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Please speak!  作者: 長野原春
96/113

男同士で温泉です

「温泉だー!」

「イエーイ!」

 温泉ではしゃぐ高校3年生。

 むしろプールにいる時よりもテンションが高いまである。

 まずは身体を洗いまして。

「プールの水が冷たかったからお湯はいいな。」

「やっぱり俺たちさ、考え方がおっさん化してきてるよね?」

「京介、多分俺たちはもうおっさんなんだよ。」

 頭を洗い流し、身体を洗う。

 多分俺たちの身体はきっと塩素まみれだ。

「というか、今思ったけどプールってこんなに疲れたっけ?」

「案外疲れたな。」

「俺結構疲れたんだけどな・・・夏央、結構体力ある?」

「どうだろ、まあパティシエやるから体力はないとダメだよなーって思ってな。」

「へえ、何かしてるんだ?」

「たまに朝ミー子に連れ出されてる。」

「ああ、美衣ちゃんって朝走ってるんだっけ。」

「そうそう。」

 朝のランニングは結構きついんだよなあ・・・。

「いいんじゃない?一人でやるよりは楽しいでしょ。」

「一人ならやらねえよ・・・そもそも起きれねえ。」

「夏央朝弱いもんね。」

「低血圧舐めんな。」

「はいはい、舐めてないっすよー。」

 体を洗い終え、風呂に浸かる。

 冷えた体にこれはしみる。

「「あぁ~~~~~~。」」

 同時に声が漏れてしまった。

「夏央、ずいぶんとおっさんなボイスが漏れ出ていますよ?」

「そりゃ京介もだ。」

 そんなことなんて気にしてられないですよ。

 温泉が気持ちいいんでね。

「夕飯どうする?4人でどっか食いに行くか?」

「あ、いいねそれ。夏央のおごり?」

「そんな金があるわけねーだろ。」

 高校生の懐事情くらいあんたも高校生なんだからわかるでしょうに。

 社会人になったら・・・分からないけど。

「そういえば夏央さ、パティシエになったらどっかで修行するの?」

「どっかって?」

「うーん、フランスとか?」

「外国か・・・。」

 できれば日本から離れたくないという考えはあるけど、行かなきゃいけないのであれは行くしかない。

 ただその時は・・・。

「行くとしたら、ミー子もついてくるんじゃないかな。」

「だろうね。」

 同じ道を目指すんだし同じところで修行してもいいだろう。

 修行中は一緒に暮らしたって全く問題もなさそうだし。

「将来はお店を開くって言ってたよね。」

「できたらの話だけどな。」

「楽しみだなあ。」

「京介だって日本にいない可能性あるだろ。」

「その時はほら、宅配サービスでさ。」

「海外の宅配は難しいかなあ・・・。」

 こいつも考古学者を目指す身だ。

 きっと俺よりも海外に行く機会が多くなるはず。

「まあほら、例えば俺が帰ってきた時に夏央の店でお帰りのパーティーをしてくれるとかさ。」

「事前予約制となっております。」

「今から楽しみだなあ。」

 店を開くのは俺も楽しみだ。

 どうなるかは全く分からないけど。

「京介、英語以外の外国語は大丈夫なのか?」

「まあ、大学で勉強すればいいかなってね。陽花も教えてくれるみたいだし。」

「そりゃ心強いな。」

「夏央は?外国の修行のために勉強しないの?」

「そうだなあ・・・フランス語くらいは覚えておいて損はないかな?」

「いいんじゃない?その前に英語だろうけど。」

「うん・・・。」

 英語すらあまりできないからなあ・・・。

 日常会話ができるかできないかっていうレベルだし。

「やっぱり外国語の勉強って必要なんだな・・・。」

「夏央、大丈夫?」

「外国語・・・。」

「忙しくなかったら俺や陽花が手伝うかもね。」

「そん時は頼むわ。」


 Side 美衣

「・・・。」

「か、かがみん?」

「・・・(じーっ)。」

「そんなに見られるとさすがにあたしも恥ずかしいんだけど・・・。」

 暴力的だ・・・。

 何だろう、大きさも形も、すべてが魅力的。

 スタイルもいいし・・・。

 すごく、女性という感じがする。

「そのワキワキした手は何かな!?」

「・・・。」

 揉ませろ!

「ちょっ、かがみん!?まず身体を洗おう!?」

「・・・ん。」

 確かに陽花が正しい。

 まずは身体から洗おう。

「かがみん、ショートカットだから髪洗うの楽そうだよね。」

「・・・ん。」

「あたしも短くしようかなー。」

「・・・(ふるふる)。」

「え、だめ?」

「・・・ん。」

 陽花は長めの方が似合うよ。

「よーし、じゃあかがみんの背中を流してあげる。かがみんもあたしのお願いね?」

「・・・ん。」

「よーし、ほれほれー!」

「・・・(びくうっ)!!」

 ぬるっとした感触に背中が跳ねる。

 え、素手ですか。

「あっはは、びっくりした?」

「・・・(こくり)。」

 そうかそうか、ボディーソープでぬるっぬるの手で背中を撫でられるとこんな感触なのか。

 うん、非常にびっくりした。

 タオル使ってくれたらよかったのに。

 ・・・またなっちと一緒にお風呂に入る機会があったらやってやろう。

「じゃあ洗うからねー。またビックリしないでよ?」

「・・・ん。」

 また、背中にぬるっとした感触。

 思わず息が漏れそうになる。

「もしかしてかがみん、背中弱い?」

「・・・(ふるふる)。」

「そう?」

 そんなことはない、はず。

 ・・・たぶん。

「えい。」

「・・・!!!!」

 指で背中をなぞられ、さっきよりも大きく背中が跳ねる。

 いきなり何すんだ!

 もし声が出るなら間違いなく目立っていた。

「あっははは!かがみんやっぱり背中弱いんじゃない?」

「・・・。」

 こんな反応をした以上反論できない。

 もしかして本当に弱いのか・・・。

 だってこんなことなっちにされたことないし・・・。

「・・・!」

「やだー、にらまないでー。ちゃんとやるからー。」

 交代した後は陽花にたっぷりと仕返しをしました。


 Side 夏央

「やっぱり女子って風呂長いんかね。」

「どーだろ。」

 俺らは先に上がってミー子と祈木を待っています。

「いやー、温まったなー。」

「この後暑いと思うんだよねー。」

「・・・うん。」

 プールで体が冷えたとはいえ、今は真夏。

 こんなほっかほか状態で外に出たら暑いでしょう。

「アイス食べるか。」

「いやいや夏央、温泉といったら牛乳でしょう。」

「ちょうど自販機があるな。」

 うん、見事に牛乳系しか置いてない自販機だ。

「夏央どうする?」

「コーヒー牛乳かな。」

「俺もそれにしよーっと。」

 買った牛乳を開け、腰に手を当てて飲む。

 これがトラディショナルな牛乳の飲み方だ。

「美衣ちゃんってお風呂長かったっけ?」

「いや、長くない。たぶん祈木に合わせてるんじゃないかな。」

 髪も短いしけっこう早めに上がってくるんだよな。

 まあ髪が伸びたから最近少し風呂は長くなった気がするけど。

「もう一本行こうかな。」

「あんま飲むと腹壊すぞ。」

「大丈夫でしょ。」

 2本目を購入して飲む京介。

 次はフルーツ牛乳か。

 ・・・俺も飲みたくなってきた気はするけど、まあお腹を壊すわけにはいかない。

 帰りの電車はちょっとめんどくさいんだよな。

 ・・・よし、アイスにしよう。

『あ、なっちがアイス食べてる。』

「あたしもコーヒー牛乳飲みたーい!」

 お、ミー子と祈木が出てきた。

「ミー子何飲む?」

『コーヒー牛乳。』

「はいよ。」

 コーヒー牛乳を購入し、ミー子に手渡す。

 すると、ミー子がコーヒー牛乳を凝視した。

「どうした?」

「・・・。」

「ミー子?」

『ありがとう。』

 瓶のふたを開け、腰に手を当てて牛乳を飲む。

 さすがミー子、トラディショナルな飲み方だ。

「牛乳のおごり方がさらっとしすぎててびっくりした。」

「夏央やるな。」

 京介と祈木がこちらを見てニヤニヤしていた。

 あれ、俺なんかしたかな。

 おごり?

 ああ、コーヒー牛乳?

 特に気にしてなかった。

「じゃあ、きょーちゃん、お願い♪」

「はーいはい、どのアイスにする?」

「飲むやつで!」

「買ってくるからちょっと待ってて。」

 京介がアイスを持って行く。

 いいじゃん、そっちも自然な流れですよ。

 男が女におごらなければいけないとかそういうわけじゃないけどね?


「外あっつ・・・。」

「身体が温まってるから余計にね・・・。」

「さっき食べたけどアイス食べたい・・・。」

「・・・。」

 早くも汗をかきそうだ。

 この暑さの中バスを待つのか。

 マジか・・・。

「って!バス来てる!」

「えー!」

「かがみん!走るよ!」

「・・・。」

 当然走るとなると一番早いのはミー子だ。

 俺らを置いてけぼりにしてバスの中へ入っていく。

「はやっ!?」

「行っちゃって待つよりはここで走った方がいいと判断したんだろうな・・・。」

「美衣ちゃんすげえ・・・。」

 俺らも何とか間に合い、バスが出発した。

『遅いね。』

「ミー子、陸上部とかやってた方がよかったんじゃない?」

『なっちと一緒にいる時間が減るとか耐えられません。』

「あらそう。」

『照れてる表情がかわいいね。』

「うるせ。」

 俺も大概、直球で言われることに弱いな。

『なっち、疲れた?』

「ああ、久しぶりに泳いで疲れたかも。」

『泳いでた?』

「ひどい言い方ですね・・・。」

 俺の泳ぎは泳ぎじゃないと申すか。

『私は全然疲れてないぞよ。』

「ミー子は本当に体力あるね・・・。」

『なっちとは違って毎日走ってるからね。』

「毎日は無理だ・・・。」

 最近ミー子に付き合って何度か走っているが、やっぱりキツい。

 パティシエになったとして体力続くか、ちょっと心配になってきた。

『京介くんと陽花がもう寝てる。』

「早いな。」

 2人が肩を並べて寝ている。

 なんだ、この光景はニヤニヤするな。

『私たちもこんな感じになって写真撮られたよね。』

「冬だっけか。」

『そうそう。』

 母さんたちがにやにやしていた気がするが、その時の気持ちがこれなのか。

 ああ、そりゃニヤニヤするわ。

『寝る?』

「みんなで寝過ごしたら大変だろ、俺は起きてるよ。」

『じゃあ、私も付き合う。』

 そういって、俺の膝に頭を乗せるミー子。

「バスだから危ないぞ。」

『やっぱり私も疲れた。』

「ぜってぇ嘘だぞ。」

 さっき疲れてないって言ってただろ。

『やっぱり卒業したらこんな感じで4人で出かけることもできなくなるのでは。』

「まあたぶんそうだろうな・・・。」

『やだなー。』

 起き上がったミー子がつまらなそうにする。

 会うのは難しくなるだろうけど、連絡を取り合うことはできるよな。

「逆に、進学して会うであろうやつらも楽しみじゃないか?」

『新しい友達ということ?』

「そうそう。楽しみじゃない?」

『専門学校とか就職のための学校みたいなもんだから卒業したらもう会わないって人多そう。』

「夢の無いことを言いますね・・・。」

『まあほら、基本的に同じ学校に進まない限り卒業するとあんまり会わないんだよね。』

「確かに中学のやつらとかも会ってないもんな・・・。」

『偶然会うようなことはあったりするけどね。』

紫垂(しだれ)のことか・・・。」

『奏もね。』

 さらっとその名前を出すミー子。

 もう大丈夫なんだな。

「まあ連絡先は交換したけどあんまり連絡取ってないしな・・・。」

 また今度連絡取ってみるか。

『まあほら、私は積極的に友達を作るタイプじゃないのでね。専門学校での新しい友達には期待してないよ。なっちがいたらそれでいいし。』

「一応つながりがあると楽とは聞くけどな。」

『利用目的で何人かとつるんでみますかね。』

「言い方が悪いですね・・・。」


 バスが駅に着くと、ちょうど電車が止まっていた。

 次の発車まではあと15分あるらしい。

 と、そこに違う電車が入線してきた。

 けたたましいブレーキ音を響かせ、ホームに停車する。

「うるさっ。」

「俺今ので目が覚めたわ。」

 さっきまで寝ていた京介と祈木にはいい目覚ましになったようだ。

 というか、あの電車停車中もうるさいんですが。

「なにあれ。」

『あら、なっち知らないの?』

「ええ。」

『あの電車をよく見るんだ。』

「うん?」

 よく見るって言われても・・・。

「うるさいくらいしか分からんが。」

『ほんとに?』

「あとめっちゃ四角い。」

『いやそういうことではなく。』

「えー?」

 ミー子の言いたいことがよく分からない。

『普通の電車にあるものがないじゃないか。気づかない?』

「あるもの?」

 ちょっとわからないですね・・・。

『アレだよアレ。』

 ミー子が指をさす。

 電車の上の方?

「あ、電線がねえ。」

『正解です。気づくの遅くなーい?』

「うるせ。普段あるって認識してると見つけるの難しいんだよ。」

『えー?前にも電線の無い電車に乗ったけどなー。』

「そうだっけか?」

『ひどい!私と旅行したことも忘れてしまったのね!』

「いや忘れるわけねーだろ。旅行というと・・・アレか。」

 観光列車に乗ったんだった。

 電線なかったっけ?

『あれは電車じゃなくて気動車。ディーゼルカーですぜ旦那。』

「だからうるさいのか。」

『そういうこと。』


 電車が動き出す。

 沿線の景色を見ると、いつもとは違うところにいるという気分になる。

 普段の電車じゃこんな景色は見れない。

 ここら辺までくるとこの県でもこんな景色が見れるんだな。

「すぅ・・・。」

「また京介と祈木寝てるじゃんか。」

『私たちが起きてればいいよ。この電車は終点まで短いし。』

「そうだな。」

 確かに今まで乗った電車の中では終点までが一番短い電車だ。

 なんというか、知らなかったことだらけだな。

『なっち、外見まくってるね。』

「なんかキレイでな。」

『分かる。もしそっちが好きならどっか地方にお店建てる?』

「それもいいなあ。うちの店を求めて遠くから来てくれるとかも。」

『大きく出たね。』

「特集組まれるかも。」

『取材はOKにするの?』

 取材か・・・。

「俺はOKだけど、ミー子はどう?」

『常連を大切にしたいんでねえ・・・。うちは取材をお断りさせていただいてるんですよ。』

「なんかそれっぽいやつ来たぞ。」

『口コミから始めるのもかっこよくない?』

「広まらなかったら閉店かな。」

『まあ、取材OKにしよう。』

 あ、折れた。

『なんか、夢が広がるね。』

「まあ夢ってのは大きくていいもんだ。楽しみになるしな。」

『私はまあ、大きな夢なんかなくても私はなっちと一緒にお店を開けるってだけで未来が楽しみよ。』

「嬉しいこと言ってくれるね。」

 達成は難しいだろうけど、一緒に頑張っていかなきゃな。

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