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女神の剣  作者: 蔵樹りん
第2章
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第46話『反撃開始!』

 ついに己を包む氷雪から脱した蜥蜴精鋭リザードマンエリート達。己を傷つけた敵に向かって憤怒を瞳に宿らせ、剣と盾を手に駆け寄ってくる。彼らを生んだ簒奪者は対照的に笑みを浮かべ、ゆっくりと歩み寄ってきていた。


「ちなみに、【氷の抱擁アイスクレイドルのカード】はもうありません」


 杖を構えながら囁かれたナギラギアの言葉に頷くアンリとエレン。二人は揃って駆け出した。向かいくる蜥蜴の群れを迎え討つ為に。


「アンリ! 蜥蜴精鋭なんかに負けたら承知しないからね!!」

「うん!!」


 完全に傷の回復した二人はいつもの、いや、いつもよりも息のあった動きで緑の鱗の群れの中へと飛び込んだ。背後からは魔術を放つ為の詠唱が聞こえてくる。残る蜥蜴の精鋭は六体。


 近寄ってきた金色髪の少女へと、先頭の蜥蜴が曲刀を振りかざした。しかし、それを振り下ろす間もなくその首筋を白い刃が一閃する。何が起きたかを理解することも出来ず、その蜥蜴精鋭は灰となって消えた。


「まずは一体!!」


 たった今蜥蜴の鱗をなんなく切り裂いた【刺し貫く白刃シャープエッジ】を手にエレンは吠えた。そんな少女に向かって新たな敵が近付くが、黒い影がその行く手を遮る。狂った間合いで振るわれた蜥蜴の剣はその闇色の鎧の上ですべり、なんの効果もあげることは出来なかった。アンリはうろたえる蜥蜴を体当たりで吹き飛ばし、よろけてもつれあったもう一体の敵もろとも両手剣を叩き付ける。


 分厚い刃が通り抜けた後には体を真っ二つにされた蜥蜴精鋭が二体。つごう四つの鱗に包まれた身体はたちまち虚空へと消え去った。


「三体!!」


 一瞬の交錯で数を半分まで減らされた蜥蜴の一団に動揺が走る。その内の一体に一本の炎の矢が突き刺さった。詠唱により最大限にまで威力を上げられた【炎の矢ファイアーボルト】の魔術は二の矢を必要とせず、その紅蓮の炎で精鋭の体を文字通り灰へと変えた。


「四体……ですね」


 ナギラギアは薄っすらとした笑みを浮かべて囁き、新たな魔術の詠唱を始める。


 残る蜥蜴精鋭は二体。一体は臆せずエレンへと切りかかるが、美しい片手剣の使い手ソードマスターはそれをなんなく切り伏せた。


「五体!!」


 もはや闘争心をなくした最後の蜥蜴精鋭にナギラギアが放った電撃の魔術が襲い掛かる。絶命したその蜥蜴精鋭は背後にいた重装蜥蜴への方へと吹き飛んだ。悪意ある、という名を冠するナギラギアの雷の魔術によって弾き飛ばされたのだ。宣戦布告にふさわしいその行為に対し、重装蜥蜴は左手の剣を一閃させ、すでに骸となっていた己の配下を両断した。


「六体……だね」


 眷属が全滅しても余裕の笑みを崩さないクイーンの顔を鋭い瞳で見据え、アンリは呟いた。


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