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A rular

恭子



 「佳織とはどう?」

口元が思わずニヤけるが堪えながら問いかける。

「相変わらずだよ。お前、わかっててきいてるだろう。そっちはどうなんだ?」

うん。佳織からお店で会うたびにたくさん聞いてるよ。ラブラブな惚気話をね。

笑いを堪えるあまり後半の言葉をスルーするしてからかってやりたくなったがぐっと我慢する。

「うん、いい感じに追い詰められてきてるよ。智。まじいい感じ。まじで。」


「まじって使うなよ。佳織と話してるみたいでイライラする。あと、単純にからかわれていることにも。」


「ごめんごめん。佳織の相手はさすがに雄治でも大変なんだね。」


「大変に決まってんだろ。雄治はそろそろ動きそうか?」


「うん、もう動いてるよ。さっき佳織に電話してたから今頃会ってるんじゃない?智のバッグに発信機と盗聴器も入れたしもう完璧。」


「そうか、それじゃあとは計画通りに。」


うんうん。順調だな。佳織は智のことなんてもう忘れて雄治に夢中でだいぶ疎遠になってる。このまま佳織が智に救いの手を出さなければ智は行き詰って自らの貯金を下ろして返済するしか術はないはず。

そうなればそのお金はゆみさんからの依頼料としてそのまま私と雄治のもの。

浮かれちゃう。一ヶ月の成果がもうすぐでる。



1ヶ月前



 「お願いします。私はゆみといいます。私、智にだまされたんです。本気で付き合ってる女はお前だけだって。だから智のためになるならと思って風俗で働き始めました。辛かったけど、智のためならと・・・でも、智は私のことなんてただの客としか思ってなかったみたいです。どうしても不安になってホストクラブが休みの日に智を尾行したんです。そしたら、かおりっていう女と手をつないでデートしてて。キスもしてて。そんな場面を何度も見て、私は智の彼女なんかじゃなかったんだって気づきました。でもそのころにはもう智に莫大なお金を使ったあとでした。悔しくて・・・どうしても私の500万取り返して、痛い目見せてやりたいんです。智のことだからきっと貯金してるに決まってます。あいつケチだから。

依頼料として智から出させた500万は全額差し上げます。だから、智を追い詰めてひどい目にあわせてやりたいんです。」


あのときのゆみさん必死だったな。ゆみさんには同情しないこともないけど、正直どうでもいい。全額くれるっていってるし、成功させなきゃ。

さぁ、もう佳織と智は合流したかな。よし、盗聴開始。



 「佳織!頼む!お金貸してくれ。もうお前しかいないんだ。このままじゃ俺は殺される。助けてくれよ。」


「なに言ってんのよ!まじ最低!ここ最近ろくに・・・てかホスト辞めてからまじ全然ロクに連絡なんてよこさなかったくせに!あたしもうわかってんだから。あたしは彼女なんかじゃなかったんだって。もうあたしまじな彼氏できたし。智なんてどうだっていいから!もうまじ話しかけないで!連絡もしないで!さよなら!」


「まじかよ。ふざけんなよ。さっさと金だせよ。こっちは切羽詰まってんだよ。佳織がお金出してくれないと俺・・・。」


「無理だから。てか、智まじ貯金あるんでしょ?それから払ったらいいじゃん。あたし雄治とまじ真剣に付き合うって決めたからもう関わらないで。じゃあね。」



うまくいった。これで智はお金を引き出す。そしてそれをいただけば仕事完了。



恭子は雄治に電話をかけ、二人で成功を確信した。





ゆみ



 「500万っていっても束にするとずいぶんちっぽけだわ。」

今、ゆみの手元には現金500万がある。

智の講座から引き出された500万だ。


ピンポーン


インターホンが鳴る。


「佳織!うまくいったね!無事に500万ゲット。」


「ゆみの協力のおかげでうまくいったよ。あと、恭子と雄治のおかげでね。でもこんなにうまくいくとは思わなかった。」


佳織がニヤリと笑う。

そう、これはもともと佳織が考えた計画だ。

恭子と雄治を利用し、智から現金を奪うための。

ゆみに恭子たちへの依頼をさせ、恭子たちが智を追い詰める。

そして出した現金が恭子たちに渡る前に奪う。

どうやって奪ったか?

簡単だ。雄治の家に行った際に奪っておいた通帳と印鑑を使い、雄治の口座から現金を引き出しただけ。

ちなみに暗証番号は雄治の誕生日だったんだって。意外にかわいいとこあるじゃん。


ふたりは今頃どうしてるかな?

想像すると笑っちゃう。

でも佳織の方が笑いが止まらないみたいだ。




「恭子はいつだってあたしを馬鹿にしたような顔でみてた。たぶん、‘まじ‘しか言わない頭の弱い奴だと思ってたに違いないよ(笑)まじ簡単(笑)」


500万の使い道は、さぁなんでしょうね?

















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