驚き
クリスを見舞った後、城に帰ったキースは魔導士カインの訪問を受けた。
「魔導士の修行……ですか?」
「ああ。騎士団と並行して、ときどき宿舎から私の館に通ってきて修行をするんだ」
「なぜ俺が?」
「君には立派な魔導士になれる素質がある」
キースはしばらく考えた。
「……そしたら、クリスを守れますか?」
「ああ……」
「なら、受けます、その修行」
「わかった。騎士団には連絡しておく」
カインはキースに、クリスが心から信頼している魔導士が傍にいるのは強大な守護になる、と言った。
ダンからの依頼だというのは伝えなかった。
感応魔法どうこういうのは二人の若者の問題であって、大人たちの勝手な思惑で無理強いすることではないと思っていた。
*
「やった! カイン先生、見て!」
「騒々しいな、何事だマギー……」
そう言ってマギーを見たカインは言葉を失った。
館のフカフカの長椅子に座ったマギーの手には、鍵の開いた本が……。
「とうとう開いたわ。他の本は無理だったけど、この1冊だけ開いたの!」
「まさか……」
カインは信じられない思いでマギーの開いた魔導書を手にした。
その瞬間、カインは笑った。
「しかし、君にはこの本は読めないだろ?」
魔導書の表紙には『古代語辞典』と書いてあった。
マギーは悔しそうに本の中身を覗いた。
そしてニヤッと笑った。
「あら、先生。申し訳ないけど、これくらい読めるわ」
「何言って……」
「ΛΓΦΨΣδζλ……」
「……」
「私、これでも没落貴族の娘ですの。家は代々、学者をしていました。古代語は父が得意で小さい頃から習ってました」




