩き始め、現場の村に向かった。
つづく
今回の魔獣討伐の魔獣の特徴を説明してもらう、マリーネこと大谷。
飛翔する魔物だという。なかなか厄介な敵そうだった。
翌日は簡単な朝食の後、早速現地に出発となった。
次回 第三王都の南で討伐任務2
マリーネこと大谷の周りで風が吹けば、匂いが周りに運ばれる。何も起きない筈がなかった。
さっそく、魔獣たちが現れ、討伐隊の戦いが始まる。しかし、まだこれは序盤である。