バトル・バトル・ハンド!!
めっちゃ真面目に書いたバトル物。
ただなぜだろう、純文学の講義の課題にこれを提出して、とても怒られたのをよく覚えています。
割れるような大歓声が耳を通して頭の中で鳴り響く。俺は静かに一歩一歩を踏みしめながら、ステージへと続く階段を登っていく。
今日この日、この時のために俺は血の滲むような努力を積み重ねてきた。そして先週行われた準決勝に勝利することによって、ようやくこの決勝の舞台に立つことを許された。もう迷うことなどない。あと一勝、あと一勝しさえすれば。
どこまでも冷静な俺の意識とは裏腹に、会場のボルテージは今がまさに最高潮であった。数万人を収容できる会場を埋め尽くす人の塊。そこかしこで耳をつんざくような歓声と声援が響き渡っている。
しかしそれも当然だろうと思う。予選とは違い、本戦ともなれば大々的にマスコミで取り上げられ、テレビにも全国生中継で放送されている。そして今から行われるのは決勝戦。数多の猛者を退けここまで勝ち上がってきた、真の強者同士の戦い。俺もこの戦いの場に立つために、数多くのプレイヤーを屠ってきた。最強の称号を手にするのは誰なのか、戦いの結末を観客の誰もが心待ちにしていることだろう。
階段を上がり、ステージの中央へと進んだ俺の目の前には真っ白なドレスでその身を飾った一人の少女。この少女こそ、俺が倒すべき最後の相手となる。
決勝の出場者が揃ったところでステージを除く会場の照明が落とされ、俺と少女にのみスポットライトの光が当てられた。
西城京介・十九歳。
氷堂真冬・十八歳。
同時に正面の巨大スクリーンに俺と少女の顔と名前が映し出され、隅に過去の戦績が表示されていく。
全身を黒一色で着飾っている俺とは違い、降り注ぐ光の中で花のように浮かび上がる少女、真冬は周囲の大歓声など聞こえていないかのように涼しげな微笑を浮かべている。
数万人の視線が俺と真冬だけに注がれ、東京ドームを改造して作られた特設ステージを包み込む会場の熱気は高まっていくばかりだ。今か今かと、戦いの始まりを待っている。
俺は一言も発さず、だが確固たる敵意をもって真冬を睨みつけた。真冬はそんな俺の視線を真正面から受け止め、実に愉しそうに微笑んだ。
「京介、あなた程度の男がよくここまで勝ち上がってきたわね」
馬鹿にしているかのような尊大な態度で話しかける真冬に、俺は「まあな」と短く答えた。
「準決勝でのあなたの相手、確か神崎といったかしら。かなりの腕前だったみたいだけど、正直あなたが勝つとは思っていなかったわ」
真冬の口から出たその名前に、俺は前回の戦いを思い返した。
神崎真司。俺の準決勝での相手。『風神』という呼び名を持ち、この大会の優勝候補と目されていた男だ。その実力は風神の名に恥じぬほどにすさまじく、俺と神崎は一時間以上にもわたって激闘を繰り広げた。その結果、倒れたのは神崎で、最後まで立っていたのは俺だった。もう一度戦って勝てるかと聞かれれば、おそらく勝てないだろう。神崎は最後に「負けるなよ」と言い残し、舞台から下りていった。
そうやって俺が倒してきたのは神崎だけではない。決勝まで勝ち上がってくるために俺は何人も打ち倒し、その想いを背負ってここまで来た。楽勝だった戦いなど一度もない。とても耐えきれないような重圧に潰れてしまいそうになったことも幾度となくある。だが今決勝の舞台に立っている俺を支えているものこそ、そんな彼らの想いだ。それはもう俺を縛る枷などではなく、背中を押してくれる力。前に進むための力。だからこそ、
「俺の方が強かった。だから勝った。今の俺はあいつらの全てを背負ってここにいる。お前を倒すために」
勝者は敗者に掛けるべき言葉を持たない。最後の最後まで勝ち続ける、それが俺に倒されていった彼らにできる、唯一にして絶対の手向け。
真冬はふうんと俺を値踏みするように眺めると、
「変わってないのね。京介は昔からずっとそう」
過去を振り返るように遠い眼をしながらそう言った。
俺と真冬は昔、少し特別な関係だった。友達でもなく知り合いでもなく、クラスメイトでもない。――恋人同士。そういう関係。
「俺は俺の生き方を貫くだけだ。今更変わるつもりなんてねーよ」
俺の言葉が気に入らなかったのか、微笑を崩さなかった真冬の表情が初めて歪んだ。
「……私は、あなたのそういうところが嫌いだったのよ。ずっとね」
鋭利に細められた真冬の瞳に映るのは怒りか、悲しみか。そんなこと、俺には分かるはずもない。
俺と真冬が付き合っていたといっても、それは昔の話だ。今は二人の心にお互いの姿はない。元々上流階級の真冬と平凡な学生でしかない俺とでは立っている場所が違いすぎたのだ。付き合えていたこと自体が奇跡のようなものであり、今となっては別れたことに後悔はない。二人の距離はすでに離れてしまっている。互いに近付くつもりもない。今の俺にとって真冬は倒すべき、敵だ。
「さて、それじゃあそろそろ始めましょうか」
言って真冬がドレスをなびかせながら右手を上げると、正面の巨大スクリーンに『READY』の文字が表示される。それまで割れるように響き渡っていた大歓声の中を一気に緊迫した空気が駆け巡り、会場全体を緊張と静寂が包み込んだ。
これが最後の戦い。
予選を含めれば今年の一月、正月に始まったこの戦いは熾烈を極め、決勝戦を行うまでに丸々一年を費やしてしまっていた。そして今日、大晦日。日本で最も強い者を決めるにはおあつらえ向きの舞台だ。長かった戦いにようやく終止符が打たれる。
最早、俺も真冬も何も語らない。語る必要もない。
緊迫した会場の中心で、俺達は静かに構えをとった。日本の頂点を決めるために。
そして同時に拳を振り上げ、喉が張り裂けんばかりに、叫ぶ。
「うおおおおおおおおッッ!!」
「やああああああああッッ!!」
『最初は、グー!!』
互いに突き出した拳がぶつからんばかりの距離まで肉薄し、火花を散らす。
最初はグー。それが一対一で行われるこの『ジャンケン』という名の戦いの絶対のルール。もし守らなければ礼を失したとして反則負けとなってしまう。
そしてこれは今までに何度も繰り返されてきた光景だ。この戦いで優勝という栄誉ある称号を手にするためには、本戦に入ってから十の勝利を収めなければならない。俺と真冬は勝利の切符を九枚まで手にしている。そしてあと一勝。優勝まで手の届く距離に、来ている。
「ジャン――!」
視線が交差する。ここまでくれば逃げるつもりなどない。負けるつもりもない。
「ケン――!」
再び振り上げた拳を、振り下ろす。
「――ポン!!」
俺の出した手は、グー。真冬の手も、グー。つまり、あいこ。
静まり返っていた観客たちが破裂するかのような歓声を上げた。勝負はまだ終わっていない。
最初はグーで始まり、そのままグーを出す。俺は初手で敗北しなかったことに、内心で安堵の息を吐いた。
このジャンケンという戦いにおいて、人間は初手でパーを出しにくい傾向にある。手を無防備に広げるという行為が深層的な部分で負けるかもしれないという抵抗を呼ぶのだ。それとは逆に、チョキは出しやすい。手を振りかぶって振り下ろす動作において、手が最も形作りやすいのがチョキなのだ。しかしそれ故に、読まれやすい。初手ではチョキはパーに次いで敬遠される。そして最後に残ったグー。それらの理由から最初に出すのはグーが定石とされている。
だがおそらく、真冬はそんな理論などまるで考えてはいなかっただろう。
グーは拳を固めた最も攻撃的な形。真冬の考えそうなことだ。しかしここまではまだ様子見、俺もこれで勝てるとは思っていない。見れば真冬も涼しい顔をしている。二人ともこれで決着がつくことはないと、そう分かりきって出した拳なのだ。
「ねえ京介」
天使のような微笑を浮かべる真冬から柔らかな声が掛けられる。
「これでも私はあなたのこと、それなりに評価しているのよ。ここまで勝ち上がってきたということは相当な努力と苦労、それに覚悟があったのでしょう?」
ジャンケン。それは大人から子供まで誰でもできる、最もシンプルな戦い。しかしだからと言って、決して簡単な戦いではない。相手が何を出すのか、自分は次に何を出せば勝てるのか、そこにあるのは壮絶な心理戦、精神の削りあい。この舞台に立つまでに九の戦いを経て、俺の精神はどんどん削られていった。問答無用に際限なく。それは心が死んでしまいそうなほどに。それでも俺がここまで来られたのは、その全てに打つ勝つほどの覚悟を備えていたからだ。
真冬からの問いかけに、俺は「ああ」と頷いた。
「私がこの大会に参加したのは氷堂真冬という存在を全国に知らしめるため。でもこの大会はテレビで大きく注目を浴びているし、ここまで勝ち進んだ私たち二人の名前は今や日本中の人が知っている。つまり私の願いはもう叶ったようなものなの。だから正直、そこまで勝利に興味はないわ」
どこか疲れたような気配を漂わせながら真冬は言った。ここまでの長い戦いで彼女も精神を削られてきたのだろう、確かによく見れば真冬の顔には色濃い疲労の気配が見て取れた。
「私、あなたのことは嫌い。でもお付き合いしていた頃はそれなりに感謝していたこともあったのよ。氷堂は受けた恩を必ず返す。だからあの時のお礼を、今返してあげたいと思うのよ」
微笑み、慈愛に満ちた声で語る真冬。対して俺は何も答えない。
「次に私はもう一度グーを出すわ。日本一の称号は、あなたにあげる」
この大会に勝利することで得られる賞金は一億円。その他にも、優勝することで得られるものは数多い。
テレビのオファーが殺到し有名人になることだって、伝えたいことを世間に向けて叫ぶことだってできる。日本一の称号にはそれだけの価値がある。そして俺も、日本一になるために戦ってきた。
「さあ、もう終わらせましょう。日本一、おめでとう」
最後に静かな微笑みを残すと、真冬は右手を振り上げ体を半身に構えた。俺もそれに倣い、構える。
「ジャン――!」
あいこの場合は仕切り直し。ただし「最初はグー」は必要ない。ジャンケンポン。それで決するのだ。
「ケン――!」
俺と真冬の声が重なる。万を超える観客が息をのみ、目を見開いて二人を見守る。真冬が深い笑みを浮かべ、そして。
「――ポン!」
俺の突き出した手と真冬の突き出した手。繰り出された二人の手の形に会場中が湧き上がる。スクリーンに映し出された俺の手は、チョキ。
――真冬の手も、チョキだ。
まだ決着はついていない。二人の手が重なったことによって観客たちは声を上げたのだった。
俺は繰り出した手を静かにおろした。真冬は俯き肩をわなわなと震わせている。腰まで届く長い髪がその顔を覆い隠しているために、真冬の表情を伺うことはできない。
やがて真冬は髪を掻き上げ、愉快で仕方がないというように、不敵に笑った。
「さすが京介。簡単には死んでくれない」
真冬はグーを出すと言ってチョキを出した。俺はグーを出すと聞いてチョキを出した。勝ってこそいないものの、心理戦を制していたのがどちらかは一目瞭然だ。
「お前は勝ちを譲るような女じゃないだろ」
「当然。よく分かっているじゃない。そうよ、私は日本一の女になるの」
仮にも恋人であったこともあるのだ、真冬の性格はよく知っている。だから俺は自信をもってチョキを出した。真冬は勝つためなら手段を選ぶようなことはしない。
だが真冬は分からないとばかりに眉をひそめた。
「でも分からないわね京介。あなたは私がチョキを出すと分かっていながら、なぜグーを出さなかったのかしら?」
そう、俺は真冬がグーを出すと言いながらチョキを出すことを予測していた。つまりそれを逆手に取れば、俺は勝つことができていたのだ。しかし、
「それだと、意味がないんだ」
そんな勝ち方を俺は望んでいるわけじゃない。ここに来るまでに俺は神崎をはじめ、九人ものプレイヤーを、その想いを屠ってきた。そしてその数は俺が背負っている「覚悟」の数でもある。彼らのためにも、そんな勝ち方をしてはいけない。そんな手段で勝利を得たところで、俺は残りの人生を後悔と共に過ごすことになるだろう。
「お前には、分からないだろうな」
偽りの勝利に興味はない。正々堂々真っ向から迎え撃って倒す。俺が踏み越えてきた奴らのためにも、それ以外の無様な戦いは許されない。
真冬は怪訝そうにしながらも、やはり理解はできないらしい。しかしすぐにどうでもいいといわんばかりに、その眼光が鋭いものへと変わった。
俺と真冬が口を閉ざし視線を交わし合うと、再び会場に静寂が訪れる。右腕を振り上げ、どちらからともなく戦いの始まりを告げる。
「ジャン――!」
日本一になって自身の存在を全国に知れ渡らせる。それが真冬の目的。金も権力も生まれながらに持ち合わせている真冬がなぜこの大会に参加したのか考えたこともなかったが、納得した。聞いてしまえば実に彼女らしい理由だ。
「ケン――!」
俺が今まで戦ってきた奴らにも、それぞれの理由があった。
ある者は純粋に金のために。ある者は真冬と同じように存在を主張せんがために。またある者は富と名声を手に入れるために。その他にも人を捜している者や、己を高めるためといった者もいた。この戦いに参加したプレイヤーの数だけそれぞれの理由があった。
だが俺には、彼らのような形ある目的はない。
日本一。俺は日本一になって、どうする?
「――ポン!」
スクリーンに映し出される二人の手。その手は両者、グー。あいこ。
燃え上がるような歓声を背中に感じながら、俺は真冬の口から小さく舌打ちが零れるのを聞いた。それが悔しさによるものなのか苛立ちによるものなのか、俺には分からない。
真冬は早く勝負を終わらせたいのか、これ以上俺と話す気がないのか、振り下ろした手をすぐ元に戻し、半身の姿勢をとった。俺もそれに合わせ、意識を集中する。
「ジャン――!」
俺には真冬のように存在を主張したいという願望はない。他のプレイヤーのように金が欲しいわけでもなく、名声が欲しいわけでもない。苦労を推してやりたいこともなければ、これといって手に入れたい物もない。俺はどこまでも平凡なただの大学生だ。願うものといえば誰もが持っている、どこにでも転がっている小さなものだけ。
――だったらなぜ、俺はここまで来た?
「ケン――!」
それでも理由ならある。あるんだ。
俺だってここまでただの道楽で勝ち上がってきたわけではない。暇つぶしで数多くのプレイヤーの夢を砕いてきたわけではない。
「――ポン!」
二人の手は指を開ききったパー。また、あいこ。
まるで静けさを忘れてしまったかのような会場の盛り上がりは止まることをしらない。誰もが立ち上がり声を張り上げる中で、俺と真冬だけが無言で直立し対峙する。
真冬は口元を固く引き結び、悔しそうに目を細めている。生まれた時から環境に恵まれ、全てが思い通りになってきた真冬。一介の大学生でしかない俺を倒せないことが、思い通りにできないことが気に入らないのかもしれない。
だがそれでも。俺だって、負けたくないんだ。
「ジャン!!」
俺には真冬や他のプレイヤー達のような野望はない。ただ日本一を決める戦いがあることを知って、俺は迷うことなく参加を決めた。
日本一。こんな俺でも日本一になれる。
俺の理由は、それだけでいい。
真冬にはそんな理由でと笑われるかもしれない。他のプレイヤーにはそんなことのためにと、けなされるかもしれない。
それでも、誰に罵られたとしても、何と言われたとしても。
「ケン!!」
俺には何の取り柄もない。誰にも負けない天才的な才能なんて一つも持ち合わせていない。誰かに誇れるような明確な「形」を、何も持っていない。
そんな俺が日本一になれるかもしれないのだ。
『京介ってほんとにつまらない』
昔真冬に言われたこと。俺と真冬が時間を共にしていた頃、その最後の日に言われた言葉だ。
そうだ、俺はつまらない人間かもしれない。でも、だからこそ。
――俺は、日本一になってやる!
「ポン!!」
喉が張り裂けんばかりに俺は叫び、渾身の右腕を振り下ろした。おそらく日本にいるほぼ全ての人間がこのステージで戦っている二人の手の形に目を凝らしている。
瞬間、俺は全ての音が消え去ったかのような錯覚を覚えた。全ての音が消え去った世界の中で、真冬は静かに笑みを零した。天使のような優しい笑顔ではなく、悪魔のような歪んだ笑顔。
だが顔を上げた真冬の笑顔が、凍りついた。
「…………なっ!?」
真冬の繰り出した手は拳を固めたグー。そして俺の繰り出した手は。
――五本の指を全て広げた、パーだ。
俺と真冬の右手の先をカメラが捉え、巨大スクリーンにその形が映し出された瞬間、会場中から爆発のような歓声が巻き起こった。スクリーンに『WINNER!!』という文字と俺の横顔が浮かび上がり、いくつもの色鮮やかな花火が打ち上げられる。一年にもわたって繰り広げられたこの戦いに、ようやく終止符が打たれたのだ。
いつまで経っても鳴り止まない京介コールの中、真冬は両の手を地面につき、信じられないというように肩を震わせていた。
「そんな、何で……。京介はこれまでの戦いでグー、パーと出した後はグーかチョキのどちらかしか出していない。そうデータには出ていたのに、どうして?」
地についた手はそのままに、それでも真冬は気丈に俺を睨みつけた。
真冬はおそらく、俺のこれまでの戦績、データを全て調べさせていたのだろう。ジャンケンとは人の手で行う戦いであるために、どうしても規則性というものは出てしまう。真冬はそれを徹底的に調べ上げ、俺がグー、パーの後に再びパーを出すことはないと、そう考えていた。だからあいこはあっても負けることのないグーを出したのだ。故に、自分が負けたことを信じられず、今こうして狼狽している。
「……答えなさい、京介。どうして、どうして最後にパーを出すことができたの!?」
俺は空で踊る花火に目をやり勝利の余韻を味わいながら、ゆっくりと右手を空に持ち上げた。
そして穏やかに口を開き、真冬からの問いに、答える。
「……真冬。お前さ、昔っから何かを取り合って喧嘩になると、ジャンケンで勝敗を決めてたよな。そんな時でもお前は誰にも負けなかったけど、気付いてたか? お前、いつもここ一番って時に自分がグーを出してたってこと。それを思い出してさ」
それは二人が共に歩いていた時のこと。真冬が俺に、偽りでない笑顔を見せてくれていた時のこと。もう二度と、帰ってはこない日々のこと。
「今日はお前に勝ちたい。そんな……」
天に向かい突き出した右の手を強く握りしめる。空へと伸びる拳の中には、しっかりと形をもった何かを掴み取っている気がした。
「――そんな、気分だったんだ」
/了
長ったらしくてごめんなさい。
初めての投稿で勝手がわからなかったのです。
何かを書くって、難しいですね。