第三話 初めての戦闘と女剣士
さて、とりあえずは女神の言うように仲間を集めつつ邪神討伐へと向かうか。
そう、決意を新たにして教会をあとにしようとしたとき,
カタッと音を立て何かが落ちる音がすぐ横でした。
見てみると刀が倒れていた、恐らくこれが神刀虎徹だろう、
ただ自分が想像していた刀と違い刀身がやや長めだった。
とりあえず刀を吊るしておくための帯が無いため左手に刀を持ち教会をあとにした。
仲間を集めると言ってもどうやって集めればよいのだろうか…
そう悩みながら街の中心街まで歩いていたときに通りを行く二人の会話が聞こえた。
「西の隣町までの道にモンスターが大量に出てきたらしいぜ。」
「マジかよ、こりゃ流通止まっちまうなぁ…」
はじめのうちは気にしてはいなかったが、
徐々に思考が展開されてゆき、その事について気になっていた。
これはチャンスではないか。
この世界はステータスという概念があるならモンスターを一気に討伐すればおそらくレベルも上がるだろう、
ついでに討伐したモンスターをギルドのような機関に持って行けば買い取ってくれるかしてくれるだろう。
そのお金で旅に必要なものや装備を買えばいい。
そう考えた俺は先ほどの2人に声をかけ、詳しい場所を聞き早速向かった。
西門からさらに西に向かうこと十数分その光景は突然現れた。
なんとそこには、モンスターたちの軍隊がいたのだ。
ちらっと見ただけでもゴブリンに始まりオークにゾンビ、
スケルトン、更にはゴブリンの上位種であるホブゴブリンまでいる始末。
そして軍の一番後ろにはオークキングがいてその隣にはオークジェネラルがいるのだ。
このまま町に突入されては被害は馬鹿にならないだろう。
そう考えた俺は刀を抜刀して突撃をし最前列に居たゴブリンをなぎ払いざまに3体を同時に倒した。
それを合図に戦闘が開始された。
ゾンビはともかくゴブリンの装備はどうやら奪ったものらしく色も形もバラバラで防具も状態の良いものでは無いようだが、
たとえ物は悪くとも攻撃はしてくるので避けなければ危ないだろう
モンスターたちは大群で襲い掛かってきたが俺は全力で応戦した。
それでもまだすぐには倒しきれそうではない。
しかし、泣き言を言っても始まらないにでとりあえず俺は昔テレビで見た殺陣のまねして刀を振り回していた。
やはり武器のスペックはこちらの方が上なのか戦況は辛うじて俺の方が有利だ、
ただこちらも無傷とはいかず、寝間着として使っていたTシャツとズボンは所々破れて腕などに細かい切り傷ができ、うっすらと血が出ている。
そうした戦闘が一時間ほど経過した時だっただろうか、
突如魔物たちの群れの奥から一際大きな叫び声が聞こえてきたのだ。
それと同時にオークジェネラルがその大きな巨体からは信じられないほどの速さで突進してきた。
あらかじめ鞘から出しておいたのであろう無骨だが、
しっかりとした大ぶりで肉厚な蛮刀を振りかぶりながら渾身の上段斬りを放ってきたのである。
とっさによけた俺だったが頬がほんの少し切れて血が滴るがそんなことを気にしている余裕なんて少しも残されていなかった。
なぜなら、ソイツの目の奥からは強烈な殺意と知性を感じさせられたからだ。
言葉こそしゃべらないが自分の部下達を次々と殺された怒りとそれを抑え込み冷静に戦況を判断することのできる理性がそこにはあった。
俺はこいつと武器の打ち合いは不利と判断し、相手の攻撃の隙を突いて一気に攻めることにした。
そこからはひたすら避けるのに専念した。自分の持てるすべての感覚を使いよけによけた。
そうした戦いが10分ほど続いたとき、ようやく奴は鉈を大きく上に振りかぶり攻撃しようと来たのだ。
ここしか無い、そう思い水平斬りをしようとした瞬間奴はにやりと笑った。
はっとした瞬間、俺は横腹に衝撃を感じると同時に思いっきり吹っ飛ばされ大木に激突した。
肺の中にある空気が全部無くなるような嫌な感覚を味わった。
幸い骨は折れてないが意識が飛びそうだった。
その様子を見てオークジェネラルはにやりと笑いながらゆっくりとした足取りでこちらにやってきた。
今度こそ俺を殺す一撃を放とうとした。
しかし俺はもうここしか無いと思い全力の水平切りを放った。
そして奴の体は真っ二つに切れた。
もう、意識がなくなりそうだったがまだ、キングが残っているため俺は再び気合いを入れオークキングの元へと向かった。
そのとき、後ろの方から声が聞こえた。
「私も協力するわ!」
ものすごいスピードで俺の隣を駆けて行った。
どうやらそれほど歳が離れていない少女のようだが、オークキングに向かってソードを振るっている。
俺もただ見ている訳にはいけない。
最後の力を振り絞り刀を握り締めオークキングへ飛びかかった時、刀が蒼い光に包まれた。
そのままオークキングに斬りかかった。
恐らく強力な力がオークキングへと加わったのであろう。
オークキングは後方へと吹き飛んだ。
だがしかし、自分の体の限界が来たそうでそのまま眠ってしまった。