頼み
「マギー相談があるんだが」
ヘンリーは演習から帰ってくるなりマギーにそう声をかけた。
「屋根裏部屋の望遠鏡を見せてやりたい奴がいるんだけど、いいかな? 週末の休みの日。カイン先生には許可とってある」
「あっ、そうなんだ……まぁいいわ」
マギーは一瞬考えこんだそぶりを見せた。
「ん? 都合が悪いのか」
「そうじゃないわ」
「……?」
「いいわよ。私とジャンは町に買い物に行く予定だからどうぞご遠慮なく」
「そうか」
*
「ちょっといいかしら」
マギーは、エズラの部屋のドアをノックした。
「どうぞ」
エズラは演習から帰ってきて疲れたのかベッドに横になっていた。
マギーが部屋に入るなり、起き上がった。
「なに?」
「あのね、これ見て欲しいんだけど……」
マギーはエリザベスの日誌を広げ、ノートにつけられていた謎の数字について説明した。
「どう思う?」
彼に意見を求めた。
それを見てすぐにエズラは答えた。
「これ、暗号だよ」
マギーが書きだしていた数字を見てエズラが言った。
「暗号?」
「たとえば、この『6-12-31』は6ページの12行めの31番目の文字を指してる」
「あ~なるほどね」
エズラは笑った。
「エリザベスって人はよっぽど暇だったのかな?」
「さぁ……。でも、日誌読んでて思ったけど、エリザベスはここに一人で住んでたっぽいのよね。それなら時間有り余ってこんなことしててもおかしくないかも」
エズラはこのエリザベスの一人遊びに興味を持った。
「この縁飾りの数字を全部書き出してくれたんだ」
「子供たちがね、面白がって数字を探してくれたの」
「ふ~ん」
数字のセットは16もあった。
(16文字か……。メッセージにしては少ないような……?)
「これで全部よ。1ページ目から順番に並べてあるの」
「……俺、時間あるから言葉探ししてやろうか?」
「わ~い、助かる♪ 何かわかったら教えて」
「了解」
「良かった。今から王宮の食料庫に行ってこなくちゃいけないから」
ちゃっかりもののマギーは王宮の食料係と親しくなり、安く食材を仕入れていた。
カインを仲立ちに王宮の許可も得ていた。
思い出したようにマギーが言った。
「そうそうエズラに頼みがあるのよ」
「ん?」
「今度の休み予定ある?」
「ん~ないよ」
「じゃあ、買い物に付き合ってよ」
「買い物? なんで?」
「ジャンと町に買い物に行きたいってカイン先生に言ったら、エズラかヘンリーが一緒ならいいって言うの。ヘンリーは予定があるみたいなの」
「……」
「ねぇ、カイン先生、ジャンに過保護じゃない? 私そんなこと言われたことないのに。それに、ローブは着ていくなって言うの」
「まぁ……例の件があったから、警戒してるんじゃないの」
「例の件?」
「結局、誰が女魔導士がいるって噂を流したかわからないし」
「……そっか」
「いいよ、買い物付き合うよ」
「ありがと、エズラ♪」




