気になる……
「ふわぁ……(眠い)」
マギーは古代語の授業の休憩中についあくびをしてしまった。
夕べ、屋根裏部屋のエリザベスの望遠鏡でエズラやヘンリー、ジャンたちと天体観測を行っていた。
誰一人として望遠鏡の扱いに詳しくなかったので時間をけっこうくってしまった。
最終的にカインに助けを求め、なんとか惑星の輪まで見ることができた。
屋根裏部屋の荷物は他にも帽子やローブ、杖や靴、鞄などがあり、弟子たちは意味ありげなそれらの荷物にどんな歴史があるのか想像を膨らませた。
ダンは館を出るときに記念の品を置いていくのを忘れていたので、「そのうち何か持ってくるよ」とあてのないことを言っていた。
「先生、何読んでるの?」
子供たちがマギーの元に集まってきた。
マギーは休憩中に読もうとエリザベスの日誌を持ってきていた。
「これはね……ある魔女の本よ!」
「クスクスクス……」
子どもたちは面白がった。
「ねぇ、ねぇ先生。なんでここに番号があるの?」
「えっ?」
一人の子供の言葉にマギーは「あっ」と思った。
日誌の縁飾りだと思っていたデザインをよく見ると古代語の数字を模していた。
「だけど、順番じゃないね」
確かに、1ページ目には古代語で「6-12-31」などの数字が隠されていた。
(何だろう、これ……?)
*
「あの……こんなこと言うと失礼かもしれないんですけど」
郊外での演習が終わりに近づいてきたある日、ヘンリーは帰りがけにクライドから声をかけられた。
「なんだ?」
「これからも、その……会えれば、と思って」
「……」
「ヘンリーが嫌でなければ」
「それって告白?」
「あっ……そうじゃなくて。友人として」
「……」
「やっぱりダメですか?」
「……お前、俺をなんだと思ってる?」
「えっ……」
「お前のことタイプだって言ってるだろ」
「……」
「そんな俺と友人関係って怖くないのかよ」
「僕は……人と変わってるので」
「お前が聖職者を目指してて、それで禁欲的なのはわかってる」
「……」
「男だけじゃなく、女にもあんまり興味ないだろ?」
「……ヘンリーは勘違いしてる」
「えっ……」
「そんな高尚なものじゃない。快楽のベクトルが違うだけだ。僕は学ぶことに歓びを感じる」
「……」
「……でも、神にとって人間の快楽なんて取るに足らないものだ。僕は快楽の先にあるものが知りたい」
「その前に快楽を知った方がいいんじゃないの? お前の定義で言うと」
「……」
「俺が相手になってやってもいいけど」
そう言って、ヘンリーは軽くクライドのお尻をタッチした。
「ちょっとやめてください!」
「ハハハハハ」
ヘンリーが笑うのを見てクライドは怒りだした。
「なんで僕をからかうんです? そんなにおかしいこと言ってます?」
「怒るとますます可愛いな」
「僕本気で言ってるんです。なんで茶化すんですか」
クライドが傷ついているように見えたヘンリーは思わず言ってしまった。
「……本来なら、お前みたいなマジメ人間に手を出さないんだが……」
「……」
「近づいちゃいけないってわかってても惹かれることがある……。お前は中身もキレイだな……汚したくない」
「……」




