館風呂
「疲れたろう。ゆっくり休むといい」
カインがそう言い、ヘンリーとともに魔導士の館の前で出迎えてくれた。
エズラは荷物とお土産を持ってクリスに続いて中に入った。
「そうそう、ジャンがびっくりするものがあるんだ」
ヘンリーはそう言ってクリスを台所奥まで誘導した。
「けっこう大変だったぜ。ダン先生凄いな」と言いながら。
「見よ! これぞ魔導士の館風呂だ!」
台所横の物置部屋だった扉を開けると、中は浴室に改造されていた。
「えっ……」
「すごいだろ。これで俺たちも快適生活ができるようになった。ジャンとエズラが到着するまでに俺が魔法で水を満たしたんだ」
ヘンリーが自慢げに語った。
「カイン先生とヘンリーと三人で改装したんだ。浴槽も作った。小さい小窓もあそこに」
エズラに言われてクリスも気づいた。
外の景色が少し見えた。
「すごいね。わぁ……」
クリスの喜びようにエズラとヘンリーは満足した。
「とりあえず入ってみたら?」
「えっ、でも……」
「いいから、いいから」
ヘンリーに背中を押されてクリスはとりあえず中へ入ったが、すぐに出てきた。
「水なんだけど……」
「あっ……」
結局、エズラやヘンリーでは時間がかかるということで、カインが水をお湯に変えてくれた。
「あの……初めに先生が入ってくれませんか?」
クリスは自分が一番年下なので、それが妥当だと思った。
「……わかった」
カインは弟子たちの気持ちが嬉しかった。
「……はぁ」
カインは風呂にゆっくりつかるのは何年ぶりだろう、と思った。
普段はシャワーくらいだ。
カラカラカラ……
「……?……」
カインが風呂に入ってると小窓からマギーが覗いてきた。
「やだ! 先生入ってたの? クリスかと思った」
「ばか! のぞくな!」
「残念ながら、くもってて、見えませ~ん」
「じゃあ、なんで私だとわかった?」
「だって、銀髪だもの。……ところで、お背中でも流しましょうか?」
カラカラカラ……
小窓はカインによって閉められた。
「いや~ん、カイン先生のケチ!」
「……」




