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7の2 転生者なのかな?

「ねぇ、僕に会いたいって言ったのは君かい?」

正面に座っている男の子が、オーリオダムに話かけた。


「はい。たぶん、そうです。あなたのおかおの色は、みたことないです。だから、あなたは、いこくの人ですよね?」


「うん、そうだよ。だから会いたかったの?」


「いえ、これの」

 オーリオダムは、ポケットからえんぴつを取り出した。

「えんぴつのことを聞きたくて」


「えっ!もしかして、お前、転生者?」

 急に態度が変わった異国の人に、目をしばたかせる。


「あ、ごめんごめん。わかんないか。えんぴつが面白かっただ………」


「いえ、わかります……」


「まじで??じゃあ、転生者じゃん!」


「たぶん、あの…あなた??……」


「あ、悪い悪い、オレ、グレボウナ・イロフスキー。ナタロフ帝国の侯爵家だ。11歳!」


「僕は、サンドエク伯爵が次男オーリオダムです。9歳です」


「OK!じゃあ、オーリーって呼ぶな。オレは、グレーでいいよ」


「はい、ありがとうございます」


「んー、その話し方なんとかなんない?」


「……すぐにはむずかいしいです……」


「そっか、わかった。それでさ、オーリーは、これ、わかる?」


 ポケットから、紙とえんぴつを取り出し、何か書いていく。

「あ、かけ算九九」


「なんだっ!やっぱり転生者じゃん」


「あ、あの、」


「あ、もしかして、隠したいのか?

ま、そうだよな。オレも誰にも言ってないし。オーリーが仲間かと思って言っちゃたけど」


「あ、やっぱり、秘密なことなんですね………。

いろいろ思い出したのは、2日前なんです。このえんぴつを触ったら、急に思い出したんです」


「そっか、じゃあ、パニクるよな」


 それから、二人は自分のことを話した。


 グレーは、三歳で記憶がすべて戻り、人格も精神年齢も転生前のものになった。本人曰くしばらくは25歳だそうだ。


「25歳でやる3歳児は、まじでツラかった。オレのイメージでは、25歳までは歳をとらないって感じだな。だって、3歳を5回繰り返しても15歳の能力にはなんないだろ?」


 オーリオダムは、前世の生活、人間関係、死因など、精神的に成長するようなことは一切覚えていない。人間一人分の知識を引き出せるだけ。『性能の悪い辞書を頭の中に持っているという感じだ』と伝えた。


「ふーん、かけ算九九がわかるってことは、小三以上ってことだな。あれ?それって、9歳じゃんなぁ!ワーハッハッハ」

オーリオダムには何が面白いのかわからなかった。


「オレといろんなこと照らし合わせていけば、何歳くらいの知識かはそのうちわかるよ。まあ、わかんなくても問題ないし」


 そうやって、話しているとあっという間に時間になってしまった。


「オーリー、また来いよ」


「うん。父上に聞いてみるよ」


〰️ 〰️ 〰️


 次の週、また3人で登城した。あっという間に分かれた。


「オーリー、記憶が戻ってから勉強してみて、どうだった?」


「グレーがいうように、すごくスラスラわかるようになったよ。僕、どうしたらいいと思う?」


「何かしたいことある?」


 オーリオダムは東屋でお菓子を食べているエマローズを見つめた。

 この一週間、すごく頭が冴えて、勉強もなぜかスラスラわかるようになって、家庭教師や執事やメイドに聞いてみて、オーリオダムはわかってしまった、『僕はエマローズをお嫁さんにできないんだ』


「……」


「なんだ、オーリー、王女が好きなのか?」


「ちがうよっ!僕が、僕が好きなのは……」


「ふーん」

 ニヤニヤするグレー。


「一緒に来る女の子が好きなんだ」


「っ!で……でも……結婚できないから」


「なんで?どっちも上位貴族だろ?」


 オーリオダムは、グレボウナに話した。自分がお金も領地もない伯爵家であること。次男だから、何もないこと。きっと、エマローズは侯爵様の長女だから、裕福な上位貴族へ嫁ぐのだということ。


 実際には、ナハナージュ家には、お金も領地も爵位もあるので、そのような問題はない。ナハナージュ侯爵は、オーリオダムを大変気に入っており、それらの一部をオーリオダムに与え、エマローズを嫁にと考えていた。だからこそ、遊びに来ることも喜んで迎えたし、エマローズと一緒に家庭教師にもつかせ、執事に剣も教えさせた。だが、その侯爵の考えを、オーリオダムは知らなかった。


「なんだっ!簡単じゃん!オーリーが金持ちになればいいんだろ?」


「うちには、魔力しかないの」


「え、オーリーって、魔力すごいのかっ?」


「たぶん、ね。まだ魔法は少ししか習ってないからわかんないけど、父上は、僕らのこと『さすがに、サンドエク家だ』って言ってたから」


「魔法家系か。いいな。オレ、魔法は普通だから、魔石の実験とかしてると、すぐ倒れちゃうんだよね」


「倒れる?グレーって、どんなムチャしてるの?」


「いろんなことやってみたくて、さ」


 魔力は、世界中の人が持っているが、世界中で、魔力低下が進んでいるようだ。実際、平民なら、生活魔法ができれば充分だし、貴族などは平民と比べ魔力が豊富なくせに使う機会がない。

 戦争もなくなって久しく、魔獣もドラゴンやらオーガやらは、すでに絵本の話だ。大型魔獣でも、ヒグマの2倍程度か。そうなると、大型の攻撃魔法も、完璧な防御魔法も必要なくなってくる。

 こうした平和世界が、魔力低下を引き起こしたと、考えられる。

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