作戦
「キースが城の騎士団に入ること知ってる?」
母マリアが寝る前にクリスの部屋を訪れた。
「そしたら彼と会うことがなくなるわ。だから考えたの。城に仕えてる魔導士の話をしたことがあったでしょ?」
「母さんが父さんと会う前にそうだったんでしょ?」
「正確には違うわ。魔導士は基本的に男だけ。私は魔導士として修業もしたけど、結局、巫女として召し抱えられたの」
(巫女……)
「あなたは魔導士の修行を受けなさい。そして男装して城に仕えるの。そこでキースと会うの」
「母さんはあの池に行ったことがあるの?」
「城に仕えてたころね。あなたにも見えたのね池の主が」
クリスはうなずいた。
「とにかく昔、城に仕えてた知り合いの魔導士がいるからその人のところで修行できるようお願いしてみるわ。あなたには薬草の知識もあるから重宝がられると思うわよ」
「でも魔導士ってみんながなれるわけじゃないんでしょ?」
「そうよ。でもあなたには血筋があるわ」
「血筋?」
「私の家には代々魔導士の素質を持った者が生まれてるの。あなたにも当然あるわ。修行次第で開花すると思うわ」
「修行ってどんなこと」
「やってみればわかるわ。修行を積めばその場のエネルギーを使って相手を気絶させたり吹き飛ばしたりできるの。あと癒しもね」