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待つ時間。

作者:
掲載日:2026/03/07

「この辺かな。やっぱナビ入れないと忘れてるな。」


やっぱ、平日は車少ないな。


有給なんていつぶりだろう。


車を走らせていると、目当ての神社の近くまでやってきた。


ん、止まった。


対向車がゆっくり速度を緩めて、停車した。


駐車場か?

俺も停められるかな。


対向車に近づいた時、止まっていた車の前には、横断歩道。


と思ったら、横からゆっくりと歩行者。

お年寄りの夫婦か。

足の悪い妻に寄り添って、夫が手を引いている。


対向車の前をゆっくり通り過ぎた後も、車はまだ停止したまま。

自分の車もちょうど横断歩道に差し掛かったので、ゆっくり停車した。


夫婦が横断歩道を渡り切った時、対向車もゆっくり動き出した。


駐車場じゃ、なかったんだな。


自分もゆっくり、アクセルを踏み、車を発進させた。


そのまま車を走らせていると、駐車場を見つけて、停めることができた。


神社に向かう道を歩いていたら、喫茶店を見つけた。

喉も乾いていたので、コーヒーでも飲んでゆっくりしよう。


テラス席に座り、のんびりと辺りを見回す。

観光地でもある場所のはずなのに、今日は人もまばらだ。


すると車も少ない道に、

向き合う2台がゆっくり停車した。


気になって、思わず立ち上がって様子を見ると、

横断歩道を挟んでいる形になっている。


小学生の男の子が2人、手を上げてゆっくり、

横断歩道を渡っているところだった。


二人が横断歩道を渡り切るまで、車は動かなかった。


待つ……。


俺は、誰かを待ってたこと、あったかな。


わざわざ、会社まで書類の確認に来てくれた。

打ち合わせがあったわけじゃない。

それでも話をしにきてくれた、あの人のことも——


「お疲れさまです。わざわざありがとうございます。」


「いやいや、お互い様ですから……」


今、急ぎなんだよな……。


「すいません、少し立て込んでまして、……」


——俺は、相手の声を聞いていたか。


あの時、時計を確認してた。

それだけ、だったかもな。


相手の時間も動いてるんだよな。


待つ時間には、何ができるんだろう。


ゆっくり腰を下ろして、コーヒーを一口飲む。

熱いな。


少し、歩くか。


時計を見ると、もう昼を過ぎている。


小学生が増えてきた。


子供の騒いでいる声が聞こえて、目を向けると、幼稚園もある。


ここも、人の時間が流れてるな。


神社でお参りの後は、お土産屋を見て回った。


「すいません、これ。50個入りのやつ、一つ下さい。」


「はーい、ありがとうございます。」


「今日は、人が少ない方ですか?」


「そうですね、土日よりは。

でもね、平日しか来ない人もいるんですよ。」


「あぁ、そうなんですね。」


「いつでもあんまり変わらないですね。私たちには。」


「そう、ですか。」


「はい、どうぞ。お待たせしました。」


「ありがとうございました。」


いつでも、変わらない……か。


帰り道、車を走らせていると、

俺の視線は、自然と横断歩道を確認していた。


「癖になってるな。」


当たり前、なんだよな。


次の日の休み時間、

取引先にお土産を持って行くことにした。


「こんにちはぁ。」


「あれ?今日なんかありましたっけ。」


「あ、いえ、ちょっとお土産持ってきたんで、

お渡ししたかったんです。

よかったら、皆さんで召し上がってください。」


「え?


あぁ、お気遣い頂いて恐縮です。」


「あの、先日は、ゆっくりお話しできなかったので。


少し、視野が狭くなっていたのかもしれません。」


「んん……それは私も同じですよ。

お互い様ですから、そういう時もありますよ。


お昼、よかったらご一緒しませんか。」


「ありがとうございます。」







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