黒
「アクセル様は別邸でお待ちです」
待ち合わせ場所には使いの男がいた。
彼は騎士たちに伝言を持ってきた、と告げた。
「こちらが子爵様からのメッセージとなっています」
使いの男は一番前にいた年長の騎士に封筒を渡した。
騎士が開封すると中からカードと一緒に黒い羽根のようなものが落ちた……。
それは風に吹かれて傍の大きな精霊岩に届き、フッと吸収されて煙のように消えてしまった。
(えっ……)
クリス以外の者には見えていないように感じた。
*
自分の館に戻ったカインは、本棚から黒い魔導書を取り出した。
帯となっている鍵に触れるとカチッと開いた。
そして一番後ろのページを開いて見た。
それは家系図で、両見開きになっていたページの右半分が切り取られていた。
始祖から五人の兄弟が生まれ、それが分かれていった。
残っている方のページの家系図の下の方にカインの名はあった。
(闇魔術が使えるということはこの原書を持っている一族……)
彼は傍系のどれかに今回の黒魔導士が当たるのではないかと思った。
始祖となる人たちがどうやって魔導書の原書を手に入れたのかはわからない。
もしかしたら、それまでの魔法の全てを体系化し本にまとめたのが彼らかもしれない。
その後、一族から黒魔導士が出たため、カインの先祖の誰かが古代魔法を使って原書に鍵をかけた。
おそらくそのときに家系図の右半分が切り取られたか。
捨てられたのか、持ち去られたのかはわからない。
だから、分かれてしまった方の一族がもし魔導書の原書を持っていても、それには鍵はついていないだろう。
(使い方は違うが同じ魔法、か……)




