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世界の黄昏に舞う蒼玉  作者: 神無月 あかり
ノルトライン編
8/14

第三話 新たな仲間と宴会

席に着くと「今日は俺の奢りだ!好きなだけ頼め!」

と、言ってくれたので夜の宴の分を考えてそこまでアルコール度数の高くない安いエールを1杯と鶏肉の燻製にしておいた。

アリシアは果実酒だけにしていた。

ちなみにこの世界では15歳で成人なので法律的にOKなのである。

「そういえば、奢りって言っていたけど懐大丈夫なのか?」と聞くと、

「ああ、ここはギルドを兼ねていて、さっき幾らか金を下ろしてきたんだ。」

彼はそう言うと腰にあるポーチからお金が入った巾着を取り出し見せてくれた。そのあと彼は真剣な顔になり

「改めて感謝をする。お前たちがいなければこの街は大変なことになっていただろう。街を代表して礼を言う。」

そう言うと彼は頭を下げた。突然のことに戸惑ったが

「顔を上げろよレヴィ、別に俺らは当然のことをしただけだし、一緒に戦った仲じゃ無いか」

なんとかその言葉を言うと横からアリシアも「そうだよ!、一緒に戦った仲じゃん!」と言った。

彼は顔を上げ、ニッと笑うと

「そう言ってくれると俺も助かる」

と言い、まぁこっからが本題なんだがと言い

「俺も旅に連れてってくれねぇか?」

と言った。俺は危うくエールを吹き出しそうになり、アリシアは気道に入ったのかゲホゲホと咳き込んでいる

。一回落ち着いた後俺は理由を聞いてみた。

「どうして俺らの旅について行こうと思ったんだ?レヴィも十分強いし、中堅の冒険者だから安定した生活は送れているだろう?」

と聞くと彼は

「まぁそうなんだがな、ぶっちゃけ俺はこのままでいいのかと思い始めてたところなんだよ。それにソロをしながら臨時パーティーで冒険しながら生活するのに限界が来ていてな

それにお前さんたちこれから旅に向かうんだろう?こう言っちゃ何だが、俺はその辺の冒険者よりも野営の経験があるから損しないはずだぜ?」

彼はそう言ったのでアリシアと相談をしてみることにした。アリシアは

「私は賛成だよ、昨日の戦いで見た限りだと強そうだしタンク役ができるからこれまでよりも安定した戦闘ができそうだしね。

まぁ、最後はリーダーのケンジに任せるよ!」

と言った。いつから俺がリーダーになったかは不明だが俺も反対意見は無いので

「じゃあこれからよろしくな!」

と言うと彼は

「おっしゃ!よろしくな!リーダー!」

と言ってきた。

だから、俺はいつからリーダーになった。


夕方から宴会を開くために、街中の復興作業と広場での準備が進められ俺とアリシアも作業に協力をした。レヴィはタンクトップ姿で頭にバンダナを巻き道路の敷き直しや建物の補修やがれきの撤去など忙しく働いていた。

しかしすべての家屋を1日で建て直すのは不可能であるため、大聖堂は避難所として開放される事になった。

そうして日が没し始めた頃、宴会は始まった。

復興作業をしていた多くの人々が作業を切り上げ参加した。

「それではこれより、ノルトライン復興会をはじめさせていただきます。」

首長による挨拶が始まった。

「さっそくですが、ここでケンジ君に乾杯の音頭を頂戴したいと思います。

皆様、お手元のグラスにお飲物をご用意ください。それではケンジ君、よろしくお願いします。」

俺はあいにく飲み会には参加したことが無いため、そんな挨拶は一度もした事がないのでとにかく思いついたことを喋ることにした。

「ただ今ご指名を頂きましたケンジです。大変僣越ではございますが乾杯の音頭を取らせて頂きます。」

こんな感じで良いのだろうか。

そうして軽いスピーチを考えて話した。

何度か詰まったがなにせ即興だったので許してほしい。

「それではグラスの準備も整ったようですので、乾杯に移りたいと思います。

ノルトラインの復興とますますの発展を祈願しまして、乾杯!

ありがとうございました。」

なんとか初めての乾杯の挨拶を無事に終える事ができて胸をなでおろしていたらアリシアが声をかけてくれた。

「おつかれさま!なかなかの挨拶だったと思うよ!」

「あぁ、ありがとう」

「もしかしてまだ緊張してる?」

そうしてアリシアに引っ張られつつ宴会の会場の中央部へと移動した。


そこでは立食パーティーという形がとられたどんちゃん騒ぎが起こっていた。

各自料理自由に皿へ盛り付け食べていた。

大食い自慢の男たちが大量のスパゲッティを頬張っていたり、酒豪達は酒を浴びるように飲んでおり隅には酔いつぶれた男達が寝っ転がっていた。

俺たちが駆けつけると町の人たちが

「お!ケンジいいところに来た!」

と酔っ払ったおじさんがまずは一杯と言いジョッキにエールを注いだ。

さすがに全部は無理だったがジョッキの3分の1程度を一気に飲んだ。

すると周りから「いい飲みっぷりだねぇ!」という声が聞こえ、俺はおじさん達に誘われ一緒に飲んでいた。

一方のアリシアは女性達に囲まれ話に花を咲かせていた。

時折女性達がこっちを見ながらひそひそ話しアリシアが顔を真っ赤にすることがあったがおそらく酔いが回っているのだろう。

そうしていると「おーい!ケンジー飲んでるかー!」という声を発しながらこちらに来たのは、タンクトップ姿の頼れる兄貴ことうちのパーティメンバーのレヴィだった。

彼も結構飲んでるらしく呂律が少々怪しい、

「ああ、飲んでるよ!」

とジョッキを掲げ反応すると彼は笑いながら

「そーか!今日のパーティーの主役はお前達だからなじゃんじゃん飲めよ!」

と言いまたどっかへ行ってしまった。

その後、アリシアと合流することができたのではあるが、アリシアの様子が何かおかしい。

「なぁ、相当飲んだみたいだけど大丈夫?」

とは聞いてみたもののやや呂律の回っていない返事が来た。

「大丈夫、大丈夫、あんまり飲まんようにしとるし、多少多く飲んでも心配ないがね」

大丈夫じゃなさそうである。

そうしてみんなで飲めや歌えのどんちゃん騒ぎが収まったあとパーティーはお開きとなった。

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