失態
その日、カインはティモシー王子の付き添いで留守だった。
クリスは夜遅くになってカインからの伝言を思い出し、エズラとヘンリーに伝えるために彼らの部屋を訪れることにした。
ヘンリーはすでに酔っぱらっていたので明日伝えることにした。
クリスはエズラの部屋のドアをノックした。
「エズラ……カイン先生が……」
クリスはエズラの部屋をノックしたのだが、扉がきちんと閉まっていなかったのか、そのまま開いてしまった。
「……ちょっ、やだ……誰なの、エズラ?」
「……!!……」
エズラと見知らぬ女性がベッドにいた。二人は裸で抱き合っていた……ように見えた。
「うわっ! ジャン!?」
エズラは慌ててベッド脇にかけていたローブをはおった。
女性はそのままベッドにいて、シーツを首元まで隠していた。
「いやぁ……」
顔を真っ赤にしてエズラは扉を閉めて出てきた。
「……な、何?」
「……」
クリスは瞬間ゾワッとした。
エズラのオーラから普段感じたことのないものが発せられていた。
「あっ、ううん。なんでもない」
怖いと思った。
「ジャン……あの……」
「ごめんなさい!」
クリスは走るように自室に帰った。
「……」
エズラは頭を抱えた。
「……やっちまった」
*
エズラと彼女の✖✖シーンを目撃してショックを受けたクリスは、それからエズラを避けるようになった。
その二人のただならぬ様子にヘンリーやマギーも気づいた。
「エズラ、ジャンとケンカでもしたの?」
「俺、なんかジャンに嫌われちゃったみたい」
「えっ、何があったのよ」
エズラは言いづらそうに例の一件をマギーたちに話した。
「そりゃ、キスシーンなんか見たくないわよ。エズラも男なんだなぁって思ったら怖いわよ」
エズラがオブラートに包みすぎて、例の現場はただのキスシーンになっていた。
「怖いって……ショックだな」
キスだけで怖がられるなら、あのシーンは……刺激強すぎたか。
エズラは猛烈に後悔した。




