同行
キースの甲冑姿は初めて見た。
(うわ……。強そう)
クリスは、キースを含む五人の騎士と共に城を出発し、依頼者と合流するために待ち合わせ場所を目指していた。
騎士たちは小柄な少年魔導士を見て、いくらか拍子抜けしていた。
「おいおい、大丈夫かよ。まだ子供じゃないのか」
「ヘンリーが来るのかと思ってた」
少々バカにされている気配を感じて、クリスは悔しい思いをした。
馬で移動していたので、途中、水辺があると休憩した。
「そのマスクは脱がないのか?」
そう聞いてきたのがキースだったので、クリスはドキリとした。
首を振るクリス。
「え~と、ジャン……だっけ? 仲間うちくらい顔を見られてもかまわないんじゃないの?」
「いや……」
(あんまりしゃべるとバレるかな……)
キースは騎士たちとなかなか打ち解けられないでいるクリスに「剣の相手になって」と気さくに話かけてくれた。
それ以外にもキースはいろいろと気を使って話かけてくれたが、たまに「ウェイン」だの「ジャック」だのと名前を間違えて呼んでいたのでクリスは笑ってしまった。
「ごめん、弟たちのこと考えてたら……」
クリスは家族思いのキースらしい、と思った。
*
(今日は静かだな……)
弟子たちは遠征で不在、マギーも今日は来ない日だ。
カインは館で一人だった。
昨夜、少しお酒を飲もうと貯蔵庫に降りたカインは酒樽に『ヘンリー飲みすぎ注意!』のメモが貼ってあるのを見つけた。
雑然としていた貯蔵庫は綺麗に片付けられ、それぞれに何が収納されているか品物名が書き込まれていた。
『……ジャンは芋の皮むきが上手ね、助かるわ。あっ、ヘンリーもう少し丁寧に掃除してよ。エズラ、あそこの窓も拭いてくれない? 魔法か何かでチャチャってできるでしょ?』
ときどき弟子たちはマギーに手伝わされていた。
カインはそのことを思い出して笑ってしまった。
テーブルには昨日、マギーが置いていったバターパンやチーズパンなどが籠に入っていた。
籠には手紙もついていた。
昨日読んだそれを、カインはまた手にとった。
『カイン先生、たくさんパンを焼いて持ってきたわ。たぶん次に私が来るまでもつわ。ベーコンと野菜をはさんで食べると美味しいですよ。私も式典見たかったなぁ。どんなだったか教えて下さいね! あとそれから……』
明日は式典があり、カインは王の護衛の一人として出席するため、マギーには来なくていいと伝えていた。
「……フッ」
カインは手紙まで賑やかな娘だと思い、また笑った。




