キースのお見舞い
「調子どう?」
キースはときどきダンの家に寄り、クリスを見舞っていた。
「大丈夫だよ」
クリスは起きているときもあれば寝ているときもあった。
今日は居間に通された。
ダン夫妻は挨拶を終えると気をつかってダンの書斎に退散した。
「お茶入れるね」
「あっ、ありがとう」
キースはカインの計らいによって休暇をもらい、その間、実家に戻っていた。
「みんな大きくなっててびっくりしたよ。キャロルは、もうなんかしゃべってた」
「アハハハ。兄弟が多いからだろうね」
「うん……」
ヘラの花柄のワンピースを着ているクリスは儚げに見えた。
「俺は城に戻るけど、お前はゆっくり体を休めて……」
キースがしばらく無言になったのでクリスは気になった。
(……キース?)
「やっぱりクリスも城に戻るのか?」
「あっ、うん」
「そうか……」
クリスはどこからどう見ても女の子だった。
でも城へ戻ればまたあの少年服を着ることになる。
正直、戻って欲しくなかった。
が、それは言わなかった。
「手首のアザはどうなった?」
そう聞くキースにクリスはわざと明るく振舞った。
「うん、薄くなってる」
キースはクリスの左手首のアザはそのうち消えるだろうと思っていた。
「そうか」
クリスはキースに「見せて」と言われたらどうしょうと思ってドキドキした。
「ごめん、お茶足すね」
だから話題を変えた。
「あ、うん」
クリスは人の目が気になったので、なるべく手首が隠れる袖の長い服を着るようになっていた。
「また、遠征とかあるの?」
そうクリスに聞かれてキースは首をかしげた。
「どうかな。今のところ聞いてない」
「そう。良かった」
心底ホッとした。
実戦を体験してから、キースのことが心配で仕方なかった。
「あまり、無理しないでね」
「……」
キースが手を伸ばしたのでクリスはドキッとした。
「髪、伸びたね」
ポンポンと頭を軽く触られた。
「女の子みたいに見える?」
(城に戻るまでにまた短く切らなきゃ)と思った。
キースはため息をついた。
「俺にとってはいつでもクリスは女の子なんだけどな」
「……」




