第49話『新たなる力?』
「今回は中々大漁ですね」
周囲に散らばる輝石を拾いながらナギラギアが呟く。
「そうね。まああんなに苦労したんだし、多少は見返りがないとね!!」
勝利の余韻も過ぎ去り、今は戦果をかき集めている三人の執行者達。少女達の声は喜びに弾んでいた。もちろん、アンリの表情も。
が、しかし。アンリが突然動きを止めて自分の胸を押さえる。
「? アンリ、どうしたの? ひょっとして、どこか痛い?」
即座に気付いたエレンが不安げにアンリに近づき、顔を覗き込む。
アンリは戸惑いの表情を浮かべたまま、心配そうな幼馴染を安心させようと口を開いた。
「いや、そういうことはないんだけど……なんだか胸のあたりが熱くて……戦いが終わったあたりから少しずつ強くなってるような……」
「えっ!?」
一瞬驚愕の表情を浮かべたエレンだったが、すぐにその顔は喜びに染まっていく。
「アンリ、それってきっとアンリの【魂の器】が成長しようとしてるんだわ!」
「えっ!? ほんとに!?」
予想外の答えにアンリは驚き、エレンの顔をまじまじと見つめる。
「ふむ。たしかにその可能性はありますね」
二人がやりとりをしている間に、ささっと残りの輝石を拾い終わったナギラギアもアンリの下にやってきた。
「なにしろあれだけの戦いを繰り広げ、勝利して乗り越えたのです。アンリの【魂の器】に変化が起きても不思議ではない。いえ、むしろこれまで一度も成長していなかったのですから必然と言ってよいでしょう」
二人の執行者に太鼓判を押され、ようやくアンリもそのことを実感して口元をほころばせる。
「うわわ、それすごく嬉しい……僕もやっとエレンみたいな【魂の器】を扱えるようになるんだね!」
「さすがに一回の成長じゃそこまでは無理だと思うけど、でも今のものよりは大きくなるはずよ。良かったわねアンリ」
「うん。でも成長させるためには何をどうすればいいのかな?」
アンリのもっともな問いにナギラギアが答えた。
「刻印と同じく、天人の手を借りる必要があります。それでは街に戻るとしましょう。ただちょっとこのダンジョンについて確かめたいことがありますので、少しだけ時間をもらえますか?」
「うん。わかったよナギ」
「手伝えることとかある?」
「いえ、私一人で問題ありません」
そう言うとナギラギアは二人から離れていった。
ナギラギアの行動が少し気になるものの、アンリの【魂の器】に関することほどではない。
二人は座って体を休めつつ、【魂の器】の枠が増えたらどうしたいかを語り合った。
やがてナギラギアも二人の下に戻ってくる。
「お待たせしました。私の用件も終わりましたし、街に戻って神殿に行くとしましょう」
「うん」
アンリ、エレンもそれぞれ立ち上がり、三人の執行者はダンジョンを出て帰途についた。
アンリの【魂の器】
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【荒れ狂う暴風域】×3
【解毒の粉薬】×4
【炎の矢のカード】×3
【打ち壊すもの】×2
【闇の帳】×1
【爆裂治療薬】×1
エレンの【魂の器】
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【刺し貫く白刃】×4
【戦乙女の装束】×3
【抗魔の盾】×1
【無限の斬輝】×2
【水の槍のカード】×3
【月形の斬撃】×2
【盾による強打】×2
【回復薬】×1
ナギラギアの【魂の器】
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【炎の矢】×6
【青宝玉の杖】×4
【燃え盛る赤】×3
【悪意ある稲妻】×4
【火炎地獄】×3
【氷の抱擁のカード】×3
【回復薬】×3
【二連の車輪】×2
【饒舌の粉薬】×2
【精神力回復薬】×1




