表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸せの入手法  作者: clown
8/16

First break 枯れた町②

 とりあえず、オルゼーを一人にするわけにはいかないので、ボヌールにオルゼーを預け、3手に分かれて、人を探すことにした。


 

 「誰かいませんかー?」


 町の入り口から、それほど離れてないところで、家らしき建物に入り、人がいないか叫んでみる。しかし、返事はない。


 「誰か、、、」


 もう一度叫ぼうとしたとき、後ろからトンと背中をたたかれた。

 一人の少年が立っていた。


 「何してるんですか。ここは僕の家です。父母は今出かけてますよ。」


 少年は、何の強弱もつけず、ロボットのようなしゃべり方で言った。表情も無表情だ。


 「えーっと、僕は旅をしているんだけど、この町のこと、全然知らないから、案内してくれないかな?」


 少年に聞いてもだめかな?最近の子供はガードが固いからな・・・子供に「道教えて」って言ったら、軽く逃げられる時代だからな・・・でも、ここは現実世界じゃないんだ!もしかしたら、、、などと考えつつ、少年の返事を待つ。


 「いいですよ。」


 少年の返事は実にあっさりしていた。そして、やはりロボットのような無表情なしゃべり方だった。


 とりあえず、離れていたボヌール、リオル、オリゼーのことを少年に話し、つれてくると伝え、三人を探しに行く。


 三人とも、まだそれほど遠くへ行ってなかったので、すぐに見つけることができた。


 少年の元に戻ると、少年はさっきとまったく同じ場所に立っていた。やはり無表情で。


 「待たせたね。じゃあ、この町の案内をしてくれないか?」


 少年はコクリとうなずき俺たちの前を歩いた。


 

 ・・・・・・。


 少年は黙って、ただスタスタと歩く。それに黙ってついていく。


 「俺たちはこれからどこに連れて行かれるんだ?」


 リオルが少年に聞こえない程度の小声で言う。


 「連れて行かれるって・・・。これから町を案内してもらうんだよ。」


 とりあえず、小声で返す。


 「んなこといってもよ、あいつ、一言もしゃべらねーぜ。なんかあるんじゃねーの。」


 「そんなわけないって。だって、ただの男の子だよ。」


 「ただ男の子だからって安心するわけにはいかねーよ。他人を見たら泥棒だと思えって言うだろ?」


 「ここがこの町唯一の道具屋です。」


 少年がいきなりこっちを向いて言ったもんで、二人して、びくっとする。


 「へ、へぇ~」


 「この町にはこれくらいしかないんです。国会も、会社も、駅も、道も、観光名所も公園も、全部、つぶれてしまったんです。今じゃ砂の下です。だからみんなこの町を出て行った。今この町に住んでいるのは、僕たち家族とこの道具屋くらいでしょう。僕たち家族は、ここから、それほど遠くない村で働いてるんです。お金がなくて、引っ越すことができないから。」


 少年はなぜか、はにかむ。今まで笑わなかったのに。


 「あなたたち、旅をしているんでしょう?それならきっと、あなたたちは幸せを求めてるんですよね?」


 少年が問いかけてくるので答える。


 「う、うん。」


 「それなら、あなたたちの求める幸せって何ですか?」


 「えっと・・・」


 幸せがなにかなんて分かるわけがない。


 「俺は、金だと思う。もちろんチップなんかじゃねえ。ドカンとした札束の山だ。一生遊んで暮らせるくらいのな。」


 リオルが笑いながら答える。


 「お金、ですか・・・」


 少年がうつむく。


 「確かにお金はいいですね。お金があればこの町も、立て直すことができるでしょう。でもね、それじゃあだめだと思うんです。私たちの町は、もともとすごくお金持ちでした。大きな化け物がこの町の近くに住み着くようになったんです。自然には生まれない、人工的な大きな化け物がね。」


 大きな化け物って、あの砂漠にいたあれか?


 「その、化け物ってムカデみたいなやつか?」


 「はい。あの化け物は、もともとすごく小さい虫なんです。多少生態系が崩れただけじゃ、あんなおおきくはならない。人工的に作られたとしか思えません。」


 「その化け物なら、ここへ来る前にやっつけたけど、、、?」


 「えっ?」


 少年の目が少し輝いたが、すぐに元に戻った。


 「でも、また化け物は現れるでしょう、、、」


 「どうして?」


 俺が聞く。


 「ここから、数十キロ東に行ったところに、とある町があります。その町は、私たちの住んでいる町のことをよく思っていません。この町より広い土地を持っているのにこの町のほうが裕福だったからです。人間の嫉妬心というものです。だから、あの町はこの町が復興することがないようにまた化け物を生み出し、この町の近くに放つでしょう。」


 「でも、いくらこの町のことをよく思ってないといっても、そこまではしないんじゃないですか?」


 「いいえ、彼らならやります。彼らは近くの町に、大きな化け物を放って、枯れさせ、自分の町が一番になるようにしてきたんです。」


 「その町の名前、なんていうんだ?」

 

 リオルがさっきとはまったく違った真剣な面持ちで聞く。怒っている。きっと、、、

 

 「その町の名前は、、、アビディティ。」


 リオルがこちらを向く。その町に行くという意味だろう。


 静かにうなずく。



 その後、少年に、礼を言って町を出た。アビディティに向かうため、、、  

ちょっとだけ内容をチェンジしました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ