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【完結】婚約破棄されそうな令嬢は知らないことだらけ  作者: 宇水涼麻
第九章 最終章 それぞれの門出
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9の2 あれから 3年目秋口 2

 これから、ゼファー様のエスコートで神殿まで参ります。控え室を出ると、使用人たちが左右に分かれて並び、わたくしたちが通る手前で頭を下げ、通ると直っていきます。さすがに、びっくりしました。


「祝いの気持ちと私たちの晴れ姿を使用人みんなに見せる趣旨もあるんだよ」

と、ゼファー様が、教えてくださいます。確かに、王子殿下邸の使用人たちもいらっしゃいました。これからもお世話になる方たちに見ていただけるのは、嬉しいことですわね。


 使用人の列を抜けるとその先はすぐに王宮から王城へ変わる扉です。

 わたくしたちは、王宮へ振り返ります。


「いってらっしゃいませ」

「「「「いってらっしゃいませ」」」」

執事長の言葉が合図のように声がかかりました。


「うん、いってくるよ」

「みなさま、お祝いのお気持ちとても嬉しいわ、ありがとうございます。いってまいりますわ」

 わたくしは感謝の気持ちを精一杯伝えました。


 執事二人が、左右に扉を開き、王城へと進みますと、こちらにも、左右に分かれた文官さんたちがいらっしゃいます。みな、わたくしたちが通る時には、頭を下げてくださいます。

 王城を、出る際にも、わたくしたちは、挨拶をしました。


 神殿の入り口までは、武官さんの道でした。神殿前広場には、沢山の国民の皆様が来てくださっています。階段の左右にも武官さんが、並んでいます。

 神殿の階段の下まで参りまして、階段の中腹まで上がります。わたくしのドレスは、階段を登る時こそ美しさが際立つそうで、今までメイドが持っていてくれた部分を離し、わたくしたちが一歩上がる度に、きれいに整えていきます。重いです。

 中腹の踊場まで来ると、振り返り、集まってくれた国民の皆様に手を振ります。また振り返り、階段の上段へと進みます。

 そのまま、神殿扉の前まで行きました。普段は開いている扉ですが、今日だけは閉まっています。


 神殿の扉の前には、背もたれのない椅子と、果実水を持ったメイドと、鏡や櫛、化粧道具を持ったメイドが待っていてくれました。


「妃殿下、よく頑張りましたわ」

と、メイド長と思われる方が声をかけてくださいました。まだ妃殿下ではありませんわという言葉は紡ぐ元気はございませんでした。


 化粧直しが終わると、ゼファー様のエスコートで立ち上がる。


「アリス、こんなとき私は無力だね」

「ゼファー様、これからの幸せのお話をしてくださいませ。そのために頑張ろうって、思えますもの」


「クスクス。そうか。アリス、これからも一緒に歩いていこう」

「はいっ、そうですわね、ゼファー様」

 

 神殿の扉が神官によって、左右に開かれると、わたくしたちは、前へ進む。なんと、神殿の中には、王家と王家筋、我が公爵家、あとは数名のお偉方と思われる人しかいらっしゃらないのてす。


 神官長の前まで進むと、厳かに始まり、誓いの口づけまで、厳かに終わりました。

 親族たちの拍手に送られ、神殿の扉を出ます。



「妃殿下が階段を下りる際は、ドレスを引こうとして、前のめりに成りがちです。お気をつけてくださいませ。

王子殿下は、万が一にも妃殿下が落ちませんように、しっかりと支えてくださいませ」

 メイド長から適切なアドバイスをいただきます。

 帰りは階段中腹の踊場で、再び手を降り、階段の下まで参ります。

 あとは王城で待つ文官さんが待っています。

「王城勤めの者全員は並べないから、下級文官は、抽選で並ぶ権利を得るそうだ。僕たちの行きと帰りでは、文官たちの顔ぶれが違うそうだよ。僕たちには、まだわからないね」

二人で目を合わせ、クスリと笑いました。


 文官さんたちに挨拶をして、王宮へと戻れば、

「おかえりなさいませ」

「「「「おかえりなさいませ」」」」

と迎えていただき、控え室に着くと、王家のみなさんと、レンバーグ公爵家のみんなが待っていてくださいました。

 

 神殿と王城を結ぶ通路はしっかりとありまして、みなさんは、そちらを通って戻ってきております。国王陛下が神殿にいらっしゃる度に、外へ行かれるわけには、警備の上でも、まいりませんから、ね。


 メイドがすぐさま、背もたれのない椅子を持ってきてくださり、国王陛下が「早く座りなさい。大変だったろう」とおっしゃってくださったので、遠慮なく座らせていただきました。足がこんなにガクガクとしたのは、幼き頃、3時間ほどダンスレッスンをした以来でございましょうか。


 両家のみなさんから、労いと改めて、お祝いのお言葉をいただきました。両家のみなさんとわたくしたちとで、昼食をとるということとなり、わたくしたちは、着替えをいたしまして、食堂室にて、昼食となりました。

 和やかに両家がよきに繋がる昼食会でしたわ。


〰️ 〰️ 〰️


 叙勲式では、ゼファー様は王家の式典用の黒を基調とした燕尾服、わたくしも今だけは王家ですので王家の式典用のクリーム色のドレスを纏いました。


「わたくしが王家であるのは、この式典だけですのに、ドレスはもったいないですわね」

とゼファー様に申しますと、説明してくださいました。

 わたくしたち夫婦は、時と場合により、王家だったり、公爵家だったりするそうです。他国へ国王陛下の名代となることもあるとか。ですから、このドレスも着る機会があるだろうということです。


「王家に都合よく使われる立場ってことかな?」

と、苦笑いしていらっしゃいましたが、ゼファー様が、王太子であるお兄様をお支えする立場にあることに、やる気と喜びをお持ちであることを、わたくしは知っておりますの。


「二人で、王家を支えて参りましょうね」

と言うと、ゼファー様は、それはそれは嬉しそうに笑ってくださいましたの。


 式典でのゼファー様は、堂々となさり、本当に素敵でしたわ。

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