5の6 作戦17 新しい仲間を得る
夏休みが明けると、生徒会の世代交代だ。
「本来はイリサス様たちが指名するのですが、この期に及んでやらせたいわけが、ございませんわよね」
ヴィオリアさんとエマローズさんが笑いながら頷く。
「上級学年からの指名は、ここにいる3人にいたします。中級学年からの指名は、あなたたちがなさいませ」
「僕たちが決めていいなら、決まっています。ドナテル・シャーワントです」
「やはりそうですわよね。わたくしも何度かお話してますが、聡明な方ですわ」
イリサスさんの弟だ。イメルダリアさんはもちろん面識がある。
「じゃあ、みんなの意見は一緒ということで、いいかな」
新しい仲間が決まった。
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父上から、『次の週末に、ご令嬢たちと友達と、我が邸で茶会の約束をしてきなさい』という手紙が来た。
週末、5人と約束をして、ディークと一緒に邸へ戻った。
「ヨアン、それとディークも、執務室に来なさい」
父上に呼ばれ、二人で向かった。
「お呼びでしょうか」
「明日の茶会は、問題ないか?」
「こちらは、問題ありませんが、父上のお考えがわかりません」
「うむ、明日の茶会に、客人が見える。お前たちが、陛下の報告書に書いたことを教えてあげなさい。
私は明日も登城せねばならないから、客人のお相手はできない」
「客人とは、どなたですか?」
「政務局の宰相補佐官であるゼファー殿だ。ゼファー殿は、アリーシャを娶りたいと考えていらっしゃる」
「は?はぁ…?父上はお認めになったのですか?」
「アリーシャ次第だ。だが、殿下との婚約をなくす鍵にはなりそうだ。話を聞いてやれ。アリーシャの元までは行かせてやっていい。あとは、アリーシャに任せる。
だが、アリーシャに圧力をかけるつもりも、説得するつもりもない。だからこそ、ゼファー殿の好きにさせてやれ。
それと、その席にアリーシャ専属のメイドをつかせ、話を聞かせろ」
「わかりました」
どんな人がくるのだろう。
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客人は、僕たちより、頭1つほど背の高い美丈夫だった。僕たちは、まだ背は伸びるけどねっ!!
それぞれ、挨拶と自己紹介を済ますと、それまでの王子たちの状況と彼女たちがどうするつもりなのかを話した。
王子たちの状況はひどいものと思ったらしく、
「嘘だろう??」
と小さな声で呟いていた。たぶん、となりの僕にしか聞こえてない。
ゼファー殿は、姉上とアナファルト王子の逢瀬の茶会について話した。なんと、茶会は、ゼファー殿が代理をしていた。更に、公爵邸での逢瀬の断りの贈り物も代理。大切な日の贈り物もゼファー殿が代理だった。ご令嬢たちは、小さな悲鳴を上げていた。
更に、驚いたことに、ゼファー殿は、ゼファーライト・タニャード殿下、タニャード王国第2王子であった。さすがのディークも口を開けていた。
そして、ゼファー殿は、姉上を妃として求める気持ちであると言った。ご令嬢たちは、先ほどとは違う小さな悲鳴を上げていた。なんと器用なことか。
僕たちのゼファー殿への感情は概ね好感を持ったと思う。僕は信じようと思えた。
しかし、ゼファー殿は、まだ姉上を口説けないそうだ。王族であるがゆえに、根回しが必要だと。ゼファー殿の準備ができるまで、婚約解消の話は待つこととなった。
「恋人としてなら、すぐにでも口説けるけど、私はアリーシャ嬢を生涯の伴侶に望んでいるんだ」
ご令嬢たちから、黄色い悲鳴が上がった。ちょっと悔しかった。僕だって、結婚をしたくて口説いているのになぁ。
父上には、僕から話をすることにした。王子と姉上の話が周りに知らされていないのに、ゼファー殿が父上に何度も会いにいくのはおかしいだろう。
王子にも姉上にも秘密で、今後この4組の婚約についての話を進めているので、逢瀬の茶会代理と贈り物代理は続けてもらうことになった。
ゼファー殿は、政務が忙しいらしく、残念そうな顔で、王城へ帰っていった。
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ゼファー殿が帰るのを待っていたかのようにディークが話を始めた。
「客人のことをどこまで信じられるか不明だったから、話さなかったんだけど、残念な話があるんだ」
「…そっか……。聞くよ」
「王子はあの女と王宮で不貞をしている」
「「「「「なっ!」」」」」
「そんなこと、可能なのかよっ!」
「だよね。お前でも、そう思うよね。なのに、なぜかできたんだ」
「父上には?」
「話したよ。たぶん王宮では、犯人探ししてると思う。いくら王子が味方でも、あの女一人でできることじゃない」
「じゃあ、姉上と王子は婚約解消できるね」
「いつかは、ね。王子だけの問題じゃない。王宮の問題になってしまった。時間はかかるだろう」
王子の不貞よりも、警備の問題で、時間がかかりそうなことが残念だった。ゼファーライト殿下と待つ約束はしたが、イメルダリアさんたちのように、確定して、発表するのを待つ方が、家族としては、心休まる。
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僕たちは、これ以上何もできないままでいた。それでも、時間は過ぎていき、新しい仲間ドナテル・シャーワントを迎え入れ、生徒会の世代交代、引き継ぎを済ませ、イメルダリアさんたちは生徒会室へ来なくなった。
そして、新しい生徒会としての初仕事、文化講演会を、無事に成功させた。
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