選抜試験
「それでは今から選抜試験を行う」
ここはマイクローブズ城内に作られた魔導士訓練場。
目の前にいる銀髪の男は城に使える魔導士のカインだ。
彼は弟子募集で各地からやってきた体格も年齢もバラバラな数十人もの若者たちに対峙していた。
その中にクリスの姿もあった。
長かった金髪はバッサリと短く刈り込み、胸には布を巻いていた。
見た目は小柄な少年のようだった。
「では一人ずつ前へ」
順番にカインの前へ出て、術を見せ合った。
「う……ん。レベルが全然違うな。師について訓練している者と素質はあるが粗削りな者と」
カインはしばらく考え込んでいたが、やがてこう言った。
「今回は即戦力を要するから、ある程度のレベルの者を3人だけ雇うことにする」
それを聞いて何人かからガッカリしたようなため息が漏れた。
「エズラ、ヘンリー、ジャンは残って。あとは悪いが、落選だ」
喜びの声と落胆の声が混じった。
クリスは小さく「やった」とこぶしを握って喜びを表した。
「よろしく」
エズラとヘンリーが握手を求めてきた。
「こちらこそ、よろしく」
2人はクリスの手の柔らかさにびっくりした。
エズラは眼鏡をかけた長身の青年で、癒し魔法を専門としていた。
ヘンリーは一見戦士かと見まがうくらい屈強な体格をした攻撃魔法を得意とする青年だった。
「君の交信能力すごいね。場にいる精霊を呼び出せるんだね」
「誰に教わったの?」
2人から矢継ぎ早に質問責めにあった。
「え……と、昔お城に魔導士として勤めていたダン先生」
そう言ったとたん、2人の表情が変わった。
「あの変わり者のダン先生?」
「でも、腕は凄かったっていう」
「弟子はとらないって聞いてたけど」
2人の様子を見てクリスはダン先生が実は凄い人なのだということがわかった。
「ラッキーだね。いくら権力者でも誰も彼を雇うことができなかったって聞くよ」
クリスはダン先生らしいと思った。
「あっ、騎士団だ!」
そのときヘンリーが叫んだ。
見ると、馬に乗った騎士団の一行が外での訓練を終えて帰還するところだった。
「うわ、初めて見た。かっこいいな」
2人はワクワクしながら騎士団を眺めていた。
(キース……)
クリスはその中にキースの姿を探したが、見つけることはかなわなかった。
「そりゃ、モテるよなぁ」
ヘンリーのその言葉を聞いて、クリスはドキンとした。




