門出祝い
キースの両親は農家を営んでいた。アレクとスザンナは息子の門出祝いを家で開いて、近所の人たちも招いていた。
「今日は収穫したばかりの野菜もたくさんあるからどんどん食べておくれ」
キースの兄弟は彼を含めて5人。長男のキース、次男の14歳のウェイン、三男坊で12歳のジャック、そして唯一の女の子9歳のジェイン、末っ子で5歳のわんぱく坊主トミー。
下の子たちはパーティだと喜んでいる。
「クリスお姉ちゃんが来た!」
ジェインの言葉に一番に反応したのは今日の主役のキースだった。
「まぁ、可愛くなったこと」
近所のおばさんがクリスの輝くばかりの容姿を褒めた。
「今日はおめでとう」
クリスの両親がキースの両親と挨拶をしている中、キースはクリスに話かけた。
「来てくれてありがとう。今日なんかいつもと違うな」
キースは照れたように言って、クリスを正面から見るのに戸惑った様子を見せた。
「いつ城へ?」
クリスは正装用の淡いベージュ色のドレスを身に着けていた。
息を飲むほど白い胸元には青い石のネックレスが映えていた。
「えっとぉ……」
話かけてきたキースの視線はクリスの胸元にあった。
ハッとしてクリスは胸元を隠すように両手を置いた。
(見えてた……?)
キースが顔を赤らめているのを見て、脳内でいやらしいことを考えてるのではないかと疑った。
「それ……」
キースは青い石を指さした。
「これ?」
「俺があげたやつ、まだ持ってたんだ」
「えっ……」
クリスの部屋には宝石箱もあって、その中から無造作に選んだものだった。母に胸元が寂しいから何かつけなさい、と言われて。
(キースがくれたものだったんだ)
「つけてくれてありがとう」
「あっ、うん……」
「なんか嬉しい。ハハッ」
「……」
クリスの胸はチクンと痛んだ。
キースのことは好きだ。
でも、それは友だちとして。
キースの気持ちには応えることができない。
友を傷つけるとわかっていても。




