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134 第17章 トドマの鉱山事件 17ー3 魔獣と混乱

 次々と現れる、魔獣たち。見た事も無い魔獣を切り裂いていくマリーネこと大谷。

 そして大谷は、魔獣使いを見つけ出す。

 

 134話 第17章 トドマの鉱山事件

 

 17ー3 魔獣と混乱


 真っ黒に焦げたような色の山羊のような角と顔をした六つ脚の魔獣をブロードソードで斬った。

 左から右上に抜けた剣。手応えあり。

 首が飛んで鮮血が飛び散り、そいつは(たお)れ、一瞬だけそいつの声がした。六本の足は激しく痙攣(けいれん)していた。

 

 まだ二頭、別の魔獣が突っ込んできたが私はほぼ同時に斬り払った。眼前に迫った魔獣は崩れ落ちる。

 血糊か脂で、剣の手応えがだいぶ違ってきた。少し切れ味が落ちているのだろう。

 

 さらに六頭。まだ来る。私は剣を手早く一回振って左腰の鞘に仕舞い、背中の方の剣を抜く。

 剣を新しいミドルソードに構え直した。

 

 顔に目が四つの小型の野牛のような魔獣とか、名前も知らない。

 突っ込んでくるのをカウンターにして右下から上へ払い、首を斬る。

 体はやや左に躱す。更に来る。剣は左下から右上へ。どんどん来る魔獣を連続で斬り払う。私の横で魔獣が(たお)れ、場所が塞がっていく。

 この四つ目の魔獣四頭は連続で斬り払った。

 

 これだけ斬ったのにも関わらず、剣の切れ味はそのままだ。ブロードソードと手応えが全く違う。何かに触れた感触しか無い。

 

 あと二頭。

 突っ込んでくる四つ目の濃茶の毛皮を持つ魔獣に剣を突き出した。一頭の首元に刺さり魔獣が暴れた瞬間に剣が左横に流れ、魔獣は大量に出血しながら私の前で崩れ落ちた。

 左に流れた剣を右に払うともう一頭は首がすっぱり切れて絶命。体がそこで横倒しになり脚だけが激しく痙攣している。

 

 もう、戦える場所がない。少し前へと出る必要がある。

 このままでは坑道の中にだいぶ入りかけているのだ。

 後ろの坑道左右は松明が灯されていて暗くはないが、その後ろには鉱山の作業員たちがいる。私はこれ以上は下がれない。

 

 魔物の死体の足を掴んで前に放る。手早く四頭ほど放って道を開け、更に前。

 

 私は坑道の入り口に立った。

 

 ……

 

 魔獣はまだやって来る。首の途中に大きな一つ目がある魔獣とか、全くの初見である。

 黒っぽい毛を纏う、角の生えた魔獣が五頭。背中に震えにも似たものが来た。

 さっきまで無反応だった背中が反応。頭の中で僅かに警報が響く。首の目は一つだが、頭が別の方向を向いても、首の目は前を見ているのだ。

 五頭のうち、三頭が素早く反応し、こっちに突っ込んでくる。

 

 三頭を前にして剣を左八相。二頭はそのまま斬り払ったが、飛び込んでくる魔獣は剣を(かわ)し右横だ。

 躱した魔獣が首を振って、私に突っ込んで来た。

 もう一度剣を横に払った。残り二頭、左右から突っ込んでくる。

 

 右側の魔獣を先に斬り払い、私は前転。起き上がりながら振り向いて、突っ込んでくる魔獣を、下から斜め上に剣を向けて突き刺した。

 胸のあたりに刺さったが、魔獣が走る勢いで、腹を縦に切断。大量の血と臓物が降ってくる。私は転がりながら、左横に出た。

 しかし、大量の血を浴びた。地面に激しく流れた魔獣の血の中を転がったことで、前も後ろも服は血だらけだ。

 

 魔獣は臓物を撒き散らしながら、少し進んで、そのまま前のめりに倒れ込んで動かなくなった。後ろには長く伸びた大量の血痕と内臓。

 

 すべての魔獣が斃れ、激しく流血し、痙攣していた。

 

 

 これは、やばい。魔物の大暴走なのか。

 

 

 見た目が既に獣ですらないモノがやってくる。体長は一・五メートルほど。

 細長い頭。小さな白い目の中に黒い点。

 大きな赤い牙。それがクワガタの様に突き出している。

 あの牙で勢いよく咬まれたら、どんなものでも喰い千切りそうだ。

 複雑な構造の口が見えた。昆虫型なのだろうか。

 

 六本脚の細長い体だが四本脚で体を支え、上体を起こしている。

 二本の脚は、両方とも(はさみ)が付いている。そのうち右の鋏が大きく、異様な速度で振るわれ、私に向かってくる。どうやら、右の大きい鋏と左の小さい鋏で役割が違うらしい。

 それが八匹ほどで、どんどんやってくる。

 

 大乱戦になった。

 

 顔についた赤い牙を躱し、右からの剣で頭を切り落とす。

 断面から黄色っぽい体液なのか血液なのかが、飛び散る。

 地面が黄色になった。赤い血液と混ざって得体のしれない色の血溜まりを作っていく。

 これもレハンドッジと同じか。あの黄色い体液の。

 

 前方二体からほぼ同時に大きい鋏が振るわれたが、私は後ろに躱して剣を突き出し、相手の鋏をわずかに弾いて魔物の顔に剣を突っ込む。

 抜いてすぐに横の魔物の顔を切り飛ばした。

 黄色の血が噴水のように吹き出し、私は左に躱した。猛烈に痙攣している昆虫魔物。

 

 やはり、かなり()えた臭いが漂う。

 

 離れた場所でギングリッチ教官と彼が連れてきた隊員が戦っているのが見える。

 鉄階級の者たちでは無理だろう。悲鳴が上がり、何か怒号が飛び交う。

 

 突っ込んで来た昆虫のような魔物の首の辺りを斬り飛ばして行く。

 魔獣の血の匂いにこの昆虫のような魔物の饐えた臭いが混ざって漂う。

 嘔吐しそうな臭いが坑道の入り口に充満しつつあった。

 

 どこだ。これの指揮者は、どこだ。

 

 左右を見回す。私の目が一箇所に吸い寄せられた。見つけた。

 

 操ってるのは、あいつだ。逃げながら操っているのか。

 何かリュックのようなものを背負いながら、小さな剣を構えている。

 あの男は様子がおかしい。

 

 遠いが届くか?

 右腰のダガーを左手で全力投擲。

 そいつの膝の裏、(ひかがみ)に当てる。

 こっちを振り向いた。ツォディッロの顔だった。

 

 逃げようとするツォディッロの足に当たって、振り向いた彼が無様に前のめりで倒れ込んだ。

 その時に遠くの魔獣たちの動きが変わる。あいつは膝の裏を刺された事で、すぐには立ち上がれないでいる。

 ダガーは抜けなかったらしい。ようやくツォディッロは片足で立ちあがった。

 このままでは逃げられてしまう。

 左手で小石を拾って全力投擲。ツォディッロの腰に命中し、短い悲鳴を上げてその場に倒れ込んだ。

 

 この国には、たぶん、いや間違いなく魔獣使い(ビーストテイマー)なんていない。

 

 この騒動の中、たぶんどさくさに紛れて運び出そうとしてるやつが他にもいるはず。

 更に見回す。

 

 二人いた。彼らは共に背中に大きな革袋を背負っている。

 たぶんビスィドマーともう一人が鉱石横流しの一味か。

 

 逃げ出している二人に大きめの石で狙いをつける。手加減している場合ではない。全力で投擲。

 

 ビスィドマーには大きな石が腰に当たって転倒。素早くもう一個拾って、更に投げた。

 もう一名が振り向いた事で、石は腹のやや下に大きくめり込んでいた。

 

 二人共倒れた。ビスィドマーは腰骨が折れたかもしれない。支部長が紹介しなかったもう一名、名前のわからない男はもしかしたら下腹部の内臓が破裂したかも。

 二人共、ぴくとも動かなかった。

 

 ……

 

 不意に背中にぞくっとする感覚。何かがいる。いや、来る。

 

 そこへ、さらに遅れて昆虫のような魔物がやってきた。二匹がまっしぐらに私を目指して走ってくる。

 昆虫のバッタのような顔の魔物を左から右に払って斃す。

 

 流石に額にかなり汗が流れていた。

 顔を拭おうとした時に、更に背中には例のぞくぞくする感覚が来て、頭の中の警報が鳴り響く。

 

 さっきまでの魔獣たちとは動きが違う。もう私を襲う魔獣なのだ。

 私の方に豹のような体のでかい牙のやつ、三体が突っ込んで来た。

 しかし、こいつはただの(まだら)模様だ。あの村の洞窟で斃した迷彩柄豹もどきではない。模様が違うし気配も消していない。

 

 一歩踏み込んで、わずかに左に交わしながら右から払った剣は豹もどきの口の下に刃が滑っていく。喉を通り過ぎて、前足の所の付け根でざっくり斬れた。

 豹もどきが咆哮(ほうこう)

 剣を返しそのまま右に向かって真っ直ぐ突いた。心臓を貫いて、そいつは即死した。激しい流血と痙攣。

 

 他の二体は左右から前方に飛び込んできた。

 私の剣はまた∞軌道を描いて回った。

 二体の豹もどきは、両方顔の真後ろ、首の所に剣が回って動脈を斬り、ほぼ即死して四脚が痙攣を繰り返していた。

 

 ややリーチの長いこのミドルソードは、ブロードソードで斬る時の間合いよりやや離れた位置、狙ったやや手前から刃が入っていくために、その結果としてより深く斬り込んでいた。

 

 彼方此方で怒号が響く。

  

 王国の護衛兵が、ツォディッロを抑え込んだ。ツォディッロが気がついたのか、何か叫んでいる。

 

 二名の護衛兵は倒れたビスィドマーともう一人の所に駆けつけて、抑え込んだ。

 それぞれ、引きずる様にして、運ばれていった。

 

 剣を三度大きく振って血糊を飛ばし、剣を豹もどき魔獣の体に擦りつけて脂を拭いた。そして背中の鞘に仕舞う。

 

 静かに目を閉じて両手を合わせる。

 合掌。

 「南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏。南無阿弥陀仏」

 短くお経を唱える。

 

 ……

 

 そこにギングリッチ教官が連れてきた、銅階級と鉄階級の隊員がやってきた。

 やってきた二〇数人ほどの隊員が坑道入口の状況を見るや、固まった。

 魔獣の死体が山のように散乱していたからだ。全員無言だ。

 彼らが何か、見てはいけない物を見てしまったという顔をしながら私を凝視している。

 

 誰かが呟いた。

 「こ、これは……。これは、もう、人じゃねぇ……。人の仕業なんかじゃねぇ……」

 

 もう一人の隊員が、多量の返り血を浴びて、屍の横に立つ私をみて呟いた。

 

 「マ…マニュヨルの戦神(いくさがみ)……、テッセン……」

 

 ───────────────────────────

 ※マニュヨルの戦神テッセンとはクルベル族に古くから伝わる、山の麓に棲む神の一柱(ひとはしら)である。

 その身の丈は、およそ四ミルス(※※)程しかなく、赤い髪。そして常に赤い服を(まと)ったと伝う。

 その戦神は身の丈ほどの剣を持ち、立ち塞がる敵を全て斬り払ったと云う。

 ※※ミルスはクルベル族の長さ単位の一つ。一ミルスは約二九センチ

   つまり四ミルスは約一一六センチほどである

 ───────────────────────────

 

 私のツナギ服は魔獣たちの血を大量に浴びて鮮血の赤に染まっていた。

 

 誰かが、何か言ってるが、聞き取れなかった。共通民衆語じゃない。取り敢えず、こういう痛い視線は、もう慣れっこだ。

 

 ……

 

 今回の魔獣は、明らかに今まで私が戦ってきた魔獣たちとは違う。

 見た事のないヤツラばかりとかいう意味だけでは無い。

 

 それは、あのスッファからキッファの間で出会った、魔獣たちの攻撃を思い返せば判る事だ。

 彼らの持っている特殊な攻撃は、当たればそれでもうお(しま)いという、必殺の技だ。

 あのマースマエレファッスだってそうだ。あの粉を吸い込んだのなら、魔獣だろうが人だろうが、等しく同じ結果になるだろう。

 あの人外たちですら、あの時に手を出してこなかった。マースマエレファッスで死ねばそれで良し。下手に近づいて巻き添えは御免だという事だろう。

 

 イグステラの電撃は、あの人外の隊長らしき男ですら、躱しきれていない。

 そして、魔獣のコンビネーション攻撃で命を落とした。

 

 私があの男の右腕を斬っていなければ、男は生き残って狭間の空間に逃げ延びた可能性は否定しないが。しかし、それでも電撃は食らって倒れたのだからダメージゼロではあるまい……。

 

 だが。

 今回の魔獣たちは私の血の匂いに酔っていたとか、そういう訳ではない。

 私よりも、この坑道の奥を目指したのだから。

 操られていたのはもう間違いない。そして操られている魔獣たちは、自らが持つ必殺の技を自由には出せないという事だな。なにかあるのだろう。

 

 それならば、多少動きは早いが、ただそれだけの獣という事だ。

 この重力下では、ここの住人にはあれでも十分早いのだろうけれど、優遇された体の私からしたら然程(さほど)の事も無い。魔獣を魔獣足らしめているのは、あの必殺技があるからなのだ。

 もっとも、それを普通の人が見分けがつくかと言えば、疑わしい。

 私の場合は、背中の違和感とかぞくぞくする感覚とか(うず)きとかが、魔獣の気配を教えてくれるだけで、余人には不可能であるらしい。

 スラン隊長だったか、あの白金の二人ですら、その能力は持っていないと言っていた。

 

 

 そして、この剣だ。恐るべき切れ味だった。

 当てた瞬間には、もう斬れている。そして何を斬っていても、ほとんど抵抗すら無い。

 こんな切れ味は、私が叩いて作ったデカい鉄剣並だが、あの鉄剣より速度が出る分、こちらの切れ味は、あのデカい鉄剣を(しの)いでいる。

 恐ろしい剣だ。

 

 ……

 

 私は魔獣の死体を引っぱり、入り口が通れるように黙々と作業した。

 

 適当に通れるようにしたら、支部長がいる方に向かう。

 報告をしないといけないのだ。

 

 屋根のある場所に、お偉いさんが四人、来た。紅色の服に肩についているモールが派手な人が二名。商業ギルド監査官の服に肩章が付き、腕章も違うのをしている人が一名。後の一名は後で知ったが、態々(わざわざ)ベルベラディから来た鉱山ギルドマスターだったらしい。

 

 そして、そこにヨニアクルス支部長もいた。セルゲイ鉱山監督もいる。

 護衛の衛兵一六人となんか軍服っぽい制服の人、たしか特務武官だったな。その役職らしい人が八人、ついて来ていた。問題が大きい事を物語る証左だった。

 衛兵と制服組があの偉そうな人の連れて来た部下というか、護衛と手下か。多いな。

 

 そこに、あの老人が。あのエイル村で虫除けの渦巻きを作っていた(じい)さんだ。

 お偉いさんの一人は彼の事を「リルドランケン殿」と呼んだ。

 いくら歳を食ってるとはいえ、敬称付きという事は、あの爺さん平民ではないな。

 もし、あれが名前では無く苗字なら、間違いなく平民じゃない。

 そしてあのお偉いさんは、老人の事をかなり知っている口ぶりだ。

 

 お偉い方々が居て話し込んでいるせいで、支部長に報告が出来無い。

 後回しだな。

 

 ……

 

 監査官はもう(ほとん)ど調べは終わっていたのだ。この鉱山を暫く前から内偵していたのだろう。

 あの爺さんが鉱山の内偵者(スパイ)だったのか。

 頻繁(ひんぱん)に鉱山に行く名目で、あの渦巻きお香を作っていたのか。

 

 今回の調査と補佐、いや調査の護衛とは、何だったんだ。

 それと魔獣暴走(スタンピード)自体は予想されていたのか。

 

 ……

 私は、あの時倒した二人が寝かされている場所へ向かった。

 

 ツォディッロは、地面の上に寝かされて護衛兵が取り押さえている。

 私は彼の膝の裏、(ひかがみ)に当たったダガーを抜いた。もう、凄い流血。鉱山常駐の治療師が来ていて、止血をしていった。

 もう治っても、まともに歩けないだろう。この男、膝の裏の(けん)が完全に切れた。

 それに、この男はたぶん死罪は免れない。

 

 護衛兵が二人がかりで暴れる彼を抑え込んでいる。

 「私を、倒そうとするなら、もっと、きっちり、連携させる、事ね。それでも、三体や五体くらいなら、私の、敵じゃないわ」

 勿論ハッタリだ。特殊攻撃で二体がまったく同時の連携して来たあの時、一体には深手は追わせたが逃げられている。

 「てめぇえぇぇ。あの数の魔獣を斃すとか、おかしいだろ。ちびの化け物め!」

 男が吠える。

 

 「あなたの、協力者は、どこに居るの」

 「しらねぇよ」

 男がそっぽを向いた。

 

 横にいた護衛兵の女性がそっけなく言った。

 「そう。残念な事にその傷口が、また開くわね」

 彼女は微笑みながら遠慮なく、その傷口に人差し指を突っ込んだ。

 そして流血。

 

 ……これがどれくらい痛いか、私は知っている。

 

 元の世界で整形外科で治療を受けた時の事だ。

 麻酔無しで腕の治療を受けた。少し大きく、ピンポン球を半分に切ったくらいより少し大きい位まで膨れ上がって化膿した傷。それはやや深い傷口。

 傷ついてから時間がだいぶ経ってしまったせいで、膿んだ場所の外側も赤く腫れあがっていた。そこを触られた時の痛みもかなりだった。

 

 腕の途中という、簡単には部分麻酔が出来ない部位のために、麻酔無しの治療だった。正式に麻酔をするには、予備麻酔をしてからで、簡単ではないのだそうだ。

 麻酔の専門医が必要になるという。大袈裟(おおげさ)な話だと思ったが、事実大袈裟になるので、こういう傷は麻酔はしないで治療になるらしい。

 

 膿んだ傷口をナイフで切り裂いて、ガーゼを挟んだピンセットが差し込まれ、多量の膿みを取り除いていく時の激痛。ナイフとピンセットが肉に当たった時の痛み。

 それがどれほど痛かったか覚えている。

 

 ここは戦地の野戦病院なのかと思うような乱暴な治療だった。

 ハンカチを咥えて歯を食いしばって激痛に耐えたが、それは気を失いそうになる程の痛みだった。意地でも声を上げないで耐えたが、その時の私の顔色は真っ青を通り越えて土気色になっていたそうである。

 

 

 つづく

 

 マリーネこと大谷のやった、魔物の大量殺戮はギルドの銅階級の者たちを震えあがらせていた。

 大谷は魔獣をどかして通路を確保し、報告に行くがまだ簡単な報告すらできない。

 そこで、裏切り者への簡単な尋問が始まった。

 

 次回 魔獣と混乱2

 男の口を割らせるマリーネこと大谷と衛兵。

 その情報を報告に行くマリーネこと大谷だった。

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