見せかけ
よく晴れた日、カインの館の庭にたくさんの洗濯物がはためいていた。
「……マギー……これは何だ?」
それを見たカインはすぐにマギーを呼び出した。
「何って、魔導士じゃない女性の存在をアピールしてるの。こんなに堂々と女性ものの衣類を干してたら、魔導士の館に女性がいるって騒がないでしょ?」
「……わかったから、下着くらいは男どもの目に見えないところに干してくれないか。品位が……」
「あら、気づいたの先生? よく見てるわね」
「……」
魔導士の館では、ローブなどの衣類はマギーやジャンが洗濯して、館裏の干し場で乾かすのが基本だった。
下着は各自が洗濯して室内干しをしていた。
「そうそう、先生。キースとジャンがもうすぐ剣の旅でしたっけ? それに出発するでしょ? それに必要なものを今度、ジャンと一緒に町に買いに行きたいんですけど。週末の休みにでも」
*
『クライドが運ばれました』
わざわざヘンリーに伝えに来た者がいた。
「またぶっ倒れたんだって?」
そして、救護室にヘンリーがクライドを見舞いに来た。
「……」
「何か言えよ」
ベッドに寝かされていたクライドはチラッとヘンリーの方を見たが、再び天井に視線を移した。
「……現実逃避してるんです」
「……」
「情けなくて……なんでこんなにできないんだろうって……」
かなりへこんでいるのがわかった。
「だから、お前のいるところじゃないんだよ、ここは」
「……」
「そんなフワフワした性格でよく志願したな」
「……自分でもわかってるんです。ヘンリーのような魔導士や王直属の騎士団と違って、無試験で誰でも受け入れてくれる一般兵は格差があって、僕はその中でも落ちこぼれだって」
「……」
「僕……人付き合いが苦手だし、実践的なこと全般が苦手です。人として何か欠落してるものがあるのかと……」
「おいおい、なんでそこまで落ち込んでるんだよ。俺が言いたいのは、お前に向いてることが他にあるだろってことだ」
「具体的に何ですか?」
「……お前、聖職者になるんだろ?」
「……」
「いっぱい勉強して、人の心を救ってやれよ」
「……自信がなくなってきました。こんな僕がなんで……。偉そうなこと言えないって」
「……(相当これは……)」
ヘンリーはしばし思案してひらめいた。
「お前、確か天文に興味あるんだよな?」
「えっ……」




